番匠谷紗衣|負けん気を武器にメジャーの旅へ

ライブは毎回死ぬ気で

番匠谷紗衣

──2015年、高校1年生のときには大阪のumeda AKASOで初ワンマンを行い、200名を動員されました。作詞、作曲とライブハウスでの活動をスタートさせてからわずか1年しか経っていないのに。

ファンもまだあまりいなかったし、集客も全然だったから、ワンマンをやるって決めたときは周囲からめっちゃバカにされましたけどね。でも、そのワンマンに向けて必死で曲作りをしたり、チケットを買ってもらうために1回1回のライブを死ぬ気でやっていた時間は確実に自分の力になったと思うんですよ。なおかつ、結果としてキャパ200人の会場が埋まったことは、それ以降の活動の原動力にもなったと思います。それがあったから改めてプロになりたいと思えましたしね。

──逆境に屈しない負けん気の強さが番匠谷さんの武器なのかもしれないですね。

確かにめっちゃ負けず嫌いですね(笑)。「この人めっちゃいいやん!」って思った歌手の方がいたら、どこがいいのかとことん研究しちゃいますから。ただ、負けん気は強いけど、そこで敵対心を抱くわけじゃないんですよ。自分がいいなと思った人に対しては尊敬もちゃんとするんです。だから、例えばオシャレな人がいれば、「一緒に服選んでくれへん?」とか言っちゃうし。で、その人のいいところをどんどん吸収したいなって。

──で、あわよくば追い越してやろうと。

あはははは。最悪や(笑)。でも思ってますね。いろんな人から何を盗めるかを常に考えて、あわよくば追い越してやろうと(笑)。

“本気の力”で引き寄せた出会い

──その後2017年には大阪・BIGCATでワンマンライブを実施、今年2月には「dynabook.com」のWeb広告に出演しスティーブン・フォスターの「Beautiful Dreamer」をカバー、7月にはライブイベント「ap bank fes '18」の“pieni stage”に立ちました。着実にステップアップされている印象がありますよね。

自分ではめちゃめちゃ地道にやってきたなって思ってるんですけどね。知名度もまだまだやから、どうしたらもっと自分のことを広められるかを毎日考えてますし。でも、BIGCATのワンマンに向けて動いている中で出会えた方々は、今の私にとって本当に大切な存在になってます。Web広告への出演もそういう出会いがあったからこそ実現したものですし、「ap bank fes」への出演はファン投票によって決まって、それまでの活動の中で応援してくださっていた方々のおかげでステージに立てました。そこには感謝しかないですね。

──でもそういう出会いを引き寄せるのはご自身のがんばりがあってこそですよね。

あー、確かにそうですね。自分が常に本気の力を出していなければ、いい出会いに恵まれることもないはずですもんね。過去の自分にも感謝です(笑)。もちろんこれからもそういう自分でありたいなって思います。

悲しみから生まれた楽曲、悲しみを救った楽曲

──では、ご自身から生まれる楽曲に関してはどんな個性、色があると感じていますか?

曲を聴いた人からは憂いや寂しさなんかを感じるって言われることが多くて。それはめっちゃ当たってるなと思います。ただ、最後にはしっかり前向きな気持ちになってもらいたくて。そこはね、何事に対しても「やるしかないんや!」って気持ちを持っている私が書いているから、そういう部分が曲にも現れるだろうし、聴いてくださる人もきっと感じてくれるんじゃないかな。

──歌詞やメロディはどんなときに浮かぶことが多いですか?

番匠谷紗衣

スーパーで買い物してるときとか、けっこう騒がしい中で出てくることが多いかもしれない(笑)。でも、ほんまに「これは曲にしたいな」って思うものは、めっちゃ心が動いた瞬間とか、何かを乗り越えた瞬間に出てきますね。で、CDに入れるような曲になるのもそういうタイプ。とは言え、日々の生活の中で感じるしょうもないことなんかも一応書き留めておくようにはしてます。

──心が動く瞬間にもいろいろあると思いますが、どんな感情のときが多いですか?

悲しいこと、かな。だから憂いや寂しさを感じる曲が多いのかもしれないですね。普段の私はほんまにあっけらかんとした“ハッピー人間”みたいな感じなので、ライブでは曲とMCのギャップが激しすぎるとよく言われるんですよ(笑)。なのでこれからはみんなで盛り上がれるような元気な曲も増やしていきたいと思ってます。それが今の課題です。

──ちなみにシンガーソングライターとしてのルーツと言うと、どのあたりのアーティストになるんでしょうか? 番匠谷さんのTwitterを拝見すると、時代も音楽性も幅広いさまざまな楽曲のカバー動画が上がっていますが。

病んでた中学時代にめっちゃいろんな音楽を掘っていて。その中で知った槇原敬之さんとか清水翔太さん、福原美穂さん、洋楽だとBon Joviなんかは大好きでよく聴いていました。でも自分のルーツとなると、それは確実に尾崎豊さんです。最初に聴いたのはテレビでだったんですけど、一瞬でビビッときて。そこからCDを買いあさって聴きまくって、そこで「今のままの自分でもいいんだな」って思えたんですよね。当時の私は自分のことがめっちゃ嫌いで、居場所がなさすぎると感じていて。でも尾崎さんの曲を聴いたら、「それが普通なんかな」って思えたと言うか。むしろ「居場所がないと感じてる自分のほうがカッコいい?」みたいな感じで、自分を正当化して生きられるようになりました(笑)。そういう意味でもめっちゃ救われたし、尾崎さんの曲がなかったらもっと弱い人間になってたと思う。確実に今の番匠谷紗衣はいなかっただろうな。