3初の“ロックダンス”で新たな一面をアピール!
変わりつつあるグループの体質
「根も葉もRumor」で“ロックダンス”に初挑戦したメンバーたち。約1カ月にわたる厳しい特訓を経て、それぞれが確かな手応えをつかんだという。年中行事と化した「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」の開催も含め、実力主義へとシフトしていくグループの現在地に迫る。
──本店メンバー選抜だからこそ、練習時間がたっぷり確保できたというお話がありました。それがクオリティの向上に果たした部分も大きかったですか?
本田 もちろんです。一番大きかったのは、「自信を持って表現できること」なんですよね。練習が満足にできないと「振りを間違えないようにしなきゃ」「でも口の動きも間違えちゃいけない」とか、目の前のことで頭がいっぱいになっちゃって。今回はたくさん踊り込んでからMV撮影に臨めたので、振り以外のこと……例えば表情とか、周りとのシンクロとか、そういう細かい部分まで意識することができました。
──AKB48グループのメンバーは、振り覚えのスピードが驚異的に速いと関係者が口をそろえて言いますよね。
本田 それは私も韓国に行ってから気付きました! 確かに振り入れが速いのはAKB48のすごいところではあるんです! これからは覚えたダンスをみんなで一緒に磨いていきたいですね。
下尾 練習時間が多くなると、メンバーとコミュニケーションをたくさん取れますしね。そこも私としては収穫でした。普段は話せないような大先輩……具体的には、ゆいはんさん(横山由依)ともすごく仲よくさせていただきましたし。「#噂AKB」という今回のシングルに合わせたTwitterの企画があって、それ用かわかりませんが、そこでゆいはんさんと急接近したところをスタッフさんに隠し撮りされたんです。……あ、もちろん感染予防対策はきちんとしたうえでの話ですが。
──非常に重要な補足説明、ありがとうございます(笑)。
下尾 私にとって、ゆいはんさんは「テレビの中の存在」なんですよ。近付くだけでも恐れ多いというか。それなのに先輩も後輩も関係なく、みんなで一緒になってがんばるところが最高だなと感じました。
──ところで今回AKB48が初挑戦した「ロックダンス」とはどんなものなんですか?
下尾 「鍵をロックする」とか言うじゃないですか。ロックとは錠のことなんですけど、激しい動きから急に止まるのが特徴なんです。今回、私たちにダンス指導してくれた三重高等学校ダンス部の神田橋純先生は、ロックダンスというジャンルのエキスパートで。
──振付師ではなく高校の先生に振り入れしてもらうって、アイドルとしてはかなり特殊なシチュエーションですよね。
向井地 めっちゃくちゃ厳しかったです! キツかったー!
下尾 三重高校は近畿地方にあるから、神田橋先生とはリモートでレッスンしたんですよ。その代わり、東京にいる三重高校ダンス部OGの方2人が直接指導してくれたんです。
村山 そのOGの方2人というのが、控えめに言っても本当にスパルタでして(笑)。その2人って三重高校では伝説の卒業生なんです。当時のエースとキャプテンだったので。AKB48で置き換えると、総監督とセンターがタッグを組んで指導してくれるような。
──今回センターを務めた岡田さんも緊張したんじゃないですか?
岡田 プレッシャーはすごかったですね。特に私はダンスが得意じゃないですから。練習初日から裏に行って1人でひっそり泣いていました。「もうできない」って……。
下尾 そうなんですか!? 全然知らなかったです……。
岡田 だからせめて気力の面だけは負けないようにしようと考えまして。どんなに疲れても座らないようにするとか、時間が許す限り練習するとか、そういう部分でカバーするしかないなって。
本田 でも三重高校OGのお二人が本当に真剣に教えてくださったんですよ。メンバー全員に対して、それぞれ箇条書きで前日までの課題点をリストアップしてくれるんですね。アドバイスもすごくわかりやすいし、何よりも愛情を持って接してくれているのがすごく伝わってきて。
岡田 歌番組で初披露したときも、そのお二人は涙を流しながら喜んでくれたんです。親心みたいな心境だと思うんですけど、あとで「メンバーよりも緊張したかも」と笑っていました。
下尾 初披露までの1カ月間は、ほぼ毎日一緒にレッスンしてくれました。足を高く横に上げるウィッチウェイという動きがあるんですけど、体力的にとてもキツいんです。そういうとき、お二人は誰よりも大きい声で「がんばれ!」「大丈夫だよ!」と励ましてくれて……。
向井地 部活みたいでしたね。あれこそ青春って感じがしました。今回の経験は「根も葉もRumor」1曲だけの話じゃなく、今後のAKB48に必ずプラスになると思います。
──今回のシングルに限らず、近年のAKB48は以前よりもパフォーマンスに力点を置くようになった印象があります。今年も「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」の開催が決まりましたし。実力重視の方向にシフトしていることを、メンバーはどうお考えですか?
向井地 私がアイドルに対して前から感じているのは、結局、パフォーマンスがいいメンバーってみんなから好かれるんですよ。確かにアイドルはいろんな要素で成り立っていると思います。ビジュアルも大事だし、人間性も大事でしょう。でも結局、パフォーマンスがいい人は「好きだ!」って無条件で思ってしまう自分がいるんです。そういうパフォーマンスに秀でたメンバーが1人でも多くいるほうが、やっぱりグループとしては無敵になりますよね。
本田 アイドルはルックスや愛嬌も大事だと思いますが、それよりもパフォーマンスで感動を与えたいと個人的には考えています。時間をかけて練習をたくさん行い、みんなでAKB48を進化させていきたいです。ちょうど今がそのタイミングじゃないかと感じています。
岡田 私が憧れていた先輩たちは、みんなステージで輝く存在でした。アイドルはコンサートや劇場でこそ一番魅力を発揮するし、その部分を大事にするのは時代を超えて変わらない真理じゃないかと思います。
村山 今のAKB48のメンバーは、入ったときから劇場公演曲16曲を普通に覚えてステージに立ち続けてきたんです。だから下積みは確実にあるんですよね。たとえ求められるパフォーマンスが高度になっても、その気になればロックダンスですらクリアできることが今回わかりました。みんな、やればできるんですよ。みんなの闘志に火が点けば、AKB48はさらにすごいことになりますから。今回のシングルはAKB48が進化するきっかけに間違いなくなると思う。もちろん私自身もがんばるし、変わっていくAKB48を楽しみにしています。
下尾 AKB48って大人数のグループだから、選抜メンバーに選ばれないと「自分もグループの一員なんだ」という自覚がなかなか持てないんですよ。AKB48を今よりもっと輝くグループにするためには、そういったメンバー1人ひとりの意識を変えることが一番大事じゃないかと思います。「自分たちのAKB48を、自分たちの手によって、自分たちの理想に近付けるんだ」という当事者意識ですよね。パフォーマンスを上げていくのはもちろん大事なことだから、そのためにも考え方を私も変えていきたいです。……って、ちょっと熱く語りすぎて恥ずかしいですが(笑)。
──総監督、今のコメントはいかがでしょうか?
向井地 完璧です! 非常に頼もしく感じました! 皆さんも、これからの進化していくAKB48に期待してください!
- AKB48(エーケービーフォーティエイト)
- 秋元康プロデュースのもと、2005年に始動したアイドルグループ。劇場に足を運べばメンバーに会える「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、秋葉原にある専用劇場(AKB48劇場)で公演を行っている。楽曲の作詞はすべて秋元康が担当。2006年2月にシングル「桜の花びらたち」をインディーズからリリースし、オリコンウィークリーチャートでトップ10入りを果たす。同年10月にはシングル「会いたかった」でメジャーデビュー。2007年春には初の全国ツアーも開催されたほか、同年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たすなど、着実に知名度を上げていった。2011年3月に20thシングル「桜の木になろう」をリリース。以降、5月に「Everyday、カチューシャ」、8月に「フライングゲット」、10月に「風は吹いている」とミリオンセールスを連発した。2011年オリコン年間シングルチャートで1位から5位をAKB48が独占する結果となり、“国民的アイドル”と呼ばれる地位を確立。2019年3月に指原莉乃の卒業シングル「ジワるDAYS」を発表した。7月より4年ぶりとなる全国ツアー「AKB48全国ツアー2019~楽しいばかりがAKB!~」を開催した。2021年5月、AKB48最後の1期生・峯岸みなみが卒業。同時期にIZ*ONEでの活動を終えた本田仁美がAKB48に復帰した。9月に約10年9カ月ぶりのAKB48メンバーのみで構成された58thシングル「根も葉もRumor」をリリースする。