ナタリー PowerPush - BAZRA

バンドの新たな挑戦をこの1枚に濃縮 鳥肌ものの傑作アルバム「千回目の日曜日」完成

BAZRAが約1年半ぶりのニューアルバム「千回目の日曜日」を10月1日にリリースする。7カ月もの期間をかけじっくりと作り上げられた本作には、今後の彼らにとって新たなアンセムとなるであろうタイトルトラックや、これまで以上に生々しく響く“歌”が満載。さらには、大谷ノブ彦(ダイノジ)が作詞を手がけた楽曲や和田アキ子の代表曲「古い日記」のカバーなど、新たなチャレンジも実践されている。

今回ナタリーでは、井上鉄平(Vo,G)、ザ・ミエダタクヤ(Dr)、三浦謙太郎(B)の3人にインタビューを敢行。レコーディングのエピソードや新作に込めた思いなど、じっくり語ってもらった。

取材・文/西廣智一 撮影/平沼久奈

「千回目の日曜日」は自分が20歳の頃に聴きたかった曲

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——タイトルの「千回目の日曜日」という言葉がすごく印象的ですね。

ザ「「千回目の日曜日」は歌詞も演奏も、ある意味アルバムを象徴する曲ですね」

——普段の生活の中で「千回目の日曜日」という考え方はしないと思うんですが、これはどういったきっかけで生まれた言葉なんですか?

鉄平「僕は今年30歳になったんですけど、最初はその記念になるような曲を作ろうと考えてたんです。まず「日曜日」という言葉があって、そこから「今日までに何回日曜日を過ごしたんだろう」と振り返ると1500回なんですよね。でも、それじゃあ語呂が悪い(笑)。それでふと考えて、20歳だった頃、しゃにむになってやってた頃の感覚を思い出して20歳の頃の曲にしてみようかと。「千回目の日曜日」というフレーズが出てきたときに一気に開けたんです」

——鉄平さんの20歳の頃というと、ちょうどBAZRAを結成した時期ですか?

鉄平「そうですね。子供から大人に変わる、とにかくエネルギーにあふれてた時期でした。当時は先のことなんでどうでもよくて、刹那的な生き方に憧れてたところもあったけど、今の僕は20歳の頃を思い返しながら次の「千回目の日曜日」に向かっているわけで。そういうスタンスで過去を振り返るようになったからこそできた曲なんです。実際自分が20歳の頃にこういう曲を聴きたかったし、これから20歳になる人には絶対聴いてほしい。もちろん僕と同世代の、40歳に向かっている人たちでもいいんですけど。でも一番痛烈に響くのは、今20歳前後の人たちだと思いますよ」

曲と歌詞がリンクしていて鳥肌が立った

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——ザさんと謙太郎さんはこの曲に関してどう感じていますか?

ザ「歌詞とメロディがすごくリンクしているせいもあるんだけど、この曲の歌詞がこれまで作ってきた曲の中で一番好きです。ANARCHYの仲野茂さんも「『千回目の日曜日』ってロマンチックだなぁ!」って言ってくれて(笑)」

謙太郎「レコーディングでオケを録音するときに仮歌を入れるんですけど、歌ったのを聴いた瞬間に鳥肌が立ったんです。そういう感覚は今までレコーディングでは味わったことがなかったので、これは凄いぞと思いましたね」

鉄平「ライブ感を出すために、今回のレコーディングは半分以上ハンドマイクで歌ったんです。「千回目の日曜日」を録った後レコーディングブースから戻ると、みんな「いいねーっ!」とすごく興奮していて。そんな状況は初めてでした」

——今回、歌詞には苦労しましたか?

鉄平「毎回苦しんでるんですけどね。今までは1曲の中に喜怒哀楽を全部詰め込んでたんで、情報が多すぎて焦点がぼやけてしまうようなこともあって。でも今回は曲ごとに伝えたいシーンを絞って1曲1曲歌詞を書いたら、アルバムで曲を並べたときに今まで以上に説得力が出たと思う。書いてる最中は必死でしたけどね」

BAZRA ニューアルバム『千回目の日曜日』

2008年10月1日発売 / 2300円(税込) / cutting edge / CTCR-14595

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CD収録曲
  1. 千回目の日曜日
  2. オオカミ少年
  3. 本当の歌があるはずだから
  4. ドウスル?
  5. メリーゴーランド
  6. ムーン
  7. 理由
  8. 青春パンク
  9. 白い夕暮れ
  10. 最後の約束
  11. 古い日記
プロフィール

BAZRA(ばずら)

2000年結成のスリーピースロックバンド。メンバーは井上鉄平(Vo,G)、三浦謙太郎(B)、ザ・ミエダタクヤ(Dr)の3名。激しいロックサウンドと独特のボーカルで、コアなロックファンを中心に注目を集める。地元・札幌や下北沢でのライブ活動を経て、2002年にミニアルバム「ひょうろくだま」をインディーズリリース。2005年にミニアルバム「switch」でメジャー移籍。現在も都内ライブハウスを中心に活動中。