ナタリー PowerPush - 剛力彩芽

アーティストとして急成長を提示する 2ndシングルの魅力に迫る

モデルや女優として活躍してきた剛力彩芽が、昨年7月にシングル「友達より大事な人」でアーティストデビューを果たした。子供の頃から習ってきたダンスをふんだんに生かした振り付けに注目が集まり、YouTubeでの同曲のPV再生回数は2014年2月時点で1400万回を突破。シングル自体もオリコン週間ランキングで7位を記録し、デビュー作としては好成績を残した。

そんな剛力が、早くも2ndシングル「あなたの100の嫌いなところ」を2月26日にリリースする。同曲は彼女が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ「私の嫌いな探偵」の主題歌として、すでにオンエア中のポップチューンだ。今回ナタリーでは剛力にインタビューを実施。彼女の音楽に対する思いやデビュー後に迎えた心境の変化、さらには新曲制作秘話などをじっくり語ってもらった。

取材・文 / 西廣智一 撮影 / 笹森健一

小さい頃は積極的に人前で歌うタイプではなくて

──剛力さんは小さい頃からダンスを習っていたそうですが、そもそもダンスを始めようと思ったきっかけは?

剛力彩芽

もともと姉が習っていて、よくレッスンや発表会を観に行ってたんですよ。それを観てるうちに、自分もやりたいなと思ったのがきっかけです。

──じゃあお姉さんの影響なんですね。歌うことはもともと好きだったんですか?

小さい頃から歌うのは好きだったんですけど、積極的に人前で歌うようなタイプではなくて。でも学生の頃はカラオケで歌うのが好きでしたよ。あと、うちは姉が歌がすごくうまくて、声がよく通る人だからうらやましいなと思って見てました。

──そうなんですね。ちなみに子供の頃、夢中になったアーティストはいましたか?

SPEEDさんとかモーニング娘。さんとか、歌って踊ってすごいなと思ってハマりましたね。あと、小さい頃からダンスのときに海外のアーティストの曲をよく聴いていて。特にマイケル・ジャクソンは中高生になってからビデオを観て、改めてすごいなと思いました。

──最近はどうですか?

私、もともと日本のアーティストを聴くことのほうが多いんですけど、AIさんとかONE OK ROCKさんとか好きで。最近は菅原紗由理さんにもハマってます。いろいろ聴くんですけど、勇気や元気をくれるような曲が中心かな。

──音楽を聴くときは、けっこう歌詞に注目する?

そうですね。よく街中でかかってる曲でも「あれ、この歌詞なんか気になるな」と思ったら、誰の曲か調べて聴いたりしてます。

歌手は等身大の自分を表現できるところが素晴らしい

──そんな音楽好きの剛力さんですが、自分が歌手デビューすることは想像していましたか?

考えてもみなかった(笑)。もちろんダンスがすごく好きだし、歌もミュージカルとか舞台で歌うこともあるので、どこかでそんな機会があったらいいなとは思ってましたけど。こんなに早くそのタイミングが来るとは思ってもみなかったです。

──役者として演じることと歌手として歌うことでは表現の仕方は違いますよね。こうして歌手デビューしてみて改めて気付いたことって何かありましたか?

お芝居はほかの誰かになりきれるのがいいところで、逆に歌手は等身大の自分を表現できるところが素晴らしいですね。だから歌詞に関しても、なるべく今の私が共感できてそのまま伝えられるような言葉で書いていただいてます。

──確かにデビューシングル「友達より大事な人」も、今の剛力さんが歌うからこその説得力が強く伝わってきます。この曲のPVを観ると、歌いながらあんなに激しいダンスを踊るのは、相当大変なんじゃないかと思うんですが?

でもダンスは体に染み付いてるのもあるので、1回覚えちゃうとわりと踊れるもので。私、もともと歌いながら踊るクセがあるので、それもあってナチュラルにできてる部分もありますね。でもライブのときは、歌詞を間違えたらどうしようとかダンスを間違えたら曲も間違えちゃうんじゃないかとか、いろいろ考えちゃって。周りの人たちには「とりあえず楽しんで!」って言われて、じゃあとりあえず楽しもうかなって(笑)。やっぱりダンスでステージに立つのは慣れてたけど、いざマイクを持って踊りながら歌わなきゃいけないのは緊張しますよ。ふだんから歌を口ずさみながら踊ってはいたけど、大きな声を出しながら歌うのってこんなに違うんだなって。呼吸の仕方も全然変わってくるんですよ。いろいろ考えながらやらないといけないのが難しいなって。

──また練習と本番とではまた違いますし。

違いますね。それにお客さんがいると、こっちもテンションが上がっちゃうから張り切って歌いすぎて最初のほうで疲れちゃったりして。そこは経験あるのみですね。

お客さんと近い距離で会えるのはアーティストの特権

──7月のデビュー後、夏にはいろいろイベントにも出演しましたが。

やっぱりライブはいいなって思いました。お客さんとあんなに近い距離で会えるのなんて、もうアーティストの特権だなって。これはたくさんライブをやりたいなってすごく思いましたね。

──お芝居の場合、舞台に立たないとお客さんのリアクションを直接肌で感じることはないですもんね。

そうですね。しかも舞台だとその役になりきってるから、お客さんとコミュニケーションを取ることもほとんどないじゃないですか。でも歌手だと歌うことでいろんな思いを伝えられるし、曲の合間にはトークで交流を図れるし、そこはすごくいいなって思いました。

──そもそもライブでステージに立つ経験って、歌手デビューする前はありましたか?

剛力彩芽

ないですね。だから去年の春にお披露目で歌ったときが初めてで。今までにないくらい緊張しましたよ。でもお客さんが本当に温かく迎えてくれて……お客さんの顔って、ステージから意外と見えるんですよね。なんか皆さんの表情を見てたらどんどん涙が出てきそうになって、終わったときには号泣しちゃったんです。ああ、すごく支えられてるなっていうのを実感しましたね。あのときのことは絶対に忘れられないです。今思い出しても、ちょっとウルッと来ちゃいますし。

──歌手デビューしてから自分の声について以前と変わったと感じることはありますか?

もう、すっごい変わったと思います。もともとボイトレは歌手デビューが決まる前からやってたんですけど、以前は高いキーが全然出なかったですから。そこはすごい成長したなって。やっぱり歌えば歌うほど、どんどん声が出しやすくなっていくし、自分の成長が手に取るようにわかるんです。最初の頃はとにかくひどかったんで(笑)。

──じゃあ今は歌手活動が相当楽しいんじゃないですか?

すっごい楽しいです。例えばライブでちょっと失敗しちゃったりうまく歌えなかったりすることもあるんですけど、あとで「どうしてできなかったんだろう?」って反省することも含めて今は楽しいですね。

ニューシングル「あなたの100の嫌いなところ」 / 2014年2月26日発売 / Sony Music Records
初回限定盤 [CD+DVD] / 1600円 / SRCL-8460~1
通常盤 [CD] / 1300円 / SRCL-8462
CD収録曲
  1. あなたの100の嫌いなところ
  2. Dear MY FRIEND
  3. up!! up!!
  4. あなたの100の嫌いなところ -Instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
  • Off Shot Movie
  • Let's Dance!
剛力彩芽(ごうりきあやめ)

剛力彩芽

1992年8月27日生まれ、神奈川県出身の女優、歌手。ファッション誌でのモデルを経て、2011年1月にフジテレビ系ドラマ「大切なことはすべて君が教えてくれた」で本格的に女優デビューを果たす。その後も「ビブリア古書堂の事件手帖」「八重の桜」「ガッチャマン」「黒執事」などさまざまなドラマや映画に出演。さらに「奇跡体験!アンビリバボー」では司会を務めるなど、バラエティ番組にも積極的に出演して活動の場を広げている。2013年7月、シングル「友達より大事な人」でアーティストデビュー。サビの部分での“プロペラダンス”が注目を集め、オリコン週間ランキングで7位を記録した。2014年2月、主演ドラマ「私の嫌いな探偵」の主題歌「あなたの100の嫌いなところ」が2ndシングルとしてリリースされる。