音楽ナタリー Power Push - anderlust

“旅の始まり”の1年を振り返って

ホントに、記憶に刻まれてます

──もう今年も終わりに近付いているので、お二人のデビューの年になった今年1年の出来事を振り返っていければと思います。まず3月に華々しく船出を飾って(参照:anderlust「帰り道」インタビュー)。

越野 思い出深いことがいっぱいあるんですけど、1個すごい話があって。私、デビュー前日に39度の熱を出したんです。夕方くらいからなんだかフラフラしだしたから、早めに家に帰って今まで一度も使ったことのなかった体温計で計ってみたら、39度って表示されて「は?」って(笑)。デビュー当日は朝から仕事だし、すぐにマネージャーさんに連絡してお布団に入ったんですけど、なかなか眠れなくて。そして次の日に計ってみたら、今度は38度。緊急病院に行って、インフルエンザじゃないことを確認してから仕事に行きました。

──それは、絶対に忘れられないデビュー日ですね。

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越野 もうホントに、記憶に刻まれてます!(笑) 結局、ヘルペス性口内炎だったんですけどね。

西塚 新幹線で大阪に移動するとき、隣でグッタリしてました。

越野 そこ、記憶飛んでます。

西塚 いざ出番になると一瞬でスイッチが入るんですけど、終わった瞬間にスイッチが切れるっていう(笑)。

越野 あはははは!(笑) もう、初っ端からずっこけちゃって……でも、これがanderlustの旅の始まりです。

──夏にかけてはどのような活動を?

越野 2ndシングルの制作期間でしたね。あとはコンベンションライブというものを経験したり。とにかく全力疾走で駆け抜けていった記憶があります。

──コンベンションライブというものも、デビューしたての時期ならではの経験ですよね。

越野 本当に。怖かったよね?

西塚 俺は別に……。

越野 「別に」!? 嘘でしょう!? 私、ビビりまくりでテンションガタ落ちだったのに……! 私たち、2回コンベンションライブをやったんですよ。1回目はビクビクで、「なんでみんな真顔で見るの?」ってずっと思ってたんですけど、2回目は「そっちがこう来るなら、私はこう行くぜ!」みたいな感じで、計算はできていたと思います。でも、もう同じ経験はしなくていいかな(笑)。

──なかなかヒリヒリする空間ですよね(笑)。で、8月には2ndシングルがリリースされて。この作品には「明日、春が来たら」「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」「若者のすべて」と、3曲のカバー曲が収録されました。

越野 そうですね。この3曲は、どれもこだわりを持ってカバーしました。1つを挙げるなら、「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」は私と“同い年”の曲なんです。私は小さいときからずっとこの歌を聴いていて、自分にとっては童謡のような、子守唄のような……本当に思い出深い曲で。カバーさせていただくにあたっては、Charaさんのマネにならないように心がけながら歌いました。そうしたら、意外とすんなりいけるような感覚があって。アレンジもanderlustらしいものになったと思います。

西塚 僕はCharaさんのファンで「スワロウテイル」も観ていたので……やっぱり、YEN TOWN BANDのメンバーである小林さんご本人にプロデュースしてもらってカバーできたことが何より貴重な経験でした。

越野 カバーって、オリジナルのアーティストさんの思いがギュッと詰まっている曲をバトンのように受け取って、それを後世の人に渡すような作業だと思っているので、バトンを受け取ったからには落とさずにしっかりと次の世代につなげなければ、というような使命を感じるんですよね。

──カバーって、選曲やアレンジにそのバンドのセンスや個性が現れるから、オリジナル曲と同じくらい大事なアイデンティティになっていきますよね。

越野 本当にその通りだと思います。曲の勉強にもなりますし、オリジナルアーティストさんの心も学べるんです。「どういう思いでこの曲を歌ったんだろう?」「この曲にはどういう気持ちが込められているんだろう?」って。それもまた魅力ですね。

──では、カバーは今後も積極的に?

越野 やっていきたいです! ライブでもどんどん歌いたいなと思っています。

自分たちのサイクルが見えてきた

──そうして、夏以降は今回の3rdシングルの制作を?

越野 そうですね、ずっと制作をしていました。スピーディに日々が過ぎていくけど、だんだん自分たちのサイクルが見えてきたかなと思います。今は、来年中にアルバムが出せたらいいなと思いながら走っているところです。

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──そうなんですね。ちなみに、デビュー前後で自分が「変わった」と自覚していることはあったりしますか?

西塚 「いつかの自分」のプロモーションで全国各地に行かせていただいたんですけど、そのときに毎晩飲み歩いていたので、そのツケが回って、僕はちょっと脂肪が……。

越野 ひどい(笑)。

西塚 衣装が以前よりもパツッと(笑)。

越野 あ、それを言うと、私は逆にめちゃくちゃ痩せたんです。夏終わりから一気に7kg!

──食欲がないとか?

越野 そんなことないんですよ。運動してるからなのかな? 毎日腹筋を100回はやるようになったから。あとデビューして「たくさんの方に見られているんだ」という自覚が芽生えたので、美意識みたいなものを持ち始めたのかもしれません。でも超元気ですよ!

──西塚さんと正反対ですね。

越野 ホントですよね! もう、飲み歩くとか何!

西塚 自由にやらせてもらってます(笑)。

越野 自由すぎだわ(笑)。私はライブの前日とかは絶対に飲まないし、20歳になってお酒は飲めるようになったけれど、いろんな方にアドバイスを受けてコントロールしています。

──見た目や意識の変化もありつつ(笑)、お二人がこの先に見据えているのはどんなものでしょう。

越野 まずは次の作品ですね。私は今は、がんばって曲のストックを積み上げていってます。どんどん曲を書いて、いい曲をどんどん世の中に出していけたらいいなと思っています。

西塚 あとは、ワンマンライブの実現も目標ですね。楽曲でもライブパフォーマンスでも、よりanderlustらしさを追求していけたらと思っています。

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ニューシングル「Scrap & Build」 / 2016年12月14日発売 / Sony Music Records
初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / SRCL-9234~5
通常盤 [CD] 1400円 / SRCL-9236
初回限定盤CD収録曲
  1. Scrap & Build
  2. ヒカリ
  3. 友達のふり
初回限定盤DVD収録内容
  1. ヒカリ Music Video
  2. anderlust プレミアム LINE LIVE Swallowtail Butterfly ~あいのうた~
  3. anderlust プレミアム LINE LIVE 若者のすべて
  4. anderlust プレミアム LINE LIVE いつかの自分
通常盤CD収録曲
  1. Scrap & Build
  2. ヒカリ
  3. 友達のふり
  4. Stay With Me ep. 2
  5. Scrap & Build ~Instrumental~
  6. ヒカリ ~Instrumental~
anderlust(アンダーラスト)
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シンガーソングライターの越野アンナ(Vo)と、ベーシストおよびアレンジャーの西塚真吾(B)によるユニット。2014年に「NYLON JAPAN」とソニーミュージックが主催したオーディション「JAM」のミュージック・パフォーマンス部門でNYLON賞を受賞した越野が、ライブを通じて知り合った西塚とともに立ち上げた。2016年3月に小林武史がプロデュースしたシングル「帰り道」でメジャーデビュー。8月には2ndシングル「いつかの自分」を発表した。12月に3rdシングル「Scrap & Build」を発表。収録曲の「ヒカリ」はSONY「ハイレゾ級ワイヤレス」シリーズのCMソングに決定した。