番匠谷紗衣|負けん気を武器にメジャーの旅へ

デビュー後はガリ勉キャラで

──地道に活動してきたという番匠谷さんが、いよいよメジャーデビューまでたどり着きました。今のお気持ちはいかがですか?

番匠谷紗衣

私は去年の11月に大阪から上京してきたんですけど、東京では挫折のような感覚も味わっていたんですよね。Web広告や「ap bank fes」など、いろんな素敵なお話をいただけるようになったけど、そこに自分の力が追い付いていないんじゃないかって感じていたと言うか。だからもっと勉強して、もっともっとがんばらなきゃって思っていたんです。そんな中、「科捜研の女」の主題歌のお話をいただき、同時にメジャーデビューできることも決まったので、改めて感謝の気持ちでいっぱいですね。家で1人でごはん食べてるときなんかにふと感極まって、「はあ、ありがとうございます…」って泣いたりしてます(笑)。

──浮き足立った感じは皆無ですよね。これまでの活動同様、しっかり地に足がついている印象です。

そうですね。「勉強しなきゃ!」って常に思ってますから。学生時代は勉強嫌いでしたけど、ここからはガリ勉キャラで行きたいと思います(笑)。昔からの友達には、「テストで一緒に0点取ってた仲間が急に勉強し出して80点とか取ったみたいな気持ちだ」って言われます。一緒にいるときに「日々、勉強やわー」とか私が言うと、「キモッ!」って返されるみたいな(笑)。でもほんまに今はそういう気持ちなんですよね。

まさかのデビュー曲

──「科捜研の女」主題歌となっている表題曲「ここにある光」はどのように作られた曲なんですか?

これは上京したばかりの頃に書いた曲で。その段階ではまだメジャーデビューは目標でしかなかったんですけど、それを実現させるために自分の中にある大切なものをなくさないように、いつでも自分の芯を思い出せるようにっていう思いを込めて作ったんです。それがまさか今回デビュー曲になるなんてちょっとびっくりですけど、自分としては本当にうれしいですね。

──作詞に高橋久美子さん、作曲にトオミヨウさんの名前が共作者としてクレジットされていますね。

はい。私は今までギターでしか曲作りをしてこなかったんですけど、この曲に関してはピアノメインのサウンドにしたい気持ちがあって。なので楽曲に関してはトオミヨウさんと一緒にお話ししながら作っていったんです。そのあと、ドラマの主題歌のお話をいただいた段階で、その世界観によりマッチするように、高橋久美子さんに言い回しなどで手助けしていただきました。私が伝えたいことはそのままに、素敵にブラッシュアップしてもらって。自分以外の方に参加していただくと、私の新しい部分を引き出してもらえる感覚がありますね。貴重な体験だったと思います。

──そういうトライは柔軟にどんどんやっていきたいタイプですか?

もちろん! 私は尊敬できる人からどんどん吸収したいタイプですから(笑)。もちろん自分として「違うな」と思ったところはちゃんと言わせていただくので、めっちゃわがままだとは思うんですよ。でもそういう私の思いも尊重したうえで、よりよいものに仕上げていただけるわけですからね。ホントに楽しい時間でした。

──番匠谷さんの大きな魅力である歌に関してはどんな気持ちで臨みましたか?

これまでの曲では感情のままに歌うことがほとんどだったんですけど、今回はカップリングも含め、歌詞と曲の空気感に向き合いながら、歌い方を考えてレコーディングに臨みました。なので今までの番匠谷紗衣の歌い方とは全然違っていると思います。感情的にわーっと歌うのではなく、抜くところは抜くっていう歌い方を意識したので、言葉1つひとつが聴いてくださる方にスッと届くんじゃないかなって。この曲を聴くことで固まってしまった心がちょっとでも柔らかくなって、優しい気持ちになってくれたらいいなって思いますね。

カップリングは一番歌ってきたカバー曲

──カップリングにはご自身のルーツであるという尾崎豊さんの「Forget-me-not」のカバーも収録されていますね。

2曲目もオリジナルにしようかなって思いもあったんですけど、ここはやっぱり今まで自分が救われてきた尾崎豊さんの曲をカバーするのが絶対いいよなって思ったんですよ。選曲は、今まで一番歌ってきたカバー曲だからですね。下手したら自分のオリジナルより歌っていると思うので、もうこれしかないなって。囁くようなニュアンスを大事にしながら、聴き心地のいい歌声を自分なりに研究して歌ったので、ふと流れてきたときに「お!」って反応してもらえたらうれしいです。

──そしてもう1曲。dynabookのタイアップソングとして使用されていたスティーブン・フォスターの「Beautiful Dreamer」も。

私はハモりがめっちゃ苦手なんですけど、この曲ではそれを何度も何度も重ねて録っていて。大変なレコーディングではあったけど、すごく心を込めて歌うことができたし、完成したものを聴いたときの感動が忘れられなかったんです。なので、改めてデビューCDに収録させてもらうことになりました。

目指すは大阪城ホール

──ここからメジャーでの旅が始まりますが、どんなふうに歩んでいきたいですか?

毎日のちっちゃい積み重ねや、そこでの素敵な出会いを大切にしながら、皆さん1人ひとりとちゃんと心でつながれるアーティストになりたいなって思います。同世代の方や同性の方にも楽しんでもらえるような楽曲、ライブ作りもしていきたいですね。大きな目標を掲げるならば……地元の大阪城ホールでライブがしたいです。ガリ勉キャラでがんばって(笑)、いつか実現させます!

──シングルリリースの翌日からは東名阪の弾き語りツアーもありますね。

弾き語りのいいところは、ギターをジャーンってかき鳴らした瞬間にその空間がギュッと1つになる感覚を味わえるところやと私は思っていて。なので、その感覚をどれだけ濃くできるか、そこにいる人とどれだけ親密になれるかを大事にしたいと思います。自分にとっては修行的な意味合いのツアーでもあるんですけど、思い切り楽しみます!