私は創造し続けないとダメな人

──こうやって多種多様なアーティストと制作をともにしてみて、自分自身について改めて感じたことや新たにわかったことはありますか？

私は歌う人だけど、やっぱり創作が好きなんだなということですね。作るプロセスも好きだし、創造していくことを続けないとダメだなって。音楽を辞めてしまったらたぶん死ぬだろうな、みたいなことがまたわかってしまった。同時に、このアルバムの中には自分の至らない面もたくさんあって、今さら気付いたことや新たな課題も出たし、未来と今が見えましたね。

──単にシンガーという側面だけではないと。

そうですね。アルバムが1曲だけずば抜けてよくて、あとはダメなんてあり得ないんです。だから、サウンドなりアートワークなり、すべてにおいてバランスを考えて作りたい。ほかに私がやっている活動、例えばブランド（ヘアアクセサリーブランド「Tuno by Azumi」）のことも、DJもお芝居も、私が作るものに関してはそこを一番大切にしているんです。あとは、聴いてくださる方やライブを観に来てくださるファンの皆さんにとにかく楽しんでほしいっていう、ホントそれだけ。楽しんでもらうために私はバランスを取るみたいなことですね。

──その考えは昔からずっと変わらないんですか？

相手のことを考えて行動するっていう部分は昔からあったけど……デビューしてライブをやっていると、ファンの皆さんの喜んだり泣いたりする顔を目の当たりにするんですね。みんなはこんなにも曲を愛してくれているんだなあってわかって。みんなが待ってくれている限り、私はこの場所を絶対に守り続ける！みたいな使命感が生まれました（笑）。なのでデビューしてから生まれてきた気持ちですね。

──じゃあ、デビューから今日までの16年で自分の一番変化したところというと……。

（即答で）責任感。

──最初はその点はゼロだった？

全然ないですよ（笑）。私は歌いたい歌を歌ってるだけ、みたいな。斜に構えてるし、カッコつけてるし、超生意気だったし、自分のためだけに歌っていたと思います。でもライブをやる上で周りのスタッフに「お前は誰のために歌ってるんだ」「どこに伝えたいんだ」ってすっごいしごかれて（笑）、どんどん自分の間違いに気付くというか、ファンの人を見てどんどん変わっていきましたね。

──このアルバムもファンの方にどう受け取ってもらえるのか楽しみですね。

今はSNSとかで反応を見られますけど、やっぱりオリジナルアルバムっていうとみんなこんなに喜ぶんだと思って。「楽しみでしょうがないです」って言ってくれるファンの方が多いから、待たせちゃったなと思いますね（笑）。実際、昔から聴いてくれている皆さんが聴きたいと思う曲も入れた作品を、私は歌っていきたいなと思って作りました。

いろんなクリエイティブワークが相互作用でいい影響に

──“キャリア集大成”と謳ったアルバムをリリースして、これからのAzumiさんはどんな方向に進むんでしょうか。

それは模索中なんです。今はやり切っちゃって。常に3つぐらいやりたいことはあるんですけど、どれをやろうか、アウトプットの仕方をどうしようかって迷ってるところです。

──今のAzumiさんは音楽に限らず、ファッション、演劇などさまざまな分野に土壌がありますからね。

この間初めて映画（2016年夏公開予定の「函館珈琲」）でお芝居をやったんですけど、ホンットに夢みたいで毎日幸せで、こんなに面白いことがまだ残っていたんだ！と思ったので、そっちもどんどんやりたいです。

──それにしても八面六臂の活躍をされていてタフですよね。

タフですかね？ 1つのものに集中しちゃえば平気ですよ。同時期に全部一緒にやるのは私は切り替えられないから大変だな、というのはここ数年で感じたことなので、ひとつ終えて次へみたいな感じで行きたいかな。止まりたくはない。いろんなクリエイティブワークからもらったものが相互作用をもたらして、全部にいい影響を与えるだろうなっていうふうに思ってます。