アンスリューム「すーぱーしゃいん!!!!!!」インタビュー|「TIF」で感じた悔しさ、そこから見えてきた課題と目標

アンスリュームのニューアルバム「すーぱーしゃいん!!!!!!」がリリースされた。

アンスリュームは「興奮と昂揚をアナタに。」をコンセプトに2019年に結成されたアイドルグループ。2022年8月にジョウナイシ鳴と星奈美緒が加入して現在の6人体制になった。彼女たちは毎年夏に開催されている世界最大規模のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」のメインステージに立つことを目指して邁進してきたが、今年はその目標を達成できず涙を飲んだという。音楽ナタリーでは6人にインタビューし、現在のグループの課題と目標を語ってもらいつつ、新曲やライブでおなじみの楽曲、各メンバーの生誕ライブで披露された楽曲が収められている現体制初のアルバムについて話を聞いた。

取材・文 / 川崎龍也撮影 / 藤木裕之

「TIF」メインステージ落選は「悔しかった」

──現体制になってから約1年が経ちましたが、グループとしての手応えはどんな感じでしょう?

月埜ヒスイ 1年前と比べたらみんなめちゃめちゃ成長しました。特に成長を実感するのはライブですね。グループとして一体感が生まれて、パフォーマンスに厚みが出てきました。

ジョウナイシ鳴 私は1年前に加入させていただいたのですが、入ったときは自分でもまだまだだなと感じていて。よくわからないままライブに出ていて、必死になるあまり悪目立ちしちゃってたこともあるんですけど、今は余裕が出てファンの方の表情を見ながらパフォーマンスすることができています。

星奈美緒 私も1年前は自分のことで精一杯だったんですけど、最近は周りを気にかけることができるようになりました。

アンスリューム

アンスリューム

──ジョウナイシ鳴さん、星奈美緒さんの加入1周年記念日となる8月6日には、アイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」のステージに立ちました。皆さんの中ではメインステージに立ちたいという気持ちがあったのではないかと思います。

もなかこゆ 「TIF」のメインステージに立つことは私たちにとって1つの目標だったので、この1年間は対バンやワンマンライブでいかに多くの方にアンスリュームを知ってもらえるか、ということに力を入れてきました。なので、結果としてメインステージに立てなかったのは悔しかったです。

月埜 「TIF」というイベントは私たちにとっても、スタッフさんにとってもすごく特別なものになっていて。新体制になってからは、1つの通過点として「TIF」のメインステージに絶対に立つという目標を掲げてがんばってきました。だからこそ、立てないと知らされたときは悔しかったですし、絶望しました。

ちぎら みんなで絶望してたよね……。

──それは、今の自分たちだったらメインステージに立てるという自信があったということなのでしょうか?

月埜 正直……立てるだろうなと思っている部分がありました。

──それを踏まえたうえで、皆さんの中で現在のアンスリュームの課題は見えてきましたか?

月埜 今年の「TIF」でメインステージに立てなかったことは、改めて自分たちに何が足りないのかを考え直すきっかけになりました。というのも、これまで私たちは対バンの動員が「TIF」のような大きなイベント出演につながると思っていた部分があったんです。でも、大きなフェスのメインステージに呼ばれるためには、評価の基準としてワンマンライブの規模や動員という結果も必要なんだなって。わかりやすい指標で言うと、チケットの完売ですよね。今年の「TIF」が終わってからみんなで話し合って、これからはワンマンライブにも力を入れていこうという新たな目標ができました。

──なるほど。現状をけっこうシビアに捉えているんですね。具体的にメインステージに立てなかった理由を分析するとしたら、ワンマンの動員以外に何が足りなかったと思いますか?

ちぎら ほかのアイドルさんのワンマンライブを観させていただく機会があったんですけど、そのときにグループ全体だけでなく、個々のメンバーが私たち以上にキラキラ輝いているように見えたんです。それは1人ひとりが芯を持ってて、やるべきことをやってきたからなんじゃないかなと思っていて。私たちももちろん1人ひとりがんばってはいるんですけど、もっと輝ける部分があるんじゃないかなと感じています。

ちぎら

ちぎら

日色ゆづ 私たちには、今まで以上にやるべきことがいっぱいあるなって。これからはそのことについてしっかり考えて活動していきたいです。

──月埜さんからワンマンに力を入れていきたいというお話もありましたが、ワンマンと対バンではライブへのアプローチの仕方は具体的にはどう変わってくるのでしょうか?

月埜 対バンは新しい方に興味を持ってもらえる機会として1つひとつのステージを大事にしていて、一方のワンマンライブは自分たちの実力が試される場であり、「私たちはここまでできるんだぞ」と発信できる機会だと思っています。例えばセットリストに関しては、対バンでは有名な曲をわかりやすく組み込んでいますし、ワンマンでは普段あまり披露しないような曲もファンの方に向けて入れたりしています。今まではスタッフさんから言われるがまま、用意されたセットリストを受け入れていたんですけど、最近はどういうセットリストにすべきなのかをメンバーから意見するようになりました。

──何かそうなったタイミングやきっかけがあったんですか?

月埜 今年の夏はフェスへの出演が続いたんですけど、どうしてもその期間って披露するのが定番の曲ばかりになってきて。いつもライブに来てくれている人からすると、毎回同じ曲ばかりで楽しめない部分もあったと思うんです。定番の曲をどれだけ入れるかの塩梅が難しいんですけど、今のままだと今後につながらないんじゃないかと思って、メンバー同士で話し合ってセットリスト決めに関わるようになりました。

──自分たちで意見を言うようになってからファンの反応は変わりました?

月埜 明らかに変わりました。なので、私たちがやっていることは間違ってないのかなと自信を持っています。1から10まで口を出しているわけではなくて、スタッフさんから送られてきたものに対して、この曲とこの曲は逆がいいんじゃないかとか、ここはこの曲に変えたほうがいいんじゃないと軽く提案する感じなんですけど、アンスリュームがもっと上に行くためには必要なことだと思うので、これからも続けていきたいです。

月埜ヒスイ

月埜ヒスイ

もっと輝けるようになりたい

──現在の6人体制になってから1年が経過したタイミングで、新体制初のアルバム「すーぱーしゃいん!!!!!!」がリリースされます。アルバムが完成した今、どんな思いがありますか?

月埜 ファンの方から「今の6人体制でCDを出してほしい」と言われていたので、ようやく届けられるという安堵の気持ちと、6人になって初めて形に残るものを出せる喜びがあります。

──去年加入したメンバーにとっては初めてのアルバムですね。

ジョウナイシ 自分の人生の中でCDを出す経験ができるとは思っていなかったのでうれしいですし、どんな反応をもらえるのか今からワクワクしています。

星奈 私もCDを出すのが初めてなのでうれしいです。

星奈美緒

星奈美緒

──ここからは収録曲について1曲ずつお話を伺っていけたらと思います。まずはアルバムタイトルになっている新曲「SUPER SHINE」の紹介をお願いします。

ちぎら 「SUPER SHINE」は“ザ・王道”な曲ですね。グループとして今までにない曲調ということで新しい挑戦でもありますし、ファンの方にアンスリュームの変化や成長を見せられる曲になっているんじゃないかなと思います。

──「咲かせるなら 大輪の花がいい」「もっと強く もっとこの手をつなぎ その先へ!」という歌詞が今のアンスリュームの心情を表していますね。

月埜 さっきアンスリュームにはキラキラが足りないという話をしましたが、この曲には「もっと輝けるようになりたい」という私たちの思いが込められています。

日色 この曲を歌っていると、次のステージに行けるようにがんばろうって勇気が出るよね。