BiSニューシングル制作陣の中野雅之&小林祐介も登場|新体制で再スタート切った第3期BiSの現状 (3/4)

BiS 単独インタビュー

第3期BiSの“新しい始まり”

──ニューシングルは、中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES、THE SPELLBOUND)プロデュースということですが、めちゃくちゃカッコいいですね。タイトルは「イーアーティエイチスィーナーエイチキューカーエイチケームビーネーズィーウーオム」と39文字もありますが。

ナノ3 デモ音源をいただいたときから「なんだこのカッコいい曲は!」と思いました。でも「これはなんて歌ってるんだろう?」というミステリアスなところもあって。タイトルは歌詞の一部でもありますけど、とにかく長い。レコーディングで歌詞を書いてくださった小林祐介(The Novembers、THE SPELLBOUND)さんにもお会いできて、タイトルが「もう全部めちゃくちゃにしたい」という意味で、「全部がうまくいくおまじないだよ」と教えていただいて。これを歌ってると「新体制の6人のBiSはうまくいく! なんでもできる!」と勇気をもらえるので、心強い曲だなと思いながらライブで歌っています。

BiS

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──中野heavysick ZEROでの新体制お披露目ライブで初めてパフォーマンスした曲なんですよね。あの狭いライブハウスで「さあここから抜け出そう」とトギーさんが歌っていて、第3期BiSの新章が始まったことを改めて感じました。第3期BiSのオリジナルメンバーは今やトギーさんだけですけど、今回の体制は仕切り直しの意味もあるんですか?

トギー 私としてはそういう気持ちが強くあります。初期メンバーが私しかいない状況でも、BiSを続けられること自体がすごくうれしい。BiSにとって“聖地”とも言える中野heavysickでのライブは“始まり”感がありましたし、正直に言えば仕切り直したことで気持ちの整理もつきました。「このメンバーみんなと始める」という感覚が大切だと思っていたので、その気持ちを6人で共有できてよかったです。

──BiSとしては新たなスタート感があったとは言え、3月に「WACK合同オーディション2023」での合格を経て加入した3人にとっては、ド緊張のお披露目ライブになったのではないでしょうか?

イコ・ムゲンノカナタ 緊張しかなかったくらい緊張しました……。

──中野さんプロデュースの曲を初めて聴いたときはどんな気持ちでしたか?

シオンエピック んー? やったー! カッコいいー! やったー!と思いました。

トギー BOOM BOOM SATELLITESさん、好きだったんでしょ?

シオン そうです。「KICK IT OUT」とか好きだったので、「ええ、最初からこんなカッコいい曲もらっちゃっていいのかな?」という気持ちでした。

クレナイ・ワールズエンド 私はBiSに加入する前にファンとして聴いてきたWACKグループの曲とは違う印象を受けました。しかもカッコいい。「イーアー~」で初めてレコーディングを経験して、自分の声が入っている音源を聴いて、さらに感動しました。私が参加した初めての曲だし、これからも大切にしたい1曲です。

クレナイ・ワールズエンド

クレナイ・ワールズエンド

──レコーディングでも緊張したそうですね。

クレ レコーディングブースに入るのも初めてだし、人の目もあるし。中野さんと小林さんが近くにいらっしゃって緊張しましたけど、とても優しかったです。

──渡辺淳之介(WACK代表)さんとどっちが優しい?

トギー 渡辺さんよりずっと優しいですよね! 渡辺さんはときと場合によりますけど。

ナノ3 関わり方も違うから比べられないでしょ(笑)。渡辺さんは中野さんたちとは違う優しさがあります!

新体制初ライブの評価「最高だったよ君たち、5点」

──中野heavysickでのお披露目ライブ、渡辺さんも観に来ていましたけど、終演後に何か言われましたか?

トギー 「最高だったよ君たち、5点」。

──何やら含みのありそうな感想ですね。その言葉をどう受け止めてますか?

トギー 点数は低いけど「最高だった」ということですね。自分たちとしてはバラバラでダメダメなライブでしたから、点数が低いのはわかります。で、「最高だった」は、このタイミングではお客さんが観る分にはあのダメダメさ加減、全力具合が正解とも言えるものだったのかなと。でもあのあと、みんなで反省しました。「もっとできることがあったんじゃないか」と。

トギー

トギー

──そうは言っても、3月末に3人が加入して短い時間でできる限りのことはやったんじゃないですか? 準備時間も約1カ月と少しという中で。

ナノ3 BiSは今年1月の時点で3人だったので、3月のWACKオーデで新メンバーが入るだろうと心構えはしてました。だけど実際には想像よりもうまくいかないこと、進められないことが多くて。メンバーそれぞれのことを理解しないと練習に時間がかかるし、効率がよくならないんですよね。

トギー 練習時間にも限りがありましたから。それにしても新メンバーの3人はこんなに練習すると思わなかったでしょ?

シオン ステージに立っているのがすべてだと思ってた。

トギー え? 「アイドルは練習なんてしてない」と思ってたってこと?

シオン うーん。しても週2くらいかなって。

ヒューガー それじゃライブできないよ(笑)。

シオン 練習をどうしてるかなんて、想像もしてなかったです。

トギー 振付を覚えるのはみんな早かったけど、新メンバーは体力の問題が一番大きかったかもね。

ナノ3 疲れてくると覚えたはずのフォーメーション、振付、歌詞が飛んじゃったりするし。

トギー でも、お披露目ライブの時点で3人ともそんなに間違えてはいなかったよね。ボロボロではあったけど。

ナノ3 不安だから何度も練習してたんだと思うけど、何度練習しても不安を埋めることってできない。ライブ前日も「通し練習やりたい」と言うからやったけど、本来なら本番前日にそこまで追い込まないほうがいいと思うんですよね。

ナノ3

ナノ3

──ライブに出るという未知なる出来事への期待や不安、いろいろあったんでしょうね。

ナノ3 新メンバーは緊張してたけど、本番が終わったあと「楽しかった」って言ってたんですよね。練習を重ねているうちに不安な気持ちが強くなってたみたいだけど、本番は伸び伸びできていたようですし、楽しんでる姿はお客さんにも伝わったと思います。

ステージの後ろから悲鳴が

──中野heavysickではひたすらスクワットをするというハードな振付の「thousand crickets」のパフォーマンスがいつになく面白かったです。

ヒューガー あ、バレてる(笑)。

──フォーメーション的には3人ずつの前後2列で、それぞれスクワットをしている中、途中でヒューガーさんがニヤけていて。そのあと後列の端にいたシオンさんが悲鳴を上げながらヘロヘロの状態で、隣のナノ3さんがちらりとシオンさんを見て笑ってるという。全員、同じようにスクワットしているだけでもこうも差が出るのかと。

ヒューガー 後ろから聞こえてくるシオンのしんどそうな叫びが面白かったですね(笑)。ファンが私のすぐ目の前でスクワットしていて、後ろからはメンバーの悲鳴が聞こえる、なかなかないシチュエーションですよ。

ヒューガー

ヒューガー

ナノ3 あの曲は腕を真上に上げて、真顔でパフォーマンスしなきゃいけないんです。だけど隣にいるシオンが腕を上げきれなくて、それが視界に入ってくるんですよ。さらに「ひいい!」なんて悲鳴が聞こえてくるもんだから笑っちゃいました(笑)。「お披露目ライブではヘロヘロだった」ということで、1年後くらいに見たら成長を感じられるはずです(笑)。

──あのめちゃくちゃな感じが初期からの流れに通ずるBiSらしい一面ではあったかなと思いました。シオンさんは緊張と興奮から息が上がってたんですか?

シオン いや、緊張はしてなかったんです。「ああ、お客さんがいる」と思って、心のままに踊っていたら1曲目で体力が全部なくなっちゃって。

トギー 温存してたらカッコよくないから、それはそれでよかった。体力はがんばって付けていこう。

──お披露目ライブ後すぐに始まったツアーは、一部公演がメンバーのコロナ感染で延期になりましたが、ここまでの手応えはどうですか?

トギー まずお披露目ライブはステージが狭かったので特殊だったんですよね。暑いし、酸素薄いしという中でどれだけ自分たちを出せるかという。ツアーはお披露目ライブより会場が広くなり、ステージの位置も高くなって、歌やダンスの粗い部分を含めてお披露目で隠れてたものが全部見えるようになった。どうにかして息を合わせられるように今がんばっているところです。新メンバーは緊張で頭が真っ白になったり、迷った箇所でパニックになったりしてもライブはしっかり楽しめるみたいで、ちゃんとお客さんの目を見てステージを楽しんでるんです。それは横にいて伝わってくるので、その点はすごくよかったと思います。

──中野heavysickとツアー初日の大阪・梅田CLUB QUATTROとではキャパが10倍くらい違いますよね。

ナノ3 そうですね。クレがBiSに加入する前、福岡のDRUM Be-1に来てくれたことあったよね?

クレ 福岡に住んでいたから。タイミング的には去年のWACKオーデを受けたあとですね。でも、ライブを観るのとやるのとでは、全然印象が違います。ステージからこんなにお客さんの顔が見えるんだ!って。

イコ 私はBiS加入前からライブハウスにはあまり行ったことがなかったので、梅田CLUB QUATTROも新鮮でした。それと、中野heavysickはステージが狭い分、思いっ切り体を使うとぶつかっちゃうから動きに制限があって、体力的には余裕がありました。一方で梅田以降の会場はどこもステージが広いから思いっ切り踊れたし、いろんな人と目を合わせてパフォーマンスできたので、すごく楽しかったです。

イコ・ムゲンノカナタ

イコ・ムゲンノカナタ

──ツアー中に面白かったことは?

クレ (1人で笑い始める)

ナノ3 なんか急に笑い出した。

クレ 靴下、洗濯、ヒイー(笑)。

ヒューガー 笑ってるんで説明しますね。遠征では衣装を洗うときにみんなの分をまとめて洗うんですけど、洗濯ネットをほとんどのメンバーが忘れてしまって。なので仕分けせずに一気に洗ったんですけど、衣装のパンツと靴下が一緒だから、洗い終わったあとに“匂いの奥の匂い”を嗅いで「これは私のや」とか言って仕分けして。それが面白かったという。

──ではライブ中に面白かったことは?

ナノ3 シオンのしゃべりですね。シオンの背中に「PSYCHO」って書いてあるんですけど、MCで「最高! PSYCHOだけに!」と急に言い出したのは面白かったなあ。

シオン 1日目の大阪で言いました。覚えてます。

シオンエピック

シオンエピック

ナノ3 この無感情なテンションで淡々と明るいことを言い出すこともあるんで、本当に不意を突かれます(笑)。

ヒューガー 笑かしにきてないところが面白いんですよね、逆に。

シオン 私、めっちゃ関西人ですけど、お笑いだとランジャタイさんが好きなんです。でも影響されてるところはなんもないです。普通に生きてます。

トギー 我が道を行くだもんね。

2023年7月12日更新