BiSニューシングル制作陣の中野雅之&小林祐介も登場|新体制で再スタート切った第3期BiSの現状 (2/4)

松隈ケンタサウンドとは違う世界を

──そもそも中野さんと小林さんには「BiSにとって新機軸になるような楽曲を提案したい」という意図があったのでしょうか?

中野 そうですね。松隈ケンタさんが手がけられてきたBiSの楽曲は世界観が確立されているし、それがこれまでの彼女たちを形作っていて。「すごいな」と思っていますが、それとはちょっと違った世界を感じてもらえたらな、と。

イコ 自分がファンとして聴いてきたBiSの曲とは全然違っていたから、すごく新鮮でした。歌っていても楽しかったし、早くライブで披露したいです。

クレ リズムもそうですけど、ラップもやったことがなかったから難しかったですね。流れるように歌うのに苦戦したんですけど、体がリズムに乗ってくると楽しくなってきました。

シオン デモ音源の小林さんの歌がよすぎて……。

左からナノ3、シオンエピック、クレナイ・ワールズエンド。

左からナノ3、シオンエピック、クレナイ・ワールズエンド。

小林 (笑)。

中野 それぞれに特徴がありますからね。ヒューガーさん、ナノ3さんはキレのいいリズムで歌ってくれたり、ラップのパートが得意な子もいて。歌うこと自体にこれから慣れていく段階のメンバーもいるし、それぞれに聴き応えがあると思います。

ナノ3 ファンの皆さんに対する気持ちが書かれていて、歌詞もすごくいいんですよね。まだ振付を考えている段階なんですけど、皆さんの前で披露することでまた気持ちが変わってくるだろうし、ライブで完成する曲になると思いますね。

トギー 私たちが言いたいことが歌詞に全部詰まってるなって。だからこそ気持ちも込められるし、強気になれる曲だと思います。ライブでも“最強!”という気持ちで歌えると思うし、新しい一面が出せるんじゃないかなと。

──「私たちが言いたいこと」というのは?

トギー タイトルにも歌詞にもある「僕の目を見つめて」「君の世界になりたい」というフレーズ、「私たちはこれが言いたいんだ!」って共感しました。ずっと「BiSのお客さんにとっての何かになれたらいいな」と思っているし、この歌詞が曲名になっているのもすごくうれしくて。「心を見透かされているのかな」ってビックリしました。

左からトギー、ナノ3、シオンエピック、クレナイ・ワールズエンド。

左からトギー、ナノ3、シオンエピック、クレナイ・ワールズエンド。

中野 さっき小林くんも言ってたけど、BiSとファンの関係性を踏まえて言葉が選ばれているんでしょうね。

小林 そうですね。僕らミュージシャンは、リスナーとの特殊な絆というか、「替えの効かない、特別な存在でありたい」という気持ちがあるんです。もちろんアイドルの方もそうだと思います。自分たちと出会ったことで、その人の中で何かが起こるというか。単なる依存という形ではなく、「あなたがいるから自分はこんなに素敵になれるんだ」というものをお互いが持ち寄れるような。「僕の目を見つめて 君の世界になりたい」ではそれをちゃんと言葉にできたし、皆さんとも通じ合えた感じがあってよかったです。

中野 うん。ロックバンドとアイドルでは、相互の関係性が少し違うと思うんですよ。アイドルとファンの関係は、お互いがいないと人生がつまらなくなるというか、ごっそり何かが抜け落ちてしまうようなものじゃないかな、と。その中でアイドル本人は「自分の生き様を見てほしい」「自分の存在を認知してほしい」という思いもあるだろうし。それは「僕だけじゃ踊れない」という歌詞にも表現されていると思います。この曲によって愛のある空間が生まれたらいいですよね。

中野雅之

中野雅之

トギー そう思います。あの、私たちもたまに歌詞を書くことがあるんですけど、作詞にかかる時間だったり、書いてるときの環境ってどういう感じなんですか?

小林 曲によってまちまちなんですけど、僕は以前ずっと悩みながら書き続けるタイプだったんですよ。中野さんとTHE SPELLBOUNDをやるようになってからは、「書かなきゃ」というマインドを捨てて、心から書きたいと思ったときに書くようにしてます。「やらなきゃ」というマインドよりも「やりたい」「楽しい」「夢中になる」という中に答えがあることがはっきりわかって。自分のインスピレーションや心のコンパスに従って人生を過ごすというか。それはどの職種も一緒なのかなと思います。

トギー それは作詞以外にも当てはまることなんですね。

小林 そうですね。もともとは「やらなきゃ」って悩んでるような人間だったんだけど、そのことに気付いてからはいろんなことが開けた感じがありました。

トギー そのお話が聞けて、本当によかったです。

左からTHE SPELLBOUND、BiS。

左からTHE SPELLBOUND、BiS。

中野雅之&小林祐介からBiSへのメッセージ

──このシングルを機にBiSの活動は新しいフェーズに入っていきます。中野さん、小林さんがこれからのBiSに期待することを聞かせてもらえますか?

中野 はい。僕は1990年代にミュージシャンとしてデビューして、ここまで活動してきました。今もバンド活動も、楽曲提供やプロデュースもやっていますが、続けることがすごくハードな世界だと思うんですね。皆さんはこれから初めて体験することも多いと思いますが、「君たち、すごいところにやってきたね」という思いもあるんですよ。「悪いヤツらに騙されるなよ(笑)」とも思いつつ、「いい夢をたくさん見てほしい」という気持ちもあって。新しいメンバーになって再スタートというタイミングでもあるし、これからの未来が輝かしいものになってほしいなと。このシングルでスタートラインに着いた感じもあるので、仲よくがんばって、ファンを巻き込みながら素晴らしい景色を見せてほしいと思っています。

小林 今回のレコーディング現場で一番感動したのは、皆さんの「何かを起こしたい」という情熱なんです。何かをつかもうともがいているエネルギーは、僕たちがやってるロックバンドと共通する大事なものだなと。そのことを改めて確認できたし、「何にだってなれる」という気持ちでどこまでも行ってほしいですね。

小林祐介

小林祐介

──BiSの皆さんから中野さん、小林さんに伝えたいことは?

ヒューガー こんなに素晴らしい楽曲を作っていただいてありがとうございます。活動していると、楽しいことだけじゃなくて、悔しいことやつらいこともいっぱいあって。そういう気持ちを全部乗せられる楽曲をいただけたことが本当にうれしいです。ライブを重ねて、もっとカッコよく歌えるようにがんばっていきます。

イコ 自分が加入してから初めての曲で、こんなにもカッコよくてワクワクさせてもらえて。大切に歌っていきたいし、もっとうまくなります。

左からイコ・ムゲンノカナタ、ヒューガー。

左からイコ・ムゲンノカナタ、ヒューガー。

クレ 私にとっても初めての曲で、新体制になって最初の曲でもあって。このタイミングにぴったりの曲をいただけたので、これからどんどんパワーアップしていきたいです。

シオン こんなに素晴らしい方に曲を提供していただけるなんて思ってなくて、本当にびっくりしました。この曲にふさわしいグループになれるようがんばります。

ナノ3 新体制になって、楽しみな気持ちと「これからどうなるんだろう?」という不安の両方があったんですが、この2曲を歌っていると「何にでもなれるんじゃないか」というパワーをもらえて。「この6人でもっともっと大きくなりたい」と思える曲を作っていただいて、本当にありがとうございます。

トギー みんなが言ってるように、このシングルにはワクワクした気持ちを増幅する力があって。壁にぶち当たったり、つらくなってしまったときも、この2曲を聴いたら「もうちょっとがんばろう」と思えるだろうなって。もしそうなったときは曲を聴き直して、今日いただいた言葉を思い出そうと思います。ありがとうございました。

BiS、THE SPELLBOUND

BiS、THE SPELLBOUND

2023年7月12日更新