亜咲花|アニソンシンガーを貫く揺るぎない信念と、私らしさ

イラっとしたときのストレス発散曲

──次の新曲は10曲目の「GET DOWN」ですが、先の「Turn Up The Music」とは対照的な、ダークでソリッドなロックナンバーですね。

へへへ(笑)。「GET DOWN」はずばり“ハードロック”というお題でコンペをしまして、その中から選ばせていただきました。新曲の中では比較的アニソンっぽいサウンドでもありますし、サビの「Get down Get down」のところのリズムもみんなが「オイ! オイ!」って言いやすいんじゃないかな。

──この曲の歌詞は、だいぶ怒っていますね。

亜咲花

そうなんですよ。今まで亜咲花の曲で“怒り”をテーマにしたことって1回もなかったんです。20歳を目の前にして世の中のことも少しは見えてきたけれど、その結果、怒りや不満を感じることも多くて。じゃあ、その気持ちをこのアグレッシブな曲に詰め込んでしまえと。例えば「愛想を振りまいてみれば 軽いなんて笑われるし 真顔を貫いてみれば ノリが悪いと言われる」みたいなジレンマとか、誰しも抱えてると思うんですよね。

──「Raise Your Heart!!」の「効果の無いスヌーズ」と同じくらいわかります。

そんな中で「私は私らしく生きたい」と宣言するんだけど、それすらも世の中の声にかき消されてしまう。そういうままならなさも含めて共感してもらえると思うので、「GET DOWN」はストレス発散曲というか、イラっとしたらこの曲でゲットダウンしてほしいなと(笑)(サムズダウンしながら)。

──ここでは亜咲花さんのボーカルも、こう言っちゃなんですが、ガラが悪い。

ふふふ(笑)。すごく現実を見てますよね。歌詞にも「みんなが黒く染まりだしても 最後まで染まりたくはないから」とありますけど、私自身「アニソン歌手になりたい!」と思っていても、周りの人からは「普通の歌手のほうがいいよ」とか「アニソン向きの声じゃないよ」とか言われてたんです。でも、そういう声に染まらず信念を貫き通して正解だったなという、反骨精神みたいな気持ちも込めているので。

──みんながタピオカ屋に並んでも、亜咲花さんは並ばないし。

そう、私はパンケーキを食べます! あと、この曲を歌ってみて感じたんですけど、18歳や19歳の子って、子供にも大人にも都合よく振り分けられちゃうんですよね。同じ18歳でも高校生だったら「子供」扱いされるけど、高校を卒業していたら、歌詞にもあるように「子どもじゃもうないんだから 大人はみんなそう言う」みたいなことになったり。一方で、私も「まだ子供だから」というのを言い訳にして、例えば引越しとかも親任せにしていたところがあるんですけど、20歳になったらその手が使えなくなるんですよ。

──成人すれば1人で賃貸契約も結べるし。

そうやって責任も覚悟も全部自分で背負わなきゃいけないし、「アニソン歌手になる」という人生の選択をしたからには、その選択も背負っていかなきゃいけない。もうすぐ「子供」の特権を失うんだなって実感しましたし、お仕事はもちろんプライベートでも「大人」としての自覚を持たなきゃいけないなと。

私の夢をみんなに知ってほしい

──そして最後の新曲が、アルバムを締めくくる「終わらない夢」。リラックスしたミディアムバラードで、作詞は亜咲花さん単独ですね。

亜咲花

この曲の作詞は、だいぶ時間がかかりましたね。バラードの作詞をするのが初めてで、しかも作曲・編曲が40mPさんという有名なボカロPの方なのでプレッシャーもあり。だから言葉選びはかなり慎重になったんですけど、私にはちっちゃいときからいろんな夢があって、例えばプロゴルファーになる夢もあったんですよ。

──マジですか。

マジです。でも、学校の部活とか青春を優先してしまい、あんまり練習に行かなくなっちゃったんです。ほかには、通訳の仕事を目指したことも。そうやって夢を追っかけるのが大好きだったし、自分の抱いてきた夢をみんなに知ってほしくて、いきなり夢について語り出すという(笑)。

──「心に決めた “光を浴び輝くんだ”」と。

はい。アニソン歌手としてステージで歌う自分を夢見ていたので。でも、歌詞の通り最初は「不器用に芽生えた 夢」だったんですよ。というのも、私は能動的に「歌手になる!」と言い出したわけではなくて、中学1年生のときに音楽の先生から言われた「ボイストレーニングに通ってみたら?」というひと言が、奇跡的に夢につながったので。その一方で「儚く消え散る 夢」もあったり……これめっちゃいい歌詞じゃないですか?

──自分で言っちゃった(笑)。

すぐ自画自賛しちゃう(笑)。私の悪いクセなんですけど。

──いい歌詞だと思います。すごく素直にご自身のことをお話しされているようでもあって。

えへへ(笑)。例えば「Raise Your Heart!!」はデビュー後の、今の自分の歌だったんですけど、「終わらない夢」はデビュー前の幼い自分までさかのぼっているので。そういう意味ではよりパーソナルで、等身大中の等身大と言えるかもしれないですね、うん。

10代最後の夜を、アニソン歌手として終えたい

──「終わらない夢」の歌詞から察するに、亜咲花さんは「ありがとう」を言えないタイプなんですか?

日常会話では普通に言うんですけどね(笑)。例えばファンのみんなに感謝の気持ちを伝えたいってなったとき、あんまり言いすぎると……。

──言葉が軽くなる?

そう、どうしてもありがたみが薄れちゃうのかなと思って。だからここぞというときに、切り札として取っておきたいみたいな。それに自分のキャラクター的にも、一応おちゃらけキャラという自覚はあるので、そんな人が改まって「ありがとう」と言うのはらしくないというか、小っ恥ずかしいなって。じゃあ、歌詞に込めちゃえばいいじゃないかと。

──裏を返せば「私は『ありがとう』と伝えたくてしょうがないんだよ」ということですよね。

へへへ(笑)。照れ臭いけど、「ありがとう」を言うために作った曲と言っても過言ではないです。と同時に私、デビューしてから「言葉より大切なもの」があることに気付いちゃったんですよ。そして、それはライブを通して「君が教えてくれたんだ」と、サビの一番大事なところに書きました。

──ライブと言えば、10月6日に「亜咲花 20th Birthday Live ~EVE~」の開催が決定していますね。

10代最後の夜をどんなふうに終えたいか考えたとき、自分が追い求めて叶えた夢であるアニソン歌手として終えたいと思ったんですよ。なので誕生日当日ではなくあえて前夜に、すなわち「EVE」に開催するということにすごくこだわりを持っています。ライブの内容も、亜咲花のアニソン人生の軌跡を追いつつ、0歳から19歳までの亜咲花も知ってもらえるようなものになるので、うるっときちゃう人もいるかもしれません。

──それは楽しみですね。

そこで今まで亜咲花に関わってくださったスタッフの方々やアーティスト仲間たち、そして何よりファンのみんなに心からの感謝を伝えたいです。今後、毎年誕生日にかこつけてライブができるとは限らないし、20歳という節目の年齢だからこそ盛大にやりたいと思っているので、みんなも一緒にお祝いしてくれるとうれしいです。しかも今回のライブは、2年前、デビューしてから初めて行ったバースデーイベント「亜咲花 18th birthday premium event」のときと比べると、会場のキャパが10倍になってるんですよ。それを考えると、デビューしてから本当にたくさんの人に出会うことができたんだなって、ちょっとエモい気持ちになりましたね。

亜咲花

ライブ情報

亜咲花「亜咲花 20th Birthday Live ~EVE~」
  • 2019年10月6日(日) 東京都 EX THEATER ROPPONGI