音楽ナタリー Power Push - BILLIE IDLE

個性豊かな4人が紡ぐ“ゆるぎない”BILLIE IDLE

バイトが続かなくて全部逃げ出してた

──そんな2人が新しくユニットをやるにあたって、メンバーを募集しようということになって。昨年の8月くらいからオーディションを開催しました。

ウイカ BiS解散後、わりとすぐに募集を始めて、決まったのは9月とか10月くらいでした。応募はざっくりと500人くらいいたのかな。

──2人もオーディションの審査員として参加したんですかね?

ウイカ そうですね。2次審査くらいから参加しました。

──そして結果的にモモセさんとヤスイさんの2人がメンバーに決定しました。ヤスイさんは先ほどBiSファンだったということが発覚したので、それが理由なのかなと思いますが(笑)。

ヤスイユウヒ

ヤスイ それも理由ではあるんですけど、ちょうど人生について考えていた時期でもあって。当時20歳になったばかりで、そこで自分の人生を振り返ってみたら、本当に薄っぺらいなって思ってしまったんです。20年間何をしてたんだろうって。

──特に何かに没頭していたこともなく?

ヤスイ そうなんです。バイトもあまり続かなくて。コンビニの店員とか旅館で仲居さんみたいなこととか牧場で家畜の世話とか、いろいろやって転々としてました。

ウイカ 続かなくて全部逃げたりしてたみたいですよ。

ヤスイ はい。もう本当にクソで(笑)。

──なんで続かないんですかね。

ヤスイ 単純に仕事ができないっていうのもあるんですけど、人間関係が怖くなって行かなくなることもあって。対人恐怖症みたいな感じです。それで働くことをあきらめて1年くらいニートでした。そのときになんて微妙な人生だろうって思ってしまったんです。だからBILLIE IDLEのオーディションで一念発起してみた感じです。

ウイカ もともとアイドルは好きだったみたいですよ。

ヤスイ そうなんですよ。最後の横浜アリーナも行きました。お金がないので姉に借りて。

ヒラノ お姉ちゃんに背中を押されて応募したみたいです。

ヤスイ 自分の中でも2人と一緒のメンバーになることは興味はあったんですけど、どうしようか悩んでいたら最終的に姉が後押ししてくれたのが決めてでしたね。

モモセは車の定員オーバーでBiSになれなかった

──モモセさんはどんな動機で応募したんでしょう?

モモセモモ 私は長野県出身で適当に生きてきてそれなりに満足してたんですけど、歌うことが好きだったのでそれをお仕事にしたくて。

ウイカ 実は彼女はBiSの最後のメンバーオーディションでコショージメグミが合格したときに一緒に受かってたんですよ。

──え?

ウイカ だから本当はあのときにモモセもBiSメンバーになるはずだったんです。だけど当時私たちが移動で使っていた車にはメンバーが6人しか乗れなかったので、定員オーバーでモモセが落ちちゃった(笑)。

──そんな理由で(笑)。

ウイカ 当時コショージが金髪でモモセが銀髪だったんですよ。だからBiSに金さん銀さんを入れようって話をしてたんですけど、車に乗れないという諸事情で金さんだけ入れることに(笑)。ただ、その事情も私とのんちゃんは今回モモセが決まってから知ったくらいで、そんなことがあったなんてまったく知らなかったです。

──運が悪かったと思うしかないんでしょうけど、そこであきらめずにBILLIE IDLEも受けてみたと?

モモセモモ

モモセ BiSのときはすごくやる気だったんですよ。絶対にメンバーになるって気持ちでいたから気合いも入ってたのに、落ちたからもういいかなってなっちゃって。そうしたら渡辺さんから連絡があって、新しいユニットのオーディションの話をいただいて。これも何かの縁だし、こんなチャンスをいただけることもないだろうから挑戦してみました。

ウイカ 彼女、BiSのオーディションのときもやっぱり歌は圧倒的でしたしオーラもあったから、BiSじゃない何かをやるときにまた声をかけようって渡辺さんは思っていたらしくて。書類審査はパスで2次審査から合流した感じでしたね。応募してきた人の中でも彼女の実力はダントツでした。満場一致で入れたいってなって、決まったという経緯ですね。

──ディフェンディングチャンピオンみたいなものですけど、実際に応募された方の中でも飛び抜けて実力があったと。

ウイカ 渡辺さんとしても非の打ちどころがないと思ってたらしいし、NIGOさんもバツグンだなって思ったみたいです。文句の付けようがなかったんですよ。あとモモセとヤスイの2人に関してはBILLIE IDLEに入ってからの明確な目標がそれほど決まってなくて、けっこうぼんやりしてたんです。なんかそれもいいなって思って。

ヤスイ 「何かやりたい女の子」っていう募集要項に惹かれたというのはあります。文字通り何かやりたかったので。

ウイカ ヤスイさんの場合はやっても続かないし、何がやりたいのかもわからないけどなんかやりたいっていうちょっとズレた感じですけどね(笑)。

──じゃあウイカさんとヒラノさんにとってもちょうどいい2人が決まったという感じで?

ヒラノ 考えてみればそうかもしれない。

ウイカ 表現者としてはキャラクターを作ることは大事だと思うんですけど、BILLIE IDLEに集まった人間は己というものをほぼ持たずになんとなくいる人間ばかりですね。無理してキャラクターを演じるよりも、本来の自分からにじみ出るものこそ本物の個性だと私は思っているので、この4人だととても味わい深いユニットになってるんじゃないかと。

2ndアルバム「ROCK "N" ROLL IDLE」2015年9月16日発売 / 3000円 / オツモレコード / DDCZ-2045 / Amazon.co.jp
「ROCK "N" ROLL IDLE」
収録曲
  1. ダーリンにはならない
  2. 彼方に…。
  3. HUMANOID
  4. be-bop tu-tu
  5. 時の旅人
  6. 気狂いピエロ
  7. 君にテレポーション
  8. LOCO☆MOCO
  9. 平成ロックスター
  10. 子供のように
BILLIE IDLE(ビリーアイドル)

BILLIE IDLEファーストサマーウイカ、ヒラノノゾミ、モモセモモ、ヤスイユウヒの4人からなるガールズユニット。NIGOと元BiSマネージャーの渡辺淳之介のプロデュースにより「ネオ80's」をテーマにしたサウンドとビジュアルイメージで独自の世界観を追究している。2015年4月に1stアルバム「IDLE GOSSIP」でCDデビューを果たし、同年5月には大阪・ROCKTOWN、6月には東京・ラフォーレミュージアム原宿にて単独ライブを開催した。さらに9月には2ndアルバム「ROCK "N" ROLL IDLE」を完成させ、そのアルバムを引っさげたレコ発ワンマンライブを10月10日に東京・ラフォーレミュージアム原宿で開催する。