ナチュラルボーンなあざとさは母譲り

──岸さんはどうすれば10倍強くなるでしょうか？

水湊　岸みゆはあざといと言われるけど、素でこれなんですよ。そこをもっと生かしたほうがいい。どこに行っても「これって素なの!?」と聞かれるくらいあざといことができるのって、やっぱりアイドルとしては本当に天性のもので。ももちさん（元Berryz工房、Buono!、カントリー・ガールズの嗣永桃子。あざといキャラクターでテレビ番組などでも活躍し、2017年に芸能界を引退した）みたいに、この感じでテレビとかに出ていってくれたら岸みゆのよさが伝わると思う。

岸　へえ～。

水湊　ももちさんもバラエティではキャピっとしてたけど、歌うとカッコよかったじゃない？ ライブで芸人さんとか別ジャンルの方がMCをやられているとき、こんな感じで人懐っこいしイジりやすいから、すごく印象がいいんですよ。で、「岸みゆちゃんっていつもあんな感じなんですか？」って聞かれる。作られたキャラだと心配になるけど、ずっとこれだからさ。心置きなく世に出せます。

岸　親？ 母？

近藤　ビームとか出してほしい。ラブラブビームみたいな。

──どう育てられるとこうなるんですか？ 両親の寵愛を山ほど受けて育つとこうなるのか。

岸　えー？ あ、でもママとめっちゃ似てるねって言われます。

宇咲　岸みゆママもこんな感じなんですよ。2人が話してるのを見ると「親子だなー」って思う。

小鳥遊　ホワッとしとるよね。

水湊　うん、ママもラブラブビーム出してそう。

──ナチュラルボーンなんですね。純粋培養されたあざとさ。そのままでいいということですか？

岸　じゃあもっと磨き上げようかなあ。

水湊　もしかしたらちょっとやりすぎなぐらいでもいいのかもね。

宇咲　宇咲は岸みゆの声が好きなんですよ。声優とかもすごくいいと思う。

近藤　あと岸ちゃんは「宇宙よりも遠い場所」の舞台もすごかったし、舞台もいいと思う。歌の表現力もあるし、表情もコロコロ変わるから。

──岸さんはTDCホールから2人の卒業公演の間に舞台「宇宙よりも遠い場所」に参加されていましたね（参照：舞台「宇宙よりも遠い場所」開幕に堀内まり菜ら意気込み「一緒に南極に来て」）。

水湊　確かに「よりもい」もすごかった。あとはテンゴ（2.5次元）舞台とかいいと思う。舞台俳優でこれだけ背のちっちゃい子もなかなかいないと思うから、キャラクターによって需要がありそう。

近藤　「岸みゆ」という1つのキャラクターみたいな感じで。

小鳥遊　ゆるキャラだもんね（笑）。

ボイパとラップで新境地

──次は近藤さんですね。

水湊　沙瑛はこの間、番組の企画（MBS「ゼロイチファミリアは褒められたい」）でボイパを披露していて、それがすごくよかったんですよ。だからボイパをもっと磨いてほしい。そもそも声自体に引っかかりがあるというか、この見た目で声が低いというギャップもあるし。

宇咲　最近、声について言われることが多いよね。

近藤　みんなはもう慣れちゃってるからさ。

宇咲　もっと低いところいってみてよ。

近藤　うう～～～。

岸　アハハハハハ！

水湊　この声でボイパとかラップができたら武器になると思う。低音ラッパー。

岸　ラップやってほしい！

小鳥遊　ずっと不本意そうな顔してるのが面白い（笑）。

近藤　なんだろう、別に興味ない……。ボイパを極めても、歌割りでボイパばかり入れられても困るし。

小鳥遊　じゃあMCに入れるから。

水湊　「#ババババンビの無口担当」なので、MC中はボイパをしててもらおう。告知中とか。

宇咲　あとはサッカー？ 熊本出身で、今はロアッソ熊本の応援アンバサダーなんですよ。

水湊　あー。沙瑛はサッカーとかカフェ巡りとか、こだわるととことん極めるタイプで。最近だとライブTシャツのデザインを考えてくれたりもするので、プロデュース的なことも向いてるのかも。

宇咲　うんうん、いいと思う。

小鳥遊　最近、ロアッソを応援してる方が沙瑛ちゃんきっかけで#ババババンビを知ってくださることが多いんですよ。好きなものに特化して突き詰めるといいよね。

水湊　好きじゃないかもしれないけど、ボイパも突き詰めてほしい（笑）。でも、ボイパとかラップが好きになったら突き詰めるんでしょ？

近藤　そうだよ。

水湊　じゃあ好きになってもらおう。めっちゃカッコいいボイパ奏者とかラッパーを毎日紹介していい？

近藤　うん。うるせーなーと思うけど（笑）。

隠れおバカな妹は虫も食べる

──では最後に宇咲さん。

水湊　宇咲はホントはおバカなんですけど、あまり気付かれてないからもっと前面に出してほしいと思う。

近藤　わかるー！

水湊　なんか隠そうとするんですよ。たぶんまだ思春期だから。

岸　アハハー！ かわいい！

宇咲　もう20歳だよ？

岸　なんかのインタビューで私たちが「宇咲のいいところはおバカなとこ」って言ったら「これ使わないでください」って真顔で言ってた（笑）。

小鳥遊　バラされた（笑）。これも使われなくなっちゃうよ。

水湊　絶対にいいところだと思うんですよ。宇咲はしっかりしてそうに見えるし、実際の歳よりも大人っぽく見られがちだから、歳相応な面が見えるとすごくうれしい。この妹っぽさをもっと多くの人に知ってほしい。

小鳥遊　愛おしいよね、なんか。

宇咲　じゃあ、るいちゃんと一緒にクイズ番組に出たい（笑）。応援係で。

近藤　私、あれに出てほしい。激辛対決みたいなやつ。

水湊　そうそう！ 宇咲ちゃんは体張れるんですよ。

岸　虫も食べるんですよ。

水湊　この見た目で虫とか激辛食べられる人そんなにいなくない？ これもギャップだよね。インパクト強いよ。バンジーもめっちゃ喜んで飛んでるし。

宇咲　喜んではないですよ？ 初めてだったから興味本位で。

岸　20歳になったばかりだから、新しいことにもどんどんチャレンジしてほしい。

水湊　どうする？ 利き酒とかやるようになったら。

岸　やだやだ！ でも宇咲ちゃんは#ババババンビの中にいるとどうしても「しっかり者」というイメージになりがちだから、真逆のギャップがあるんだよってところはもっと見せていきたいです。

私たちだけが「武道館に立ちたい」って言ってるだけではダメ

──これでひとまず全員ひと通り考えられましたね。

近藤　10倍が5人で50倍になったよ、バンビのよさが。なったのかな？

水湊　クイズとアニメ声、楽器と運動音痴、あざとさと舞台、ボイパとセルフプロデュース、おバカと体張る……。

小鳥遊　……バラエティグループ？

近藤　ねえ（笑）。

──自分たちの番組だけでなく、少しずつメディア露出の機会も増えてきたので、表舞台に出ていく度胸はかなり付いたのではないでしょうか。

水湊　度胸は付いたかもしれない。自信は全然ないですけど。

岸　やるしかねえ、って感じ（笑）。

小鳥遊　「やりなさい」って言われたらとりあえず受け入れるようになった（笑）。

──メジャーに行くことで環境も変わるし、環境が変わればその先の目標や夢も変わっていくと思いますけど、#ババババンビは「日本武道館に立ちたい」とよく言葉にしてましたよね。その気持ちは変わらない？

水湊　そうですね。 コロナでデビューライブが中止になった日もいろいろ取材していただいたんですけど、そのときから口に出して伝えてる目標だし、何年経っても変わらない憧れの舞台。やっぱり私は武道館を目指してがんばっていこうと思います。そこがゴールというわけではないですけど、まずは5人の大きな1つの目標として「日本武道館に立ちたい」という思いがあります。私たちのライブのすべてがそうだけど、時間とお金を使ってライブに行くというのは本当にすごいことだと思っていて。私たちだけが「武道館に立ちたい」って言ってるだけではダメで、「#ババババンビが武道館をやるなら足を運んでやろう」と思ってもらえるようにならないと。#ババババンビを応援してくれてる人にも何度でも伝えたいし「アイドルはそんなに興味ないし」という人たちにも私自身の本気を伝えきれないと足を運んではもらえないと思うので、これまではアイドルファンの方に見てもらってる中で必死にがんばってきたけど、ここからはさらに広く伝わらないといけない。伝えたい。それが今の目標ですね。

──外にばかり向きすぎると、これまで応援してくれていたアイドルファンが離れていくかもしれないし。

宇咲　そうなんですよ。そういうミーティングよくするよね、私たち（笑）。

水湊　私たちがそう意識を統一することができないアイドルだったから、運営さんもメジャーに行くという決断をしたのかな？と思うんですよ。今のまま続けるのもいいけど、目標として常に口に出してきた武道館を本気で目指すなら、今まで応援してきてくれたたくさんの人との約束を叶えるためなら「インディーズでやっていく」という方針を変えてでも、もっともっとがんばらなきゃだし、多くの人に力を借りるべきなのかもしれないって。

──事務所も含めノウハウを持たないまま音楽に挑戦するのはきっと本当に大変で。例えば皆さんよりあとに出てきたFRUITS ZIPPERは真逆で、音楽については百戦錬磨のアソビシステムだから駆け上がりの速度がすごいですよね。同じコロナ禍に誕生したアイドルグループとして意識する部分があると思うし、嫌らしい話、勝手に対立構造として捉えているところもあって。

水湊　イヤー！（笑） でも確かに比べていただくことは多いかもです。

──1年であれだけ注目されているのを見ると、悔しくないですか？

水湊　うん、悔しいですね。……これ使われるのかな（笑）。

近藤　悔しいよね。

──初めて現れたわかりやすい比較対象という感じもあるかもしれないですね。同じ7人組だったこともあり。

小鳥遊　確かに連載の雑誌が同じだったりとか、衣装のメーカーさんが一緒だったりとか、似てるところも多くて、比べたくなっちゃうのかもしれませんね。

水湊　でも結成1年で豊洲PIT完売とか聞くと……私たちなんて無観客で配信で観てもらったりしながら、1年経ってようやくデビューやり直しライブをしてたくらいだから（参照：#ババババンビ、1年越しのデビューライブで第2章の始まり）。そう思うと全然、比べていただける位置にも立ててなかったと思うし。そう思うと、そこから今の私たちのレベルまで成長するのも必死だったし、やっぱりみんなの応援あっての#ババババンビだと改めて思いますね。

小鳥遊　#ババババンビは結成した時期も時期だったので。あの時期にアイドルグループをデビューさせる人たちもいなかったから「今始めるの？」って言われたし、とにかく自分たちや環境との戦いでお手本としてどこかを見たことも、なんならほかのアイドルさんと比較したり、されるときが来るなんて考えたこともない状態で活動していたので、ほかのグループさんを見て「私たちもああいうふうになりたい！」と思うのが初めてくらいなんです。

水湊　私たちもTikTok始めよう、ここからできることを1個ずつがんばろうって言ってたもんね（笑）。

岸・宇咲・近藤　うん。

岸　私たちはずっとそうなんですけど、どんなときも特別なんかじゃなくて、コンセプトでもある「嫌なときも難しいときもあるけどこの瞬間は馬鹿みたいに……」ってとにかく１歩ずつがんばってやっていくしかないってわかってるので、それが伝わるようにこれからもがんばっていく。

宇咲　お、それです。なんか、宇咲も思ってたけどうまく言葉にできない、いい感じのこと岸みゆが言ってくれた（笑）。

岸・宇咲・近藤・水湊・小鳥遊　アハハハハ！

──いろいろ聞いてきましたが、安心しました。このところ急展開なので、皆さんもちょっとグラついたりしているのでは……と思っていたのですが、ちゃんと前を向いて進んでいるんだなと。

岸　いっぱいしゃべったね。

水湊　ちゃんと伝わるかなあ。

──今の5人の雰囲気が伝わる、いい読後感が残るテキストにできたら。

小鳥遊　お願いします。読後感がどのくらいの方に伝わるか……。

水湊　……（小声で）ドクゴカンって何？

小鳥遊　読んだあと。読後。

水湊　ああ～！

岸　ごめん、何もわかってないのにうなずいてた（笑）。

近藤　今、隣（宇咲）から小さい声で「そっちか」って聞こえた（笑）。

宇咲　いや、独自の感性みたいなことかと思ってた（笑）。