ナタリー PowerPush - 剛力彩芽
アーティストとして急成長を提示する 2ndシングルの魅力に迫る
嫌いなところを100も挙げたくなる気持ちもわからなくない
──いよいよ2ndシングル「あなたの100の嫌いなところ」が発売されます。前作「友達より大事な人」よりもちょっと落ち着いたテンポ感の楽曲ですね。
そうですね。元気な感じなんですけど、もうちょっとかわいらしさが強調されているというか。
──なのに曲名のインパクトは絶大という。
ねえ? すごいですよね(笑)。
──最初にタイトルを聞いたとき、どう思いました?
もちろん驚きもありましたけど、嫌いなところを100も挙げたくなる気持ちもわからなくないなって。イヤよイヤよも好きのうちじゃないですけど。
──タイトルだけ見るとちょっとネガティブな印象を受けますけど、100も嫌いなところを言えるっていうのは、相当その人のことを……。
見ているし、知っている。本当に嫌いだったら相手に対して無関心ですからね(笑)。それだけ気になる存在っていうことは、結局好きなんだよっていう。
──こういう逆説的な表現をタイトルに用いるのも、かわいらしいというか。
そうですね。歌詞にもちょっとキツい言葉が出てくるのに、それすらもかわいく感じられるし。すごくかわいらしいタイトルだと思います。
芝居もダンスも、全部歌うことに役立ってる
──レコーディングのときには、この歌詞の主人公を頭の中でイメージして歌った?
はい。自分と架空の相手のやり取りをイメージしたり、それをまた客観的に見たり。そうした上で思ったのは、この曲はお芝居みたいに、例えば嫌いなところを言う際にあっさり「本当に嫌いなんです!」って表現するんじゃなくて、「でもなんか気になっちゃうんだよ。それをわかって!」っていう気持ちも伝えなくちゃいけないなって。しかもどんどん曲が進んでいくにつれて、相手に自分の気持ちを気付いてもらえなくてちょっとイライラした感じとか、いろんな感情が出てきたりして、それが楽しいんです。
──なるほど。レコーディング自体には慣れました?
だいぶ慣れました。「友達より大事な人」がまさに人生初のレコーディングで、1曲に12時間くらいかかったんですよ。でも今回は初めてハモリにも挑戦して、トータル9時間で終わったんです! すごく成長したねってみんなが言ってくれて(笑)。
──それはかなりの成長ですよ。
ですよね? あと、デビューシングルのときは自分の中では感情を込めて歌ったつもりだったのに、完成したものを聴いてみたらすごく平坦な歌になっていて、「えっ? なんでこんなに感情が入ってないんだろう……」って衝撃を受けたんです。でも今回はそこを踏まえつつ、いろんなことを気にしながら歌いました。
──確かに表現力が増して、すごく伝わってくるものがありました。
うれしい。まっすぐ伝えちゃったら相手を傷付けちゃう言葉も含まれてるし、そこの微妙なニュアンスというか伝え方についてはすごく気を遣いましたね。
──さっき「お芝居みたいに」と言いましたが、この曲を歌う際には今まで役者として積んできた経験が役立ってるんでしょうか?
お芝居もそうだし、ダンスもそうだし、そういう何かを表現するっていうことに関しては全部役立ってると思います。私自身、表現することがすごく好きですし。よく「伝わるってどういうことなんだろう」って考えるんですけど、結局歌を楽しまないと相手に伝わらないなって。それってどの仕事でも一緒なんですよね。自分が楽しいとか好きだとか、そういう気持ちをもっと大切にしていかなきゃって改めて思いました。だから歌もとことん楽しんでいこうと思ってます。
友達を前にして歌うのが一番気持ちを込めやすい
──カップリングの「Dear MY FRIEND」は、ちょっと80年代のダンスミュージック調で懐かしさを感じさせますね。
歌詞も曲調も、前作の「友達より大事な人」の続編みたいな感じで作ってくださって。これもすごく共感できる内容だなって。
──確かに、「友達より大事な人」に通ずるテーマを持った楽曲ですね。じゃあ歌うときは、自分の大切な親友を思い浮かべながら歌ったんでしょうか?
そうですね。レコーディングのときは、歌詞カードに友達の名前を書いたり写真を見たりして、友達のことを思いながら歌ってました。なんかもう途中で連れてこようかなと思っちゃって(笑)。友達を前にして歌うのが一番気持ちを込めやすいんじゃないかな。でも実際にやったら、それはそれで恥ずかしいんですけど(笑)。
──歌詞はどの曲も作詞家さんが書いていますが、例えば剛力さんが考えていることや思っていることが歌詞にフィードバックされてたりするんですか?
私からこうしてほしいとは言ってないんですけど、皆さん私のことを思い浮かべながら書いてくれていて。もし自分ならこういうふうには言わないかもって思ったら、そのときは「ちょっと違った言い方にしてもらえますか?」と提案させてもらってます。
──そしてもう1曲のカップリング曲、「up!! up!!」はたむらぱんさんが作詞しているんですね。
そうなんです。私も歌詞をいただいたときに「えっ!?」ってビックリして。この歌詞もすごく好きで、「いろいろ立ち止まったりすることもあるけど、自分を信じていればなんとかなるさ」的な内容がすごく気に入っていて、いつも歌って元気をもらってます。わりと自分が普段思ってることがそのまま歌詞になってる気がしますね。
──今回の3曲も本当にバラエティに富んでいて、1stシングルとはまた違った面を出せましたね。
そうですね。歌詞の内容も曲調も全部バラバラですから。自分でも歌っていても楽しいです。
──個人的な印象ですけど、今回の3曲ってすごく春っぽいポップな曲調ばかりですよね。色合いでいうとパステル系というか。
ああ、確かにそうかも。特にテンポ感とか耳にスッと入ってくる感じとか、思わずウキウキしちゃうところが春っぽいのかもしれないですね。
- ニューシングル「あなたの100の嫌いなところ」 / 2014年2月26日発売 / Sony Music Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1600円 / SRCL-8460~1
- 通常盤 [CD] / 1300円 / SRCL-8462
CD収録曲
- あなたの100の嫌いなところ
- Dear MY FRIEND
- up!! up!!
- あなたの100の嫌いなところ -Instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
- Off Shot Movie
- Let's Dance!
剛力彩芽(ごうりきあやめ)
1992年8月27日生まれ、神奈川県出身の女優、歌手。ファッション誌でのモデルを経て、2011年1月にフジテレビ系ドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」で本格的に女優デビューを果たす。その後も「ビブリア古書堂の事件手帖」「八重の桜」「ガッチャマン」「黒執事」などさまざまなドラマや映画に出演。さらに「奇跡体験!アンビリバボー」では司会を務めるなど、バラエティ番組にも積極的に出演して活動の場を広げている。2013年7月、シングル「友達より大事な人」でアーティストデビュー。サビの部分での“プロペラダンス”が注目を集め、オリコン週間ランキングで7位を記録した。2014年2月、主演ドラマ「私の嫌いな探偵」の主題歌「あなたの100の嫌いなところ」が2ndシングルとしてリリースされる。