芸能事務所ゼロイチファミリア発の5人組アイドルグループ・#ババババンビが、9月27日にシングル「ゲイシャフジヤマ」でキングレコードよりメジャーデビューを果たした。
メジャーデビュー決定直後にメンバー2名が卒業し、岸みゆ、水湊みお、小鳥遊るい、近藤沙瑛子、宇咲の5人編成となった#ババババンビ。2人の卒業を受けて新メンバーオーディションが行われていたが、彼女たちは5人で活動を続けることを選択した。そして2024年3月14日、グループ結成時からの目標であった東京・日本武道館でのワンマンライブが決定。#ババババンビの活動は4年目にして急展開を迎えている。
音楽ナタリー3回目となる今回の特集では東京・江戸川橋にあるキングレコード本社にて、メジャーデビューに向けて着々と準備を進めるメンバー5人にインタビュー。トリッキーでインパクト抜群なデビュー曲「ゲイシャフジヤマ」の制作エピソードと注目ポイント、そして約半年後に控える日本武道館ワンマンへの思いを聞いた。
そしてこのインタビューでは、終了間際にメンバーへのドッキリが。インタビュー翌週の8月28、29日に予定されていたシングルヒット祈願24時間企画の内容が「富士登山」であることを突然聞かされうろたえる5人の様子と、見事全員そろっての富士登山に成功し、文字通り大きな山を越えてひと回り成長した彼女たちの最新コメントもお届けする。
取材・文・撮影 / 臼杵成晃
まさかの急展開、夢の武道館が目前に
──音楽ナタリーでは7月末に5人体制初のインタビューを掲載したばかりで。
岸みゆ あ、あのロングインタビュー!
──皆さんのリアルな発言を極力そのまま文字にしてお届けしましたが……音声を聞き起こすとき、岸さんの笑い声が飛び抜けて音量がデカいんですよ。
水湊みお 「キャハハハハ!」ってやつだ(笑)。
岸 (小声で)今日は少し静かめに笑います。
──前回のインタビューでは、まだ具体的に決まっていなかったメジャーデビューに向けての心境に加えて、大きな目標であった日本武道館ワンマンへの思いを語ってもらいました。取材時はまさかこんな急に、しかも記事が出た直後に武道館公演決定のお知らせが届くとは思ってもいませんでしたが。ホントに急展開ですね。
水湊 あれから急にメジャーデビューの日程や武道館公演が決まって、まだ気持ちが追いつかない部分は若干あります。でも、そのあとでデビューシングルの発売に合わせたリリースイベントが決まったり、「TIF」(「TOKYO IDOL FESTIVAL」)でみんなの前で武道館公演について発表したことで、どんどん実感が湧いてきて。改めてこの5人でがんばっていこうと気を引き締めて、半年後の武道館まで1日1歩ずつでも前進できるようにとメンバーみんなで話しています。ちゃんと武道館にふさわしいアイドルにならなくちゃねって。
小鳥遊るい 前回お話ししたときはまだオーディションがどうなるかもわかっていなくて、何もかもが不安だったんですよ。結果オーディションは合格者なし、5人で活動していくということになって。もちろん最終決定は運営さんにしていただいたんですけど……「武道館やるよ」と聞いたときは、「ここまで一緒に夢を追いかけてきたメンバーであのステージに立てる」という喜びがある反面、武道館に立ち向かうからこそ新メンバーを入れてパワーアップしたほうがよかったのかもしれないという思いもありました。でも、オーディションの結果を発表したとき、SNSでは5人だけで夢に向かって活動する決断を喜んでくださる声が多かったんですよ。今はとにかく5人で一丸となってがんばっていきたいです。
──「TIF」での武道館発表の瞬間が土砂降りだったというのも、結成時からさまざまな不運に見舞われてきた#ババババンビらしいエピソードですね(笑)。
水湊 岸みゆが「日本武道館決定しました!」って言った瞬間にCGみたいな土砂降りになって(笑)。
宇咲 演出かと思ったよね(笑)。後ろの人は「雨の音がすごすぎて岸みゆの声が聞こえなかった」って。
岸 アハー! しゃべってたらめちゃめちゃいいところで雨が降ってきて、お客さんたちもざわざわしていて。「やっぱりバンビだなー」って思っちゃいました(笑)。
近藤沙瑛子 でも、あんなに雨が降ってたのに誰もそこから動こうとせずに話を聞いてくれていて。びしょびしょになりながら「おめでとう!」と声をかけてくれてうれしかったですね。
順風満帆そうに見えるかもしれないけど……
──オリジナルメンバー2人の卒業、オーディション、メジャーデビューという急展開には賛否あると思うんですよ。武道館発表も祝福の声だけではなく、「まだ早い」みたいな辛辣な声もありますよね。メジャー展開で慌ただしい中、皆さんのメンタルが心配なところもあります。
水湊 変化が大きいので、ずっと私たちのことを見てくれているファンの方たちの中には「遠くに行っちゃうんじゃないか」と思っている人も多いだろうし、私たちもまだまだ先だと思っていた武道館が急に目の前に迫ってきたので、このスピードに必死でしがみついている状況ではあります。
──水湊さんのSNSを見ていると「大丈夫か?」と思うようなつぶやきがたまにありますけど。
水湊 病んでるというよりは(笑)、「がんばらなきゃ!」という焦りですね。武道館に立ちたいと言っていたのは自分たちだし、ずっと待っていてくれたファンの方もいると思うので、やっと叶えられる夢の舞台を失敗に終わらせるわけにはいかない。私たちを知らない人からしたら、#ババババンビは順風満帆に見えると思うんですけど、武道館というのは本当に大事で特別な舞台なので「絶対に観に来てほしいんだ」という思いを常に伝え続けていかないと。
小鳥遊 ファンの方の中には「今の#ババババンビは勢いがあるから武道館も即完売しちゃうよ」と言ってくださる方もいらっしゃるんですね。でも実際にチケットの最速先行受付が始まって、たくさん申し込みはいただいてるものの、武道館の席数に対して目標の数には正直達していなくて。もっともっと知ってもらわなくてはという焦りがないとは言えない。
水湊 「大丈夫でしょ即完でしょ」と「#ババババンビって武道館やるほど売れてたっけ?」で二極化してるんですよ。「まだまだ武道館なんて立つレベルじゃないでしょ」という声があるのは当たり前だと思うし、これまで応援していたけど7人から5人に変化したことを受け入れられないという人もいると思います。焦りはありつつ、前向きな気持ちではあるんですけど。
──むしろマイナスな意見を受けての5人の結束力は高まっている?
水湊 間違いなく高まってますね。休憩の時間なんかにも「あそこ、こうしたほうがいいんじゃない?」みたいな話し合いをすることが多くなったし、今までやってなかったTikTokも「たくさんの人に知っていただくためにルートは多いほうがいいからやってみよう」と力を入れてみたり、みんなで前向きに取り組めています。
「これがメジャーか!」
──5人でのライブパフォーマンスには慣れました? 最初に5人でのライブを観たときは、両サイドでガヤガヤとステージをにぎわしていた池田メルダさん、吉沢朱音さんが抜けたことで、#ババババンビのコンセプトである“馬鹿騒ぎ”の部分を維持していくのが大変そうだなと感じました。
小鳥遊 前回「実は馬鹿騒げない人たち」みたいな話をしましたけど、5人になってより馬鹿騒ぎから遠いグループになっちゃった(笑)。
水湊 「7人組から2人がいなくなった#ババババンビ」じゃなくて、5人の新しい魅力を出していけるようにしたいなと話していて。いいところも悪いところも全部さらけ出さないと個人個人の魅力は見えてこないと思うから、今はその最中という感じです。
──その馬鹿騒ぎコンセプトもレーベルの意向によっては変化する可能性がある、なんならデビュー曲がしっとりした曲になるかもしれない、という話をしていましたけど……デビュー曲の「ゲイシャフジヤマ」、びっくりするくらい馬鹿騒ぎ曲でしたね(笑)。
岸 びっくりしました。
宇咲 すっごい攻めてる。
水湊 最初に歌詞だけ受け取ったときは、和風な、和楽器とかを使った曲になるのかな?と思ったんですけど、それだけじゃなくてラップもあるし……馬鹿騒ぎ曲ではあるものの、まったく新しいジャンルなのでちょっと不安ではあります。
──任侠映画のようなイントロからスウィングで始まり、トラップ要素もラップも和の要素も入ってくる、本当にカオスな曲で。楽曲制作の面で、これまでとの違いを感じることはありますか?
水湊 今までは「どういう曲がいい?」とか「歌詞はこれとこれどっちがいい?」とか、曲作りのときは私たちにも相談があって意見が反映されていたんです。そこはメジャーデビューすると変わっちゃうのかなと思いきや、意外とそういうところは変わらず。
小鳥遊 うん。デビューシングルのレコーディングではそういう意味で大きな変化は感じなかったけど、ミュージックビデオの撮影は……すごかったね。「これがメジャーか!」と思いました(笑)。
宇咲 あんな豪華なセットで、CGも付けてくださって……。
小鳥遊 着いたばかりの頃は空っぽだったスタジオが、次に入ったときにはキャバレーになっていて、撮影してまた戻ったら今度はお寿司屋さんになっていて。
宇咲 すごいんですよ! 「へえ!?」って。
岸 エキストラでおすもうさんが来てくださったんですよ。初めて生でおすもうさんを見ました。
──メジャーになったら生のおすもうさんが見れた(笑)。それはうれしいことだったんですか?
岸 うれしかったです!
近藤 セットが豪華な分、それに見合うようにちゃんと踊らなきゃ……という緊張とプレッシャーも同時にあって。でも本当にどのシーンを観ても目移りするくらい素敵な作品になっているので、ぜひ何度も観てほしいです。