ammoのメジャー1stアルバム「SONG LIE」がリリースされた。
ライブハウスを主戦場に活動し、ファンの熱狂的な支持を受けて1月に「re:想-EP」でTOY'S FACTORYよりメジャーデビューしたammo。ストイックに音楽を鳴らし続けてきた彼らの最新作「SONG LIE」には、キャリア初のタイアップとなるテレビアニメ「小市民シリーズ」のエンディングテーマ「意解けない」や、ピアノソングに初挑戦した「埃人間」など、ammoの新たな魅力を感じられる全10曲が収録されている。
音楽ナタリーでは「SONG LIE」の制作エピソードや9月にスタートする全国ツアー「Don't Cry No Tour」についてammoにインタビュー。ライブでは多くを語らず職人のように音楽と向き合う岡本優星(Vo, G)、川原創馬(B, Cho)、北出大洋(Dr)の姿が印象的だが、取材ではリラックスした様子で活動に対する率直な思いを語ってくれた。
取材・文 / 西廣智一撮影 / 笹原清明
これがメジャーデビューか
──1月のメジャーデビューから少し時間が経ちましたが(参照:大阪発ammo(アモ)がメジャーデビュー、CDにこだわり続けてきたスリーピースバンドの魅力に迫る)、改めてそういったことを実感する機会はありましたか?
岡本優星(Vo, G) ちょっとずつ「メジャーデビューしたんだ」という自覚が芽生えてきた感じです。例えば、こういう取材の場にケータリングが用意されていたり、メイクさんやスタイリストさんがいたりとか、そういう現実に少しずつ慣れてきて、この状況を受け入れられるようになりました。
川原創馬(B, Cho) 僕はMVを撮影するときのスタッフの多さに、「これ、ヤバいことに足突っ込んでんじゃね?」みたいな感覚になりました。正直ビビりましたし、プレッシャーも感じました。
北出大洋(Dr) 今日みたいな取材のために「朝10時に会社に集合」とか言われると、普通にバンド活動だけやっていたらそんなに早く起きることもあまりないので「これがメジャーか……」と実感します(笑)。
──作品のサブスク配信が始まったことも大きな変化ですよね。初の配信限定作品「re:奏-EP」が1月にリリースされ、「re:奏-EP」と同時リリースされたCD作品「re:想-EP」も5月から配信が始まっています。
岡本 そこに関しては、僕の中では以前と状況が変わった感覚はないです。お客さんを見ていても、サブスクが始まったからといって離れる人もいないし。それまでにバンドとしてしっかりキャリアを築いてきたからこそなのかもしれないですね。
──逆に新しいファンが増えている感覚は?
岡本 それも全然実感がないです。確かに前と比べて出演するフェスのステージが大きくなったりしているので、そこでメジャーデビューした実感は得られるけど、同時にそこに見合った数のお客さんに集まってもらえるように、もっとがんばらなくちゃと思うようにもなりました。
岡本は気張らずにやれた、川原&北出は緊張
──3月のワンマンもソールドアウトしました(参照:ammoがZeppダイバーシティで轟音鳴らす、これが“reALITY”)。僕も拝見しましたが、ああいう大きなフロアの熱量や盛り上がり方はすさまじかったですね。
岡本 Zeppだからとか、会場の大きさはあんまり意識しないかもしれないです。あの日も「今日はこの会場か」と気張らずにやれましたし。ライブ自体のできもよくて興奮しすぎた結果、会場の景色を目に焼き付けられなくて一瞬で過ぎていった感覚です。
川原 僕はすげえ緊張しましたよ。Zeppでのライブ経験はあったんですけど、あの人数を前にしたら「おお、マジか……」と思いました。けっこうガチガチになっちゃって、人生で一番緊張したかもしれないです。
北出 僕は収録用のカメラの多さにまず驚きました。ドラムの前にもカメラが置かれていたから、まずそこに緊張してしまったので、お客さんのことをあまり気にする余裕がなかったかもしれないです。
──前回のインタビューで、岡本さんは「自分たちのライブがそんなに激しいフロアになるとは想像もしていなかった」とおっしゃっていましたが、あの日のZeppはまさに激しくて熱いライブだったと思うんです。そこに関して、ご自身が思い描いていた“ライブ像”と今のammoのライブとの間に乖離はありますか?
岡本 乖離というか……自分が想像していた以上の景色になっていることが、まだ受け止めきれていなくて。もちろん、お客さんが熱狂的に盛り上がってくれることはすごくうれしいんですけど、じゃあこれがammoとして正解なのかと言われると正直わからない。というか、まだ“正解”を決めたくないのかもしれないですね。僕自身はZeppは1つの通過点だと思っていますし、ここからもっと大きな会場でどんどんやっていきたいので。
変わらず伸び伸びやらせてもらってます
──ここからはニューアルバム「SONG LIE」についてお話を伺っていきます。「re:想-EP」から短期間での成長が伝わる、非常に充実した1枚だと思いました。
一同 ありがとうございます!
岡本 僕らにとっても自信作です。
──その自信はアルバムの随所から伝わってきましたし、メジャーデビュー後のammoにとって名刺代わりの1枚になるのではないかと思いました。本作に関して、どんなイメージで制作に臨みましたか?
岡本 まずアニメ「小市民シリーズ」のタイアップが決まっていたので、その曲を軸にしたアルバムにしようと考えました。最初は「re:想-EP」からも数曲入れる予定だったんですけど、新曲がそろっていく過程で「やっぱり全部書き下ろしの新曲でまとめたほうが、鮮度が高くていいんじゃないか?」と思うようになって、がんばって10曲作ることになったんです。
川原 僕は優星から送られてくる1曲1曲を単純に“いい曲”にしたいなと。それだけを考えました。普通は収録曲のバランスみたいなものもあるじゃないですか。速い曲がこれくらいあって、バラードも入れてとか。今回はそういう割合は何も考えず、とにかくその曲が映えるアレンジを優先的に考えて、曲の中に足りないものを加えていくように作業しました。僕らはいつもそういう作り方で、1曲1曲を丁寧に作っていたら、最終的にバランスのいい作品になっていることが多いんです。
北出 僕もメジャー1stアルバムだからと特別に意識することなく、いつも通りドラムを叩いて録りました。特に気張ったりすることなく、その曲でやれることをやっただけです。
──初タイアップ曲も収録という大きなトピックはあるものの、アルバム全体を通して聴くと従来のammoらしさはしっかり残しつつ、曲作りにしてもアレンジにしてもどんどんレベルアップしていることが感じられる1枚だと感じました。
岡本 それは自分たちも感じています。
──ソングライティング面において、メジャー以降変わったと感じることはありますか?
岡本 いや、まったく変わってないです。アドバイスをもらう機会は増えましたけど、周りから変わったと言われることも特にないですし。
川原 以前と変わらず伸び伸びやらせてもらってます。