ナタリー PowerPush - AYABIE
メジャーデビュー作に込めたバンドの姿勢&ファンへの思い
AYABIEの場合は4人とも好き放題に曲を作る
──昨年10月のAYABIE初ライブの時点で、12月発売のアルバム「Virgin Snow Color -2nd Season-」から新曲をガンガン演奏してましたが、曲自体はずっと作っていたんですか?
タケヒト デモに関してはAYABIEになる前から作ってた曲もあれば、夢がボーカルになってから作った曲もあって。でも、ちゃんと形にしていく作業は全曲AYABIEを発表してからです。8月中旬からプリプロに入って、9月頭にはレコーディング。メンバー全員が作曲するんで、大きな問題はなかったです。
──ボーカリストが変わったことで、曲作りの上で変化した部分はありましたか?
タケヒト 今まではボーカルのキーがギリギリのところで作曲してたけど、今回はまだ夢が慣れてないってこともあって、気を遣いながらメロディを作ったりキーを調整したりしました。
──夢人さんは自分が書いた曲を自分で歌うことで、何か気付いたことってありますか?
夢人 昔から曲は作っているけどデモの仮歌も自分で歌ったことがなくて。なので、自分で作る曲だから歌いやすいっていうのはなかったです。彩冷えるのときはキーを気にせずに作ってたし、自分で歌うようになって初めてそのへんに気付いたのもあるし(笑)。
KENZO(Dr) 僕も夢人が歌う曲を作ろうとか彩冷えるに合う曲を作ろうとか、そうやって曲作りはしてこなかったから。ただ、個人的な意見ですけど……夢人の場合はどんなタイプの曲を歌っても合うんじゃないかって気がしていて。それもあって、うまくハマれば大丈夫だろうと信じてました。
──皆さんはボーカルに合わせて曲を書くよりも、自分の中にあるものをどんどん曲として形にしていくタイプなんですね。
インテツ(B) 人によるんでしょうけど、AYABIEの場合は4人とも好き放題に曲を作ってますね。
今の体制になって初めて4人で一緒に曲作りを進めてる気がする
──曲作りの際のデモ音源はどこまで作りこんでいくんですか?
タケヒト KENZOは、もうそのまま発表できるんじゃないかっていう音源を持ってくるんです(笑)。
インテツ KENZOくんは毎回クオリティが高いものを作ってきます。Pro Toolsで50トラック以上音を重ねて、丁寧に音のパンニングまでしてくるし(笑)。
──そうやって皆さんが作ってきたデモ音源を、どうやって完成型まで持っていくんですか?
インテツ メンバーやスタッフが参加して選曲会議をするんですけど、そのときに全員がそれぞれデモを持ち寄って。みんなで聴いて、これが良かったって曲をいくつかピックアップしていって、「この曲に、ちょっとアイデアが浮かんだからデータ送って」「この曲に合ったギターフレーズが思い浮かばないから、弾いてほしいんだけど」ってPro Toolsのデータをメンバー間でやり取りする。そこから、どんどん曲のイメージを膨らませていくんです。
タケヒト 実は、こういうやり取りはメジャーに移籍してからするようになりました。以前はデモを作った人が、その曲の主導権を握ってたんです。4人ともギターが弾けるので、印象的なギターフレーズが入ったデモを誰かが持ってくると、その特徴を生かしつつ、ちょっとだけコードを変えたりして完成させてました。だから9割はデモのまま。今の体制になって、初めて一4人で緒に曲作りを進めてるなって気がしましたね。
インテツ それと、インディーズの頃は先に決まったライブツアーのスケジュールに合わせて、ここまでにレコーディングしないとライブ前にリリースできないとか、そういうタイトなスケジュールの中で制作をしていて。今回から準備期間を長く取ることができたのも大きいと思います。
タケヒト それぞれのデモがしっかりしていたから、以前はタイトなスケジュールでもやれたんでしょうね。でも、今は4人でいろいろやり取りをしながら曲を完成させていくことで、よりバンド感が増したんじゃないかって気がします。
「流星」を通じて僕たちの決意を伝えたかった
──今回のシングルのために何曲用意したんですか?
タケヒト 30曲弱だよね。
インテツ まず、シングルのリード曲を選ぶためにメンバー、スタッフ全員で集まって聴いて。
夢人 トイズファクトリーの社長も同席して、全曲丁寧に聴いてくれたんです。
──メジャーデビューシングルはどういう曲にしようっていうイメージはありましたか?
インテツ 「流星」は僕が作曲したんですけど、一番意識したのはバンド感。4人組のロックバンドだっていうことを、音を聴いてわかってもらいたいって気持ちを込めました。あとは曲の構成ですけど、曲頭がサビから始まることを意識して。この曲がラジオで流れてきたとき、夢人くんの歌声でリスナーをAYABIEの世界にグッと引き込みたいって思ったんです。
──確かに、メロディアスなサビからスタートすると、インパクトがありますね。
インテツ それと……実は、この曲のデモを作ったのが去年の8月2日で、彩冷えるから僕たち4人が別の道に進むって発表するタイミングだったんです。ファンのみんなに僕たちの決意を曲を通じて伝えるしかないってイメージを思い描いて作ったもので。だから、この曲が1stシングルに選ばれて本当に良かったと思います。
──「流星」は非常にメロディアスでポップな曲調ですが、「ロックバンドとしてもっと硬派な曲を」とは考えなかった?
タケヒト 全く考えなかったです。AYABIEはボーカルとメロディを大切にしていて、それが軸になっていくから、曲調やアレンジはその都度変えているんです。「ロックバンドだからギターが絶対入っていなきゃダメ」みたいな固定観念は、僕にはないですね。
インテツ そこについては、うちは柔軟だよね。とにかくいい曲を作って届けるのがAYABIEのポリシーなので。
AYABIE(あやびえ)
「彩冷える」の夢人(Vo, G)、タケヒト(G)、インテツ(B)、KENZO(Dr)によって2010年9月に結成されたロックバンド。同年10月に東京・Shibuya O-EASTで初ライブを行い、12月には初音源となるアルバム「Virgin Snow Color -2nd Season-」をインディーズから発表した。2011年に入るとシングル「Melody」、DVD「Virgin snow color -2nd season- 2011.01.06 Tour Final at AKASAKA BLITZ」、サウンドトラックアルバム「縁-enishi- SOUND COLLECTION」を立て続けにリリース。8月にシングル「流星」でトイズファクトリーよりメジャーデビューを果たす。