音楽ナタリー PowerPush - AREA51
海外プレイヤーと生み出す“日本語メタル”
Kate(Vo)と石野洋一郎(G)からなるメタルユニットAREA51が、4thアルバム「Judge the JOKER」をリリースする。このアルバムは、彼らが結成時から貫き通しているピュアなメタルサウンドとキャッチーなメロディが詰まった全11曲入りの新作で、レコーディングにはSoilworkのダーク・ヴェルビューレン(Dr)、Symphony Xのマイケル・レポンド(B)、ジェイムズ・ラブリエのソロプロジェクトなどで活躍するマット・ギロリー(Key)が参加している。
今回ナタリーでは、ポップさの要を担う女性ボーカリスト・KateとAREA51のトータルプロデュースも手がけるギタリスト・石野にインタビューを行い、メタルサウンドと日本語の歌詞へのこだわりや、海外アーティストが参加した経緯などについてたっぷり語ってもらった。
取材・文 / 田中和宏
メタルにポップな歌を乗せる
──AREA51の4枚目のアルバムが完成しました。ナタリー初登場ということで、まずはバンドのコンセプトについてお伺いできますか?
石野洋一郎(G) サウンドはメタルでありつつも、一般の人にもっと聴いてもらいやすくするために、メタルではないポップさのある歌を乗せてやりたいっていう。そういうコンセプトでAREA51を始めました。楽曲、音、アレンジでメタルらしさを追求してます。メタルってギターソロが長いからそれをもっと短くして聴きやすくしようとか、アレンジをポップでキャッチーにしたりとか、そういうトライをしてる方々はたくさんいると思うんですけど、そうじゃなくて、サウンドは一切妥協しない。
──キャッチーさやポップさを出すのは歌唱パートの役割であると。
石野 そうそう。シャウトみたいな激しい歌い方もしてないから、普段メタルを聴かない人でも聴きやすい楽曲になってると思います。でも楽曲自体では純粋なメタルをしてるっていう、そんな感じですね。
──メンバーチェンジが多いバンドだなとプロフィールを見て思ったんですがこれは理想を追求した結果でしょうか?
石野 確かにメンバーチェンジは多かったですね(笑)。サウンドで妥協しないっていうことを考えると、やっぱり技術だったりとか、テクニックだったりとか、バンドに対する姿勢とかのバランスでなかなか安定しなくて。結局そうなると、メンバー探しに使うエネルギーっていうのがすごい大きくなってくるんです。だから3rdアルバム「Goddess」からKateと2人のユニット編成にしたっていう経緯があります。
──Kateさんは途中加入したんですよね?
Kate(Vo) はい。1stアルバムを制作にするにあたってボーカル募集のオーディションを受けたことがきっかけでした。私の加入前は男性のボーカリストがいたんですけど、AREA51の楽曲はキーがすごく高いので、地声で出せないときついっていうのがあったらしく。
石野 そうそう。それで100人ぐらいボーカルオーディションしたんですよ。
──なるほど。Kateさんは曲によって太めの声や明るい声などをはっきりと歌い分けてますね。
石野 メタル要素にこだわればこだわるほど、楽曲のわかりやすさって上に乗ってくる歌の表現力に委ねていくことになるんでそれができるボーカリストを求めていたんです。だからそういう意味で逆にそのオーディションをいっぱいしてきたのも、歌は最も妥協できないっていう思いがあったんですよね。
ビジュアルはコスプレ好きのKateが一任
──Kateさんは歌い方のバリエーションに負けず劣らず、衣装の種類も豊富ですね。
Kate 個人的な趣味なんですけど、コスプレ好きなんです(笑)。
──それがAREA51のビジュアルにも反映されてると。
Kate もともとこのバンドはビジュアルコンセプトが一切なかったんですけど、アートワーク含め私がその役割を担ってますね。2004年前後だと日本でメタルやってるバンドさんって、Tシャツに革パンみたいなのとか“いかにも”な感じの人が多いイメージがあったんですけど、AREA51の音源を初めて聴いたときに、オルガンと歪んだギターのアンサンブルで様式美っぽいのが浮かんだんです。私はMALICE MIZERの確立されたビジュアルコンセプトに影響を受けていたので、「あ、これはゴスとかロリとか着て演れるかも!」って。もともとゴスをモチーフにしたロリータとかパンクな装いが好きでよく着ていたので(笑)。そういったアイデアを取り入れていますね。ブックレットの中でもファッションショーのごとくいろんな服を着てます(笑)。
──楽曲のイメージに沿っていろいろなビジュアルを提案しているんですね。
Kate ビジュアルプロデュースは全部自分がやってるんです。これまでも満足がいくものができてたんですけど、今作のアートワークは今までで一番思い通りにできましたね。
次のページ » 海外アーティストにオファー
- ニューアルバム「Judge the JOKER」2014年11月12日発売 / 2700円 / The Devil's Own Music / DQC-1395 / Amazon.co.jp
- 「Judge the JOKER」
収録曲
- The Phantom
- The Vampire's Agony
- Over the Rainbow
- FALSA LUCE
- CALL MY NAME
- The Devil's Own
- Valkyrja
- No More Pain (Why not me?)
- Sang Noir
- Fly away from the flower
- Save Our Roots
AREA51(エリアフィフティワン)
石野洋一郎(G)とKate(Vo)を中心としたハードロック / ヘヴィメタルユニット。ネオクラシカルロックに傾倒した重厚なアンサンブルと、エモーショナルなハイトーンボーカルが織り成す壮大な楽曲群でメタルファンの支持を得る。2005年8月に1stアルバム「Ankh」でデビューし、2008年3月発表の2ndアルバム「Daemonicus」収録の長編曲「Lord Knows」にImpellitteriのロブ・ロック(Vo)をゲストに招くなど、海外の名立たるアーティストやエンジニアとのコラボレーションも行い始める。2014年11月にはSoilworkのダーク・ヴェルビューレン(Dr)、Symphony Xのマイケル・レポンド(B)、ジェイムズ・ラブリエのソロプロジェクトメンバーであるマット・ギロリー(Key)という実力派メタルバンドのメンバーが参加した4thアルバム「Judge the JOKER」をリリース。