「ASKAって誰?」を掲げた大規模ツアー開催に向けて示す「これがASKAだ」 (3/3)

何度も観たくなるコンサートを

──次のアルバムでは、編曲をほかの方に任せる予定だとか。

12、3曲を収録予定で、数曲は自分でやるかもしれないですけど、あとはもう任せようかなって。ジェスも戻ってきてくれたし、澤近泰輔もいるし、長年一緒にやっている藤山祥太もいるし。藤山くんは前回「I feel so good」(2021年10月リリースシングル「PRIDE」のカップリング)のアレンジをしたんですけど、すごくよかったので今回も何曲か、鍛える意味でやってもらおう。

──祥太さんは以前ASKAさんのマネージャーをやってらっしゃった方ですね。

そうそう。彼が24、5歳のとき福岡から連れてきて。今は独り立ちしてほかの仕事もいっぱいしてます。

──ASKAさんの音楽性をもってして、さらに音楽シーンを盛り上げていこうという機運の高まりを感じます。

それがどういうふうに届くかはわからないですけど、少なくとも僕の周りは今すごい熱量になっています。なのでセットリストさえ決まれば、早くツアーをやりたいですね。日程を発表した日にあれだけ喜んでもらえると思わなかったですから。Xのタイムライン、すごかったですね。毎回驚くんですけど、「何カ所でも行きます!」という方がすごく多くて。いや、コンサートって1回観たらよくない? 僕はどんな好きなアーティストでも2日続けて観に行くことはなかったので。だからなんの違いだろうなと思いながらも、そう思ってもらえるくらいの取り組み方はします。

──日によってセットリストが変わることを期待しているとか?

あ、それ使いましょうか(笑)。「セットリストが変わるかもしれないですよ」と言っておきます。

ASKA

──昨年、山崎まさよしさんが弾き語りツアーで「今日は話すライブにしたい」と8曲しか歌わなかったことが話題になりましたが、ああいうことも昔は一期一会なライブならではの醍醐味だった気がします。

僕だって朝起きて、「うわっ、今日歌いたくない」って日も正直ありますから。どんなに歌は好きでも人間だから当然です。それは僕もずっと前からステージで言ってましたから。だけどリハーサルで会場に連れてこられると……「やらなきゃ」と思うんだよね(笑)。やっぱりお金払った分だけちゃんとやってほしいって気持ちもわかるし、歌を聴きに来られたお客さんとの時間を共有したいと思うアーティストもいらっしゃるだろうし。価値観をどこに置くかで批判もされれば、別にいいんじゃない?と思う人もいるだろうし。僕は彼の気持ちがすごくわかる。山崎まさよし、ナイスですよ。

京都なら「自転車で来た」ができるかも

──ツアー開始前の7月にはファンクラブ会員限定の「ASKA×Fellows in 宮古島~少しの時間と大きな旅と~」が開催されます。

応募数にびっくりです。このご時勢だし、宮古島もそんなにホテルがないから開催人数は200名ぐらいかなと思っていたら、初日に倍以上応募が来てるから抽選が大変で(笑)。以前「僕たちの夏休み計画」というタイトルで沖縄に社員旅行で行ったんですけど、その夏休み計画に「みんなも参加しませんか?」という言い方をしたんです。これがかえって反響を呼んだのかもしれない。

──沖縄といえば、今回のツアーでは2DAYS公演ですね。前回のツアーでの約束をさっそく有言実行されましたね。

沖縄はお客さんに来てもらうのが本当に難しくて、CHAGE & ASKAが世間で言うところのブレイクしていた時期でさえ厳しかったんです。なのでソロになっても沖縄は無理だろうということでしばらくやってなかったんですけど、前回のツアーではチケットが即完売だった。問い合わせも続いて、何がどうなって即完なんだろうって。なので今回は1日増やしました。

──やってきたことが未来に花開くんですね。

もうね。来ていただければ一緒に楽しめる時間は作ってみせますので。音楽を聴きに来られる方もいれば、映画を観るような気持ちで来られる方もいるし、とにかくこの時間の中、楽しむんだと思って来てくれれば十分です。

──現在ASKAさんは京都に居を構えてらっしゃいますが、今回のツアー開催地に入ってますね。

そうなんです。京都がホームになっちゃったんですよね。もう自転車でも行ける距離なんで。……あ、自転車で行ったら面白いかな、「今日は会場まで自転車で来ました」って話せる(笑)。

──京都は昔から個性的なミュージシャンが多いですよね。ロックバンドだと村八分とか。

あ、村八分は京都なのか。憂歌団も大阪出身だけど京都のイメージがすごく強いですよね。

──くるり、10-FEET……ほかにもたくさんいますね。くるりは「京都音楽博覧会」、10-FEETは「京都大作戦」というフェスを主催しています。

そうなんだ。まだ会ったことないですね。僕もいつかそんな方々に見つけてもらいたいです。

面白いことをたくさんやりましょうよ

──来年にはアジアツアーも予定されていますが、展望としてはいかがですか?

僕はどこでも行きたいです。上海と北京にも行きたいんですけど、中国はまだ渡航の手続きが大変そうですね。フィリピンは30年前にCMが流れていたので僕のこと知っている人も多いですけど、タイは1回ライブやったことあるぐらいだし、インドネシアは行ったことないから、やるんだったらちゃんとプロモーションしなきゃいけない。僕たちが最初にアジアツアーをやったときは2年かけて仕込みましたから。今回1年しかないからできる限りのことをやって、できるとこでやれればいいと思ってます。

──アジアも様変わりして、特に東南アジア諸国の経済成長はすごいですね。

経済成長が一番悪いのは日本ですから。フィリピンなんて1万円のチケットがバンバン売れてますよ。それまで途上国と言われてきたところの反動で一気に登り詰めてますから。でもまあ、僕もいつまで歌えるかわからない……なんて言葉を使うとすごくネガティブに聞こえますけど、それも人間の体だから当たり前なんです。だからこれからはやれるときにやれることをしっかりやっとこうと思って。そこに関しては「これ難しい」っていうのは自分の中でなくして、やるためにはどうすればいいかということだけを考えようと思ってます。

──勇気付けられますし、同年代の方もきっと励みになると思います。

まだまだやんないとですね。

ASKA

──昨年の茨城「LuckyFes'23」のように、夏フェスに出演するASKAさんの姿もまた観たいです。2003年にCHAGE and ASKAで出演された「RISING SUN ROCK FESTIVAL」での熱狂ぶりは、いまだに語り継がれていますから。

周りが言ってくれますけど、あの「RISING SUN」は伝説になりましたね。あれは理由があって、CHAGE and ASKAが出るとなったときに大バッシングだったんです。それまで「RISING SUN」はこれからの希望を持った若いミュージシャンの音楽を楽しむ場で、そこにメジャーなアーティストが出ることが批判の対象だった。前の年に井上陽水さんが出てますけど、陽水さんはいいんです。別格だから。CHAGE and ASKAが出るとなったときにものすごい批判の嵐だったから、あのときは相当凹みました。僕たちが無理に出たいと言ったわけじゃない中、この批判をひっくり返すにはどうすればいいか。よし、誰もが知ってる曲をずらっと並べてしまえって。それでライブをやったんです。そしたら誰が観るかよって遠巻きにしてた人たちが、「SAY YES」のイントロがバーンと鳴った瞬間、ダーッと走ってくるのが見えて。周りの人も影響されて「YAH YAH YAH」でダイブしてましたから(笑)。ステージが揺れるというか、大地が揺れるような感じ。何くそと思って実行した作戦が成功したんですね。

──王者の風格ですね。またいつかそういうお客さんの反応をひっくり返してほしいです。

いろんなところに顔を出したいですね。いつか“ナタリーフェス”が開催されるときは呼んでください(笑)。そうやって先のこと考えるのは楽しいから。面白いことたくさんやりましょうね。

ツアー日程

Travel TV presents ASKA CONCERT TOUR 2024≫2025 -Who is ASKA!?-

  • 2024年9月21日(土)東京都 J:COMホール八王子
  • 2024年9月25日(水)大阪府 オリックス劇場
  • 2024年9月26日(木)大阪府 オリックス劇場
  • 2024年10月3日(木)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
  • 2024年10月4日(金)熊本県 熊本城ホール メインホール
  • 2024年10月6日(日)鹿児島県 川商ホール(鹿児島市民文化ホール)第1ホール
  • 2024年10月19日(土)神奈川県 神奈川県民ホール
  • 2024年10月24日(木)岩手県 盛岡市民文化ホール
  • 2024年10月26日(土)山形県 やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)
  • 2024年11月4日(月・振休)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
  • 2024年11月8日(金)岡山県 倉敷市民会館
  • 2024年11月10日(日)広島県 広島文化学園HBGホール
  • 2024年11月15日(金)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
  • 2024年11月16日(土)京都府 ロームシアター京都 メインホール
  • 2024年11月23日(土)島根県 島根県芸術文化センター グラントワ 大ホール
  • 2024年11月24日(日)山口県 周南市文化会館
  • 2024年11月29日(金)新潟県 新潟県民会館 大ホール
  • 2024年12月1日(日)石川県 本多の森 北電ホール
  • 2024年12月8日(日)静岡県 静岡市民文化会館 大ホール
  • 2024年12月13日(金)青森県 リンクステーションホール青森(青森市文化会館)
  • 2024年12月15日(日)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2024年12月20日(金)兵庫県 アクリエひめじ(姫路市文化コンベンションセンター)
  • 2024年12月21日(土)大阪府 箕面市立文化芸能劇場
  • 2025年1月11日(土)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
  • 2025年1月12日(日)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
  • 2025年1月17日(金)沖縄県 那覇文化芸術劇場 なはーと
  • 2025年1月18日(土)沖縄県 那覇文化芸術劇場 なはーと
  • 2025年1月25日(土)香川県 サンポートホール高松
  • 2025年1月27日(月)大阪府 フェスティバルホール

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プロフィール

ASKA(アスカ)

CHAGE and ASKAのメンバーとして1979年にシングル「ひとり咲き」でデビュー。約300万枚のセールスを記録した「SAY YES」をはじめ、ヒットナンバーを数多く世の中に送り出す。1988年にアルバム「SCENE」でソロデビュー。1991年にリリースされた3rdシングル「はじまりはいつも雨」がミリオンヒットを記録し、ソロアーティストとしても地位を確立した。2017年には自主レーベル・DADAレーベルを立ち上げ、アルバム「Too many people」「Black&White」を発表。同年10月には配信サイト「Weare」を開設した。2022年11月にアルバム「Wonderful world」をリリース。2023年3月にデイヴィッド・フォスターとのコンサート「ASKA&DAVID FOSTER PREMIUM CONCERT 2023」を開催し、4月から8月にかけて全国ツアー「ASKA Premium Concert Tour -Wonderful World- 2023」を行った。2024年1月にライブBlu-ray「ASKA featuring DAVID FOSTER PREMIUM CONCERT 2023」をリリース。9月からは全国ツアー「Who is ASKA!?」を開催し、2025年2月以降にアジアツアーを行う予定。