[Alexandros]自由な発想で作り上げた新曲「todayyyyy」を携え、激動の2024年へ (2/2)

リリース時期に縛られずに、自由に作りたい

──さっき川上さんが「曲作りが好きになった」と言っていましたけど、白井さんもそういう感覚はありますか?

白井 ありますね。「But wait. Cats?」のときのプロデューサーの影響なのかな。ゲイブというアメリカ人のプロデューサーの制作のやり方がかなり自由だったんですよね。それまでのレコーディングって、朝に機材の搬入があって、エンジニアさんがチューニングして、という決まった段取りがわりとあり、システマチックでもあったんです。それが当たり前だと思って乗っかっていたんですが、ゲイブは何から何まで全然違いました。例えば、フレージングの発想に対して「そういう考え方があるんだ」と刺激を受けたり。その新たなマインドのままいろいろな音楽を聴くと、研究するというより、想像力が膨らむんですよね。前は「この音の機材を調べよう」とか「チューニング間違ってないかな」ということを考えてたけど、うすぼんやりとしたイメージで音を捉えられるようになった。実際に音作りをするときも、前例にとらわれずに「この組み合わせはやったことがないからやってみよう」とか「このエフェクターは使ったことがないから使ってみよう」というふうに、自由度が高い作り方ができるようになりました。そこから確かに楽曲の制作がもっと楽しくなりましたね。

白井眞輝(G)

白井眞輝(G)

──その変化は、洗練されているけれどライブ感のある「todayyyyy」のアレンジにつながっている気がします。

白井 そうかもしれないですね。思いつきでやってることもけっこう多いので。前は「ゲネプロでこう決めたんだから、本番のレコーディングでもそうしなきゃいけない」という強迫観念みたいなものもありました。今はそれがなくなって、思いついたことはどんどんやっちゃいますね。自分に限らず、バンド全体がその瞬間の思いつきを採用することが増えました。

磯部 僕も日々楽しいですよ。「todayyyyy」は個人的にもシンセベースという新しい挑戦がありましたし。さっき話に出た“なんとなく”という感覚の話をすると、初期のがむしゃらにやっていたときのほうが、“なんとなく”だったのかなと思うんですよね。がむしゃらにやることで精いっぱいだった。でも今は“なんとなく”にしない想像力が、洋平を筆頭にメンバーにはあるので、楽しさが増していってるのかなと思います。バンドが新しいことに対してすごく能動的だから、躊躇なく手を出してみようと思える。

──リアドさんにもそういった楽しさはありますか?

リアド 「todayyyyy」のドラムの話をすると、専門的な話になっちゃうんですが、ずっとハイハットを閉じてたんです。それが自分としては新しかったし、結果的にいい音作りになったのが楽しかったですね。

──それは自分のアイデアだったんですか?

リアド みんなであーだこーだ言ってアレンジしている中で、最終的に8ビートの疾走感をそぎ落としたんです。さっきのヒロの発言にも通じるかもしれませんが、勢いでいくのではなく、新しいアプローチを自然とやりました。

リアド偉武(Dr)

リアド偉武(Dr)

──「todayyyyy」に限らず、一気に曲を完成させずに寝かせることで、いろいろなアレンジのアイデアが出ていったタームなんですかね。

川上 そうですね。前はリリース時期が決まっていて、そこに向けて曲を作ることが多かったんですが、「それってどうなんだろう?」と思ったんですよね。曲なんて生モノだから、作ろうと思っても作れるかわからないわけだし。そこで、「リリース時期に縛られずに、自由に作りたい」とスタッフにお願いしたんです。結果、2023年は「VANILLA SKY(feat. WurtS)」はリリースしましたけど、自分たちだけの新曲は1曲も出してない。デビューしてから初めてじゃないですかね。

真面目にフェスをやります

──そうしてじっくり作った曲を収めたアルバムを2024年後半に出そうとしているようですが、話を聞いているとすごく自由な作品になっているんじゃないかなと。現時点で何か話せることはありますか?

川上 完成するのがすごく楽しみですね。「これを引っ提げてライブがしたい」というアルバムが作れると思います。ライブを意識しているということは、必然的にお客さんも含めて周りのことも意識しているので、1人よがりなものにはならないとは思ってます。そのうえで「自分たちがこういうのが好き」というものをそのまま作れている実感がありますね。ここからうちらがどうなっていくかを、はっきりとお見せできるアルバムだと思います。

──楽しみにしています。10月26日と27日には川上さんと白井さんの地元の相模原で「THIS FES '24 in Sagamihara」が開催されることも発表されました。

川上 年々地元の相模原と絡むことが増えているんです。スペシャルアンバサダーを務めたり。あと、今年の「ディスフェス」は対バンツアーという形でしたが、ひさびさに対バンツアーをやって改めて対バンの楽しさを感じました。WANIMAが地元で開催している「1CHANCE FESTIVAL」に去年出たときに、WANIMAが「熊本にこいつらを連れてきたぜ!」ってMCで言ってて、「なんかいいな」と思ったことも大きいです。昔は自分たちのホームタウンを前面に出すとその色が付いちゃうからあまり言わないほうがいいのかなと思ってたんですけど、そもそも相模原ってそこまで濃い色がないんですよ。それを僕はいい意味で捉えていて、「だったらうちらが相模原の色をここから作っていけるんじゃないか」と思ったし、今の[Alexandros]がわりとまっさらな状態だっていうことと重なる部分があると思いました。

[Alexandros]

[Alexandros]

──今回の「ディスフェス」にはいろんなアーティストが出演するそうですね。

磯部 普通にフェスです(笑)。

川上 いわゆる出店があって。

白井 昼から始まってね。

──初めての主催フェスということですね。

川上 えっと、「ディスフェス」って初めてじゃないんですけど(笑)。

──(笑)。「ディスフェス」が結成当初から行われてきたことは知っていますが、これまではフェスという体でのイベントという感じだった気が……。

磯部 フェスと言い張り続けてきたものがついに(笑)。

川上 おちょくる意味でもフェスって付けてたんですが、真面目にフェスをやります(笑)。

──先ほど話に出た、WANIMAの「1CHANCE FESTIVAL」以外にもアーティスト主催のフェスは多くありますが、どんなフェスにしたいと思っていますか?

川上 馴染みのあるアーティストだけではなく、これまで関わりがなかったアーティストにも声をかけたいですね。海外のアーティストも呼んで、[Alexandros]らしいフェスにしたいです。相模原で開催するからにはまだ自分たちも知らない相模原の魅力が出せたらいいなとは思います。とにかくお祭りにするのでぜひ来てください。「ディスフェス」がついに本当のフェスになるので(笑)。

──3月16日と17日には川上さんと磯部さんの母校である青山学院で凱旋ライブ「Back To School!! celebrating Aoyama Gakuin's 150th Anniversary」が開催されます。

川上 はい。以前青学でのライブがコロナで中止になってしまったので、リベンジです。あと、在学中に学園祭で演奏するためにデモテープを作って応募したんですけど、落ちたんですよ。それもあって、やっと青学でライブができるのが本当にうれしいです。しかも学園祭じゃなくて、自分たちの主催で大きい体育館でやるので。2024年は凱旋ものが多いですね。

磯部 洋平は2つとも凱旋だから(笑)。

川上 確かに。リアドは何も凱旋ものがないね(笑)。

リアド これからだから(笑)。

川上 2024年は引き続きライブもたくさんやりつつ、水面下で動いていたクリエイティブ面を「todayyyyy」を皮切りに大放出します。ぶっ放すので楽しみにしていてください。

[Alexandros]

[Alexandros]

ライブ情報

[Alexandros] Back To School!! celebrating Aoyama Gakuin's 150th Anniversary

  • 2024年3月16日(土)東京都 青山学院記念館
  • 2024年3月17日(日)東京都 青山学院記念館

[Alexandros] presents THIS FES '24 in Sagamihara

  • 2024年10月26日(土)神奈川県 相模原ギオンフィールドおよびその周辺
  • 2024年10月27日(日)神奈川県 相模原ギオンフィールドおよびその周辺

プロフィール

[Alexandros](アレキサンドロス)

2007年に本格始動し、2010年インディーズレーベルRX-RECORDSから1stアルバム「Where‘s My Potato?」をリリース。2015年3月にシングル「ワタリドリ / Dracula La」でメジャーデビューし、6月にはアルバム「ALXD」を発表した。2016年には6枚目のフルアルバム「EXIST!」をリリースし、オリコンウィークリーチャートで初登場1位を獲得。2018年8月に千葉・ZOZOマリンスタジアムでワンマンライブ「VIP PARTY 2018」を開催し、3万5000人を動員した。2022年7月にテレビ朝系木曜ドラマ「六本木クラス」の主題歌「Baby's Alright」、映画「バイオレンスアクション」の主題歌「クラッシュ」などを収録したニューアルバム「But wait. Cats?」を発表。7月から12月にかけて全23公演の全国ホールツアーを行った。2023年5月より対バンツアー「THIS SUMMER FESTIVAL TOUR '23」、11月よりライブハウスツアー「NEW MEANING TOUR 2023」を開催。12月に配信シングル「todayyyyy」をリリースした。2024年3月16、17日に東京・青山学院記念館にてライブイベント「Back To School!! celebrating Aoyama Gakuin's 150th Anniversary」を開催。2024年10月に神奈川・相模原で主催フェス「[Alexandros] presents THIS FES '24 in Sagamihara」を行う。