ナタリー PowerPush - aquarifa

繊細な狂気の世界「月明かりのせいにして」

ポストロック風のスリリングなバンドサウンド、儚さとあどけなさを残す女性ボーカルの組み合わせが新鮮な4ピースロックバンド、aquarifa(アカリファ)。現体制の代表作になりそうな2ndミニアルバム「月明かりのせいにして」のリリースを機に、ナタリーでは初のインタビューを実施し、これまでのバンドシーンにいそうでいなかった彼らのオリジナリティを探ってみた。

取材・文 / 石角友香

女性ボーカルへのこだわり

──まずはナタリー初登場ということで、バンドの成り立ちを知りたいのですが。

松川真也(G) 僕が前のボーカルと始めて、大学のサークルの後輩だった彼(TAKUTO / B)を誘い、ドラムは何人か交替したんですけど彼(リンタロウ / Dr)が入ってくれて。そこから3年ぐらいはかなりバンドらしく活動してたんですけど、ボーカルが抜けてしまって。

──前のボーカルは男性だったんですか?

松川 女性ですね。その人が抜けた時点で解散も考えたんですけど、「もうちょっとがんばろう」と思って。普通、ボーカルが変わるって同じバンドを続けていく上でありえないと思うんですけど、もう1回女性ボーカルでやってみたいと思ったんです。

──なぜそこまで女性ボーカルにこだわったんですか?

松川 ポストロックの繊細な感じと、もともと好きだったTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTやNUMBER GIRLのようなロックな感じを両方出せるバンドにしたかったんです。しかも歌モノをやりたくて、繊細な歌を歌ってくれる人がいいなと思っていて。初めは女性でも男性でもよかったんですけど、やはり女性のほうが見つけやすかったというのはありますね。

──ボーカルはバンドにとって第一印象を決める存在になりますよね。

リンタロウ そこで(岩田)真知(Vo)が入って変わった部分がたくさん出てきて。

岩田真知との出会い

──岩田さんとはどうやって出会ったんですか?

aquarifa

松川 前のボーカルが抜けることになったとき、じゃあもう一度探そうということで、メンバー募集掲示板で「自分の音源を持っている方だけ」という条件で募集をかけて。10人ぐらい応募があって全員と会いました。

──岩田さんは何がきっかけで応募したんですか?

岩田真知 音源を聴けないっていう状況は敷居が高かったんですけど、そのときはバンドをやりたい一心で。で、(掲示板に)好きなアーティストがX JAPANからRADWIMPSまで書いてあって、「なんなんだろ? この幅の広さは?」と思って。

松川 ははは(笑)。

──岩田さんはそれまでバンドで歌ったことは?

岩田 音楽の専門学校に行っていて、ボーカル科だったんですけど、楽器をやっている人数が少ないのでなかなかバンドを組めない感じだったんです。それで、バンドはできないけど音楽は続けていきたかったので、自分で曲を作って弾き語りの活動はしていたんです。でもやっぱり自分がやりたいのはバンドだし、学校も卒業するとなると音楽漬けの生活が一気になくなってしまうので、どうにかしてそれは自分で変えなきゃいけないと思ったのがaquarifaを見つけたきっかけですね。

──学内バンドってそんなに組めないものなんですか?

岩田 友達はわりとすぐできるんですけど、私は本気でバンドをやりたかったので、そこで少し温度差みたいなものを感じてなかなか組めなかったというのはあります。

──友達としてはいいけれど?

岩田 そうですね。やっぱり専門学校って誰でも入れてしまうので。今も(音楽活動を)続けている人のほうが少ないですね。ただ続けている子たちとは今でも相談したりするような仲で、お互いに応援し合っています。

第一印象は「いろんな意味で規格外」

──岩田さんはどんなバンドに影響を受けたんですか?

岩田 中学生のときに、今自分たちのジャケットをやってくださっているK田さんがBUMP OF CHICKENの1stアルバムを貸してくれたんですよ。K田さん自身、中学生としては異質な雰囲気を持ってるというか、大人びてるというか、当時はそれが新鮮で友達になったんですけど。BUMP OF CHICKENはそれまでJ-POPしか聴いてなかった自分が、初めてバンドサウンドに触れた存在で。それに歌詞にも感動してしまって、泣いてしまう歌がたくさんあったりして、かなり影響を受けました。それが原点にあるので、どうしてもバンドがやりたくて。

──なるほど。男性陣としては岩田さんのどんなところが加入のポイントでしたか?

松川 みんな音源を送ってきてくれたんですけど、ほとんどが1、2曲な中で、彼女だけ「昨日、弾き語りのライブだったんで」って40分のライブ音源まるまる送ってきたんですよ(笑)。「すごい人だな」って思って。アラとかもライブ音源だからめちゃあるし、MCとか普通聴かせたくないと思いません?

岩田 (笑)。

リンタロウ 見ず知らずの人に(笑)。

松川 「なんなんだこの子は?」って、その時点でぶっ飛んでるなと思いましたね。それで僕らの音源を渡して歌ってもらったんですけど、ほかの人は歌詞カードを見ながらだったのにこの子は「あ、大丈夫です」って歌詞カードなしで歌いはじめたんですよ。

リンタロウ 覚えてきてくれたんですよね。

松川 まあ覚えてないところもあったんですけど、いろんな意味で規格外というか、一番インパクトがあったんです。

──どんなバンドかどんな人かもわからない中、1人で飛び込んでいくのは勇気がいりますよね。

岩田 そうですね。周りには心配されましたけど、もう、なるようになれと思っていて。

ミニアルバム「月明かりのせいにして」 2013年7月10日発売 / 1890円 / RCSP-0041 / redrec / sputniklab inc.
ミニアルバム「月明かりのせいにして」
収録曲
  1. はじまりのおわり
  2. Alice Blue
  3. Self-harm
  4. 水平線のむこうがわ
  5. バーミリオンキッチン
  6. 36.5℃
  7. 幼い靴
  8. switch(テレビ朝日「セレクションX」エンディングテーマ)
Qaijff presents 「for the future 0412」

2013年7月19日(金)
愛知県 名古屋APOLLO THEATER

DISK GARAGE MUSIC MONSTERS -2013 summer-

2013年8月25日(日)
東京都 Shibuya O-EAST / Shibuya O-WEST / Shibuya O-nest / Shibuya O-Crest / 渋谷duo MUSIC EXCHANGE / 渋谷7th floor

aquarifaワンマンライブ「君は誰のせいにする?」

2013年10月25日(金)
東京都 Shibuya O-Crest

aquarifa(あかりふぁ)

岩田真知(Vo, G)、松川真也(G)、TAKUTO(B)、リンタロウ(Dr)からなる4人組ロックバンド。エモーショナルなギターサウンドと儚げな女性ボーカル、内省的な歌詞を特徴とする。2012年4月に1stミニアルバム「scene」を発表し、同年「SUMMER SONIC 2012」の「出れんの!?サマソニ!?」や「MINAMI WHEEL 2012」といった大型イベントに出演して注目を集める。2013年7月10日、2ndミニアルバム「月明かりのせいにして」をredrecからリリースする。