ナタリー PowerPush - BoA
BoAの新たな魅力を発見! 世界初BEST&USAリリース
BoAが世界初となる2in1アルバム「BEST&USA」をリリース。日本のベストアルバム+USAデビュー盤という言語もジャンルも異なる2枚が1つにパッケージされたスペシャルな作品だ。
日本盤は「DO THE MOTION」以降のシングルや、「メリクリ」「VALENTI」の新レコーディングバージョンなどを収録。USA盤は世界屈指のプロデューサー陣を迎え、新しいサウンドへの挑戦を試みている。アメリカデビューの経緯から今後の展望まで、じっくりと話を聞いた。
取材・文 / 川倉由起子 インタビュー撮影 / 平沼久奈
最近のアメリカの音楽事情やクラブシーンを意識して
──まずはアメリカデビューの経緯について聞きたいんですけど、いつ頃からそういう話があったんですか?
3年前くらいからですね。話はちょこちょこ出ていたんですけど、私も日本と韓国の往復で忙しかったし、まだ本気になるような時期でなかったというか。実際に制作やレコーディングに入ったのは1年半くらい前からです。
──そこからはコンスタントに録り続けていった感じですか?
そうですね。レコーディングは去年の年末ギリギリまでやってました。
──このアルバムの前に、配信シングル「Eat You Up」(2008年10月)ですでにアメリカデビューはされてるんですよね。この曲の反応はいかがでしたか?
新しい感じってよく言われました。英語で歌っている私には、みなさんあまり慣れてないみたいで(笑)。新鮮っていうリアクションが一番多かったですね。
──確かにこのUSA盤「USA DEBUT ALBUM“BoA”」も、今までのBoAさんのイメージとはガラッと変わっていて。クラブ仕様、フロア仕様という感じですよね。
そうそう。最近のアメリカの音楽事情というか、クラブシーンを意識して作ったので。曲の雰囲気とか個人的にも大好きなので、制作は楽しくできましたね。
──BoAさん自身も「こんな曲はどう?」っていうような提案もされたんですか?
スタッフさんが提案してくれる曲の中からレコーディングをしてみて、そこから絞っていった感じです。USの曲は子供の頃から大好きでずっと聴いてきましたけど、まだ私はそんなにアメリカの音楽事情を知らないので、これから勉強しなきゃって思ってるんですけど。
「Did Ya」のレコーディングは、早口で大変だった
──このレコーディングは全て海外で?
そうです。いろいろなところでレコーディングし過ぎましたね(笑)。タイ、オーストラリア、ロス、アトランタ……各曲のプロデューサーのところに行って録るっていうスタンスだったので。
──初めて行った場所はありましたか?
アトランタ! タイも初めてだったのですが、同じアジアなのでそこまで差は感じなかったですね。
──もともと曲数はこのくらいを予定してたんですか?
レコーディングが終わった時点ではもっとあったんですけど、それを絞って。
──全部で11曲収録なんですけど、全体の時間数は30分強くらいで。1曲がギュッと濃縮されているというか。
ダンスミュージックだと3~4分以上の曲はそんなにないんですよね。でも、そんなもんなんですね、初めて知った(笑)。
──(笑)レコーディングで苦労した曲はありますか?
「Did Ya」という曲が早口で、たいへんだった思い出がありますね。
──そういうときは、どうやって乗り越えるんですか?
練習のみです。口に歌詞が馴染むまで繰り返して。
──レコーディング前はずっと歌っている感じですか?
ある程度は。でも、し過ぎるのもあんまり良くないんです。
──というのは?
これは日本での話なんですけど、いざレコーディングしてみると、ディレクターさんが望んでいることと私が望んでいることが違ってたりして。そんな時に歌い方が癖になってしまっていると、ハマってしまって苦労したりするので。ある程度で止めておいたほうが、実際のレコーディング現場でのバランスがとりやすいんですよね。
──馴染んでしまっているのを動かそうとしても……。
不自然になってしまうんですよ。
──では、けっこう現場で作り上げていくという感じなんですね。
レコーディングに関してはそうですね。アメリカの曲は、英語がしっかりメロにハマらないと楽しく走っているビート感に置いていかれるので、歌詞のハマりだけはちゃんとしてから臨みました。
──USA盤1枚を通して、クラブ仕様っていう空気感は全体的に強く感じますね。
「私がやりたいのはこういうダンス曲です」っていうのがわかりやすいアルバムだと思います。アメリカの活動に関してはやはりクラブ系のダンスナンバーを目指しているので、そこがよく出せたかなと。
ダンス曲中心の、すごくパフォーマンス的なライブになる
──アメリカでツアーやライブをするとしたらどんなものにしたいですか?
えっと……まず、そんなに大きいところではやらないと思います。
──クラブやオールスタンディングのハコとか?
そう。あと、アメリカってすごく広いじゃないですか? だからツアーをするとしたら、廻りながら徐々にファンの人たちと向き合って、自分を知ってもらうようなライブになるんじゃないかな。あとはやっぱりダンス曲中心なので、すごくパフォーマンス的な感じになると思います。
──踊りっぱなし! みたいな?
そうかもしれないですね(笑)。
──最近はアメリカと日本との往復で超多忙だとか?
かなり行ったり来たりしてますね。アルバムの発売が日本と同じタイミングなので、プロモーションがかぶってて。
──それはたいへんだ(笑)。
頑張ってます(笑)。
──ところで3カ国語を話せるBoAさんですが、その言語圏に行くと言葉がそっちモードに瞬時に切り替わるんですか?
……らしいですねぇ。
──日本語しか話せない身としては、ただただスゴイなと。
いや、やればみんなできますよー!
──頑張ります(笑)。
(笑)。
──英語と日本語と韓国語、それぞれ歌うときに違いってあったりします?
まぁ、一番ラクなのはもちろん韓国語なんですけど(笑)。特にこの言葉がどうのっていうのはないですね。
BoA (ぼあ)
1986年生まれ、韓国出身の女性シンガー。2000年8月に韓国で歌手デビューを果たし、数々のヒット作を発表する。翌2001年5月にはシングル「ID; Peace B」で日本デビュー。2002年1月発売の4thシングル「LISTEN TO MY HEART」はオリコン第3位にランクインし、日本でもトップスターの仲間入りを果たす。その後も「VALENTI」「奇蹟 / NO.1」「JEWEL SONG」「Shine We Are!」「メリクリ」「Everlasting」など、数々のヒット曲を発表。現在は韓国や日本のみならず、中国や台湾などのアジア諸国やアメリカなどでも積極的に活動を行っている。