ナタリー PowerPush - AZU×吉田山田

スウィートな“杏仁豆腐”シンガー 赤裸々アーティスト対談

シンガーソングライターのAZUが、ドラマやCMタイアップ曲満載の5thアルバム「4seasons」を完成させた。透き通るようなスウィートボイスがつむぐのは、タイトル通り、四季を彩る12編の楽曲。季節を問わず楽しめる、1年を通してそばに置いておきたいコンセプチュアルな作りとなっている。

今作のリリースを記念して、ナタリーではAZUと交流のある男性デュオ・吉田山田との対談を企画した。お互いの音楽制作にまつわるトークは予定時間をオーバーするほどの大盛り上がり。アーティスト同士だからこそ生まれる質問や興味深い見解を、このテキストからじっくり楽しんでほしい。

取材・文 / 川倉由起子 撮影 / 佐藤類

AZUさんはタレ目だろうなって(笑)

──まずは、お2組の出会いから教えてください。

AZU

AZU 私、山田さんは今日が初めてなんですけど、(吉田)結威くんとはタコ焼きパーティで出会って。去年の10月くらいだったかな?

吉田結威 そうだね。僕らのバンマスであり、AZUちゃんとも仕事をしているアレンジャーさんの家でタコ焼きパーティがあって。他のミュージシャンさんたちもいて、みんな終電くらいで帰っちゃったんだけど、僕とAZUちゃんとアレンジャーさんの3人は明け方まで語り合ったという。

──初対面でいきなり?

AZU はい。意気投合しちゃいました。何を話したかはよく覚えてないんですけど(笑)。

吉田 同じく(笑)。でもそのアレンジャーさんがみんなの兄貴みたいな人で、僕もAZUちゃんも相談をしたりしてて。音楽の話をけっこう熱くした気がする。で、今回はそんな流れからAZUちゃんが吉田山田との対談を提案してくれて。ただ僕、最初に知らされたときすごいドキドキしたんですよ。マネージャーが不穏な顔して「お前、AZUさんって知ってんのか?」って聞いてきて、「え! オレ何か悪いことした?」みたいな(笑)。

AZU アハハハハ(笑)。何か勘違いされちゃったんだ。

吉田 マネージャーは僕がAZUちゃんと知り合いになったことを知らなかったんだよね。で、山田のほうは……。

山田義孝 初対面です。よろしくお願いします! 僕、今日の対談に備えてあえて音だけ聴かせてもらってきたんですね。プロフィールとかは調べずに。そしたらすごくスウィートで包容力のある歌声だったので……タレ目だろうなって(笑)。

AZU すいません!(笑) 全然タレ目じゃないです。

山田 あ、あ……でもかわいらしい方ですね。イメージ通りの。

吉田 どこからタレ目が出てきたんだよ(笑)。

一番好きだったアーティストはTLC

──AZUさんから見た初対面の山田さんの印象はどうですか?

AZU 結威くんに「(山田は)不思議な感じで、AZUちゃんと似てるところがあると思う」って聞いてたんですよ。

吉田結威

吉田 はい、僕から言わせると2人はすごく似てて。だからAZUちゃんとも最初からすぐ仲良くなれたのかなって思うし、前から知り合いだったような感じがしたんです。どこが似てるのかはあまりうまく言えないんですけど、なんとなく山田とAZUちゃんは言うことやものの感じ方が近いというか。

山田 何型?

AZU O型。

山田 僕、A型。いて座?

AZU うん、いて座!

山田 僕もいて座! 12月13日?

AZU あー、違う。私、12月8日。

吉田 あの、盛り上がってない合コンみたいなの止めてもらっていいですか?(笑)

山田 そうだ! 僕、AZUさんに聞きたいことがあるんですよ。例えば、音楽のルーツとか。

AZU 私はもともと、15歳のときにガールズバンドでスカをやってて。メンバーはみんな当時流行ってたスカやメロコアを聴いてたんだけど、私はR&Bがすごい好きで。お母さんがR&Bとかブラックミュージックを聴く人だった影響もあって、そういうジャンルにもうどっぷりでしたね。一番好きだったアーティストはTLCで、R&Bへの入りも彼女たちだったし。

山田 R&Bといえば僕も高校時代スティーヴィー・ワンダーが好きだったんですよ。学生時代に聴いてた音楽はその後もずっと影響してますよね。

吉田 僕らの曲調は全然R&Bじゃないけど、レコーディング中、たまに山田がR&Bっぽいフェイクを入れてきたりするからね(笑)。

提供曲に“入り込む”能力

──お互いの音楽活動や制作に関して、気になることはありますか?

吉田 僕らは全部自分たちで作った曲を歌うけど、AZUちゃんは提供の曲も歌うじゃない? それってどういう気持ちなのか、僕はずっと気になってて。

AZU ああ、なるほど。私、普段から詞を書くのに全然悩まないんだけど、この曲は書ける書けないっていうのが曲を聴いたときにパッと分かれるのね。で、書けないと思ったらすぐ作詞家さんにお願いしちゃう。そこで一緒にイメージを相談しながら書いていったりするんだけど……作詞家さんが書いた曲を歌うときは、自分があたかもその経験をしたみたいな妄想に入っちゃうことが多いかも。アニメを観たりマンガを読んだりして、自分が主人公になっちゃう感覚というか。そうすると自然に泣けてきたりするんだよね。

吉田 へー。でもそれって“入り込む”能力が高い人じゃなきゃ難しいんじゃないかと僕は思っていて。ほかの人が書いたものを聴き手にちゃんと伝えるためには、たぶんそれを持ってないとダメなんだろうなって。

山田義孝

山田 AZUさんは、提供曲も自分のものにできちゃうんだね。

AZU 歌ってても、たまに「これ自分で書いたんだっけ?」って感覚に陥るときがあって。不思議なんだけど、歌えば歌うほどそうなるかな。

──先ほどAZUさんは「詞を書くのに全然悩まない」とおっしゃいましたが、それはなぜだと考えていますか?

AZU たぶん、そのときのまんまの感情をワーッと書いてるからかなあ。私、リアルなことしか書けないから。

吉田 今回のアルバム「4seasons」は聴いてて恋愛の曲が多いと思ったんだけど、それもそう?

AZU うん。歌詞ができると一旦スタッフさんに見てもらって修正したりするんだけど、結果最初に出てきた感情のほうがよかったね、みたいになることも多いんだよね。

AZU 5thアルバム「4seasons」2014年1月29日発売 / アリオラジャパン
初回限定盤 [CD+DVD] 3800円 / BVCL-565~6
通常盤 [CD] 3059円 / BVCL-567
CD収録曲
  1. Hello
  2. XOXO
  3. I LOVE YOU
  4. I LOVE YOU TOO feat. MIKU a.k.a tomboy
  5. LIFE(プロアクティブ[マスク編]CMソング)
  6. Promise
  7. Summer Time!!!(OISOロングビーチ / エプソン品川アクアスタジアム2013キャンペーンソング)
  8. ただ君を…
  9. Now You're Not Here
  10. Circles of Life(テレビ朝日系 木曜ミステリー「京都地検の女」主題歌)
  11. モノクロ(中京テレビ「PS三世」2014年2月度エンディングテーマ)
  12. Sweet Home
初回限定盤DVD収録内容
  • 「Promise」from AZU PREMIUM LIVE “AZUDECHANeeL Vol.1”
  • 「Promise」MUSIC VIDEO
  • 「I LOVE YOU TOO feat. MIKU a.k.a tomboy」MUSIC VIDEO
  • 「Circles of Life」MUSIC VIDEO
AZU(あず)
AZU

三重県出身のシンガー。16歳からクラブシーンで「AZU」としての活動を始め、2007年5月30日にシングル「CHERISH」でメジャーデビューを果たした。翌2008年にはSEAMOとのコラボレーション楽曲「時間よ止まれ feat. SEAMO」が大きな注目を集め、配信楽曲「いますぐに…」「YOU & I feat. LOVE LOVE LOVE」は着うたランキングでウイークリー1位を獲得。新日本製薬CMソングに起用された「Ring~M&M~」は着うたで異例のロングヒットを記録した。2012年10月にはデビュー5周年を記念して、初のベストアルバム「BEST」をリリース。2014年1月に通算5枚目のフルアルバム「4seasons」を発表した。

吉田山田(よしだやまだ)
吉田山田

吉田結威(G, Vo)と山田義孝(Vo)からなる男性2人組ユニット。高校時代に出会った2人が紆余曲折を経て、2003年頃から2人で音楽活動をスタート。地道なライブ活動を経て、2009年10月にシングル「ガムシャランナー」でメジャーデビューを果たす。2011年7月に発売されたシングル「約束のマーチ」は愛知冠婚葬祭互助会「愛昇殿」のCMソングに採用され、大きな話題を集めた。2013年には「大阪マラソン2013」で初のフルマラソンに挑戦。2人そろって5時間を切るタイムで完走した。さらにNHK「みんなのうた」2013年12月・2014年1月オンエア楽曲の「日々」を同年12月に発売し、各方面から大反響を呼んだ。2014年1月、待望の3rdアルバム「吉田山田」をリリース。本作を引っさげ、Zepp Tokyo公演を含む過去最大規模の全国ツアーも1月25日にスタートした。