AKB48|13年目の国民的アイドル、組閣から生まれ変わるグループの未来像

姉妹グループに頼らないAKB48の底力を見せたい

──姉妹グループのメンバーが在籍していることに向井地さんはどう感じていたんですか?

向井地美音

向井地 情けないなって……その気持ちはすごくありました。ほかのグループの皆さんは、それぞれ自分のグループの活動もがんばりつつ、こっちにも手を貸してくれている。私たちも、それですごく助けられていたのは確かなんです。ただ、すごくありがたいと同時に「もっと自分たちがしっかりしていれば……」っていう気持ちは常に抱えていて。申し訳なかったです。それこそチームKでは松井珠理奈さん、山本彩さん、兒玉遥さんと3人も兼任してくれていましたけど、言ってしまえば全国から各地の大将が集まってチームKを支えてくれていたわけですよ。だけど、そこに甘えちゃいけなかったんです。それで実際、珠理奈さんや彩さんが去り、そして今回は全員がそれぞれのお膝元に戻ったわけです。つまり今回の組閣が意味するのは「今のAKB48本体の力だけでやってみろ!」と言うことだと思うんです。

横山 ただ、そこには期待もあると思うんですよ。「お前らだけの力でもやれるんだぞ!」っていう意味で。

山本 うーん……みーおん(向井地美音)は「申し訳ない」とまで言ってくれましたけど、実際、兼任していた立場として、そこまでAKB48に貢献できていたかっていうのは、私からすると不安なところでもあるし……。

向井地 いやいやいや……(笑)。

山本 違うの、「お互い様だよ」っていうことを言いたいの! 今回、兼任解除されるメンバーだって、今までAKB48にいたから得たことがいっぱいあるわけだし。逆に兼任解除になることで焦るメンバーもいるかもしれない。

向井地 んー、そういうことか。

3年後、5年後を見据えて動き出した

──兼任解除によって、テレビや雑誌でよく見かけるような知名度のあるメンバーが減ると思います。そのことに対する不安は?

横山 もちろん不安はあります。だけどもっと広い視野で見ると、ここ数年、第一線で活躍していた先輩メンバーたちがどんどん卒業していきました。数年前まではAKB48としてゴールデンの番組があったし、そこがきっかけとなってメンバーのことを知っていただく機会が多かったんです。だけど、今はそういう状況でもない。個人でむちゃくちゃ抜きん出た存在になるということも、以前と比べると減っているんです。だからこそ、変えていくしかないんですよ。本当にこれは自分たちを高めていくチャンスだと思いますし。私、みーおんが「私たち若手メンバーがAKB48単体として何かを成し遂げていきたい」ってずっと言っているのを知っているんです。それはインタビューでも言っていたし、プライベートでも直接聞いていましたから。

──危機感があったわけですね。

横山 48グループ全体として見たら十分に潤っているのかもしれないですけど、AKB48単体としてはツアーも満足にできていない状態が続いていますので。これまでは「なるようにしかならない」と流れに身を任せていた部分があったけど、若いメンバーたちが「これはどういうことなんだろう?」って声を上げてくれた。これは大きな変化だと思うんですよ。そういうところを見て、スタッフさんは今回の決断を下したのかなとも思います。

向井地 確かに流れが変わってきたなっていうのは感じます。

左から横山由依、向井地美音、小栗有以、山本彩。

横山 今回の組閣は3年後、5年後を見据えたものだと思うんです。「現状維持でもOK」というなら、最初から組閣する必要なんてないので。今までのことを振り返ってみても、実際にチームを変えて、その結果が出るのって数年後なんです。だって最初はみんな言いますから、「あのチームが好きだったのに組閣しちゃって悲しい」とか。でも、ここで変えていかないと3年後、5年後に取り返しがつかなくなっているかもしれない。そうやって長期的な目で見ると、今がちょうど変わるべきタイミングなんだと思います。

──小栗さんのような超新星も出てきましたしね。今なら「渡辺麻友はいなくなるけど、小栗有以がいるぞ」と言えますし。

横山 そうなんですよ、ホントに! このインタビューと同じ内容を2年前に聞かれていたら、たぶん何も答えられなかったと思います。「また1人、偉大な先輩がいなくなりました」と言って終わり。先のことを何も考えられず、どうしていいのかもわからず……だけど今は「新しくグループを作っていくんだ」っていう気持ちがみんなにありますからね。AKB48って今まで何度も何度も危機を迎えてきたけど、そのたびに「この子が出てきたか!」「こんな曲があるのか!」って逆転で乗り切ってきましたから。今回の組閣は時代を後押しする波になるんじゃないかって。

──個人的にもAKB48の大河物語を見てきただけに、その言葉には説得力を感じます。

横山 もちろん現場のメンバーは常に焦っているし、余裕なんて一切ないんです。だけど大きく考えると、ちょっとやそっとじゃ動じないAKB48のパワーがあると言うか。それこそ先輩たちが作ってきた歴史ですよね。劇場公演があって、握手会があって、ファンの人たちも支えてくれる。根本の部分がしっかりしているということだと思うんです。

──「AKB48の伝統を守っていくべきだ」という考え方があります。その一方で「古いスタイルを壊し、新しいAKB48を作らないといけない」という意見もある。矛盾するようにも思えますが、メンバーはそのあたりをどう考えているんですか?

山本彩

山本 なかなか難しい話ですよね、これは。ファンの人すべてが納得する答えはないと思います。全員が同じ考えを持っているわけではないので、当たり前ですよね。ただ、やっぱりどこかで選択はしなくちゃいけない。その際に一番大事なのは、メンバーが「こうしていきたい」と考えるビジョンだと思うんです。

──確かにそうですね。

山本 結局、グループの方向性を決めていくのは現役のメンバーですから。これは卒業についても同じことが言えます。ファンの人は発表の瞬間だけを見て「受け入れられない」って思ってしまうかもしれないですけど、卒業を決めたメンバーは悩みに悩み抜いたうえでそれを発表しているので、長い間悩んでいる姿を近くで見ていたメンバーからすると、「笑顔で送り出してあげたいな」って純粋に思ってしまいます。その時どきで選択した道、それは先の未来を信じて自分たちで決めたことですから。そのときは納得できないファンの人たちも、少し時間が経ったら「ああ、あのときメンバーが選んだ道は正しかったな」って思ってもらえるような、そんな選択を常に私たちはしているつもりなので。そこはメンバーを信じてほしいなって思います。

AKB48「僕たちは、あの日の夜明けを知っている」
2018年1月24日発売 / キングレコード
AKB48「僕たちは、あの日の夜明けを知っている」Type A

Type A [CD+DVD]
3500円 / KIZC-448~9

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. シュートサイン
  2. 誰のことを一番 愛してる?(坂道AKB)
  3. 悲しい歌を聴きたくなった(まゆゆきりん)
  4. 願いごとの持ち腐れ
  5. #好きなんだ
  6. ギブアップはしない
  7. 抱きつこうか?(AKB48 16期研究生)
  8. 11月のアンクレット
  9. 予想外のストーリー(ボーカル選抜)
  10. 靴紐の結び方
  11. 涙の表面張力
  12. Mystery Line
  13. 恋愛無間地獄
  14. 天国の隠れ家
DVD収録内容
  • AKB48グループメンバー エア握手会
「シュートサイン」All Stars
市川美織、入山杏奈、大西桃香、大家志津香、岡田奈々、小栗有以、柏木由紀、加藤玲奈、川本紗矢、木﨑ゆりあ、北原里英、小嶋陽菜、小嶋真子、兒玉遥、込山榛香、後藤楽々、指原莉乃、白間美瑠、須田亜香里、高橋朱里、中井りか、松井珠理奈、松岡はな、峯岸みなみ、宮脇咲良、向井地美音、武藤十夢、山本彩加、山本 彩、横山由依、吉田朱里、渡辺麻友
「誰のことを一番 愛してる?」坂道AKB
伊藤万理華、今泉佑唯、岡田奈々、小栗有以、北野日奈子、小嶋真子、齋藤飛鳥、菅井友香、寺田蘭世、長濱ねる、平手友梨奈、星野みなみ、堀 未央奈、松井珠理奈、宮脇咲良、向井地美音、渡辺梨加、渡邉理佐
「悲しい歌を聴きたくなった」まゆゆきりん
柏木由紀、渡辺麻友
「願いごとの持ち腐れ」All Stars
市川美織、入山杏奈、大家志津香、岡田奈々、小栗有以、小田えりな、柏木由紀、加藤玲奈、川本紗矢、木﨑ゆりあ、北原里英、久保怜音、小嶋真子、兒玉遥、込山榛香、後藤楽々、指原莉乃、白間美瑠、須田亜香里、高橋朱里、高柳明音、朝長美桜、中井りか、古畑奈和、松井珠理奈、松岡はな、峯岸みなみ、宮脇咲良、向井地美音、武藤十夢、山本彩加、山本 彩、横山由依、吉田朱里、渡辺麻友
「#好きなんだ」All Stars
指原莉乃、渡辺麻友、松井珠理奈、宮脇咲良、荻野由佳、須田亜香里、横山由依、惣田紗莉渚、岡田奈々、北原里英、高橋朱里、白間美瑠、本間日陽、古畑奈和、高柳明音、吉田朱里
「ギブアップはしない」
チェリー宮脇、ロングスピーチ横山、パッパラー木﨑、キューティーレナッチ、サックス古畑、ハリウッドJURINA、ユンボ島田、道頓堀白間、ブラックベリー向井地
「抱きつこうか?」AKB48 16期研究生
浅井七海、稲垣香織、梅本和泉、黒須遥香、佐藤美波、庄司なぎさ、鈴木くるみ、田口愛佳、田屋美咲、長友彩海、播磨七海、本間麻衣、前田彩佳、道枝咲、武藤小麟、安田叶、山内瑞葵、山根涼羽
「11月のアンクレット」All Stars
入山杏奈、岡田奈々、岡部麟、荻野由佳、小栗有以、小畑優奈、柏木由紀、加藤玲奈、北原里英、小嶋真子、兒玉遥、指原莉乃、白間美瑠、須田亜香里、高橋朱里、瀧野由美子、田中美久、中井りか、松井珠理奈、松岡はな、峯岸みなみ、宮脇咲良、向井地美音、山本彩加、山本彩、横山由依、吉田朱里、渡辺麻友
「予想外のストーリー」ボーカル選抜
岡田奈々、柏木由紀、白間美瑠、高柳明音、田野優花、峯岸みなみ、山本彩、横山由依
「靴紐の結び方」
入山杏奈、岡田奈々、荻野由佳、柏木由紀、加藤玲奈、指原莉乃、白間美瑠、須田亜香里、高橋朱里、瀧野由美子、中井りか、松井珠理奈、宮脇咲良、向井地美音、山本彩、横山由依
「涙の表面張力」
岡田奈々、小嶋真子、高橋朱里、向井地美音
「Mystery Line」
白間美瑠、田野優花、松井珠理奈
「恋愛無間地獄」
荻野由佳、込山榛香、指原莉乃
「天国の隠れ家」
川本紗矢、須田亜香里、中井りか、樋渡結依、吉田朱里
AKB48「僕たちは、あの日の夜明けを知っている」Type B

Type B [CD]
2800円 / KICS-3675

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. シュートサイン
  2. 誰のことを一番 愛してる?(坂道AKB)
  3. 悲しい歌を聴きたくなった(まゆゆきりん)
  4. 願いごとの持ち腐れ
  5. #好きなんだ
  6. ギブアップはしない
  7. 抱きつこうか?(AKB48 16期研究生)
  8. 11月のアンクレット
  9. 予想外のストーリー(ボーカル選抜)
  10. 靴紐の結び方
  11. 涙の表面張力
  12. キスキャンペーン
  13. クサイモノだらけ
「シュートサイン」All Stars
市川美織、入山杏奈、大西桃香、大家志津香、岡田奈々、小栗有以、柏木由紀、加藤玲奈、川本紗矢、木﨑ゆりあ、北原里英、小嶋陽菜、小嶋真子、兒玉遥、込山榛香、後藤楽々、指原莉乃、白間美瑠、須田亜香里、高橋朱里、中井りか、松井珠理奈、松岡はな、峯岸みなみ、宮脇咲良、向井地美音、武藤十夢、山本彩加、山本彩、横山由依、吉田朱里、渡辺麻友
「誰のことを一番 愛してる?」坂道AKB
伊藤万理華、今泉佑唯、岡田奈々、小栗有以、北野日奈子、小嶋真子、齋藤飛鳥、菅井友香、寺田蘭世、長濱ねる、平手友梨奈、星野みなみ、堀未央奈、松井珠理奈、宮脇咲良、向井地美音、渡辺梨加、渡邉理佐
「悲しい歌を聴きたくなった」まゆゆきりん
柏木由紀、渡辺麻友
「願いごとの持ち腐れ」All Stars
市川美織、入山杏奈、大家志津香、岡田奈々、小栗有以、小田えりな、柏木由紀、加藤玲奈、川本紗矢、木﨑ゆりあ、北原里英、久保怜音、小嶋真子、兒玉遥、込山榛香、後藤楽々、指原莉乃、白間美瑠、須田亜香里、高橋朱里、高柳明音、朝長美桜、中井りか、古畑奈和、松井珠理奈、松岡はな、峯岸みなみ、宮脇咲良、向井地美音、武藤十夢、山本彩加、山本彩、横山由依、吉田朱里、渡辺麻友
「#好きなんだ」All Stars
指原莉乃、渡辺麻友、松井珠理奈、宮脇咲良、荻野由佳、須田亜香里、横山由依、惣田紗莉渚、岡田奈々、北原里英、高橋朱里、白間美瑠、本間日陽、古畑奈和、高柳明音、吉田朱里
「ギブアップはしない」
チェリー宮脇、ロングスピーチ横山、パッパラー木﨑、キューティーレナッチ、サックス古畑、ハリウッドJURINA、ユンボ島田、道頓堀白間、ブラックベリー向井地
「抱きつこうか?」AKB48 16期研究生
浅井七海、稲垣香織、梅本和泉、黒須遥香、佐藤美波、庄司なぎさ、鈴木くるみ、田口愛佳、田屋美咲、長友彩海、播磨七海、本間麻衣、前田彩佳、道枝 咲、武藤小麟、安田 叶、山内瑞葵、山根涼羽
「11月のアンクレット」All Stars
入山杏奈、岡田奈々、岡部 麟、荻野由佳、小栗有以、小畑優奈、柏木由紀、加藤玲奈、北原里英、小嶋真子、兒玉 遥、指原莉乃、白間美瑠、須田亜香里、高橋朱里、瀧野由美子、田中美久、中井りか、松井珠理奈、松岡はな、峯岸みなみ、宮脇咲良、向井地美音、山本彩加、山本 彩、横山由依、吉田朱里、渡辺麻友
「予想外のストーリー」ボーカル選抜
岡田奈々、柏木由紀、白間美瑠、高柳明音、田野優花、峯岸みなみ、山本彩、横山由依
「靴紐の結び方」
入山杏奈、岡田奈々、荻野由佳、柏木由紀、加藤玲奈、指原莉乃、白間美瑠、須田亜香里、高橋朱里、瀧野由美子、中井りか、松井珠理奈、宮脇咲良、向井地美音、山本彩、横山由依
「涙の表面張力」
岡田奈々、小嶋真子、高橋朱里、向井地美音
「Mystery Line」
白間美瑠、田野優花、松井珠理奈
「キスキャンペーン」
入山杏奈、加藤玲奈、宮脇咲良
「クサイモノだらけ」
柏木由紀、山本彩、横山由依
AKB48(エイケイビーフォーティエイト)
AKB48
秋元康プロデュースのもと、2005年に始動したアイドルグループ。劇場に足を運べばメンバーに会える「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、秋葉原にある専用劇場(AKB48劇場)で公演を行っている。楽曲の作詞はすべて秋元康が担当。2006年2月にシングル「桜の花びらたち」をインディーズからリリースし、オリコンウィークリーチャートでトップ10入りを果たす。同年10月にはシングル「会いたかった」でメジャーデビュー。2007年春には初の全国ツアーも開催されたほか、同年末の「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たすなど、着実に知名度を上げていった。2011年1月には初のドキュメンタリー映画「DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」が公開。同年8月には「AKB48 22ndシングル 選抜総選挙」での上位21名が歌う22ndシングル「フライングゲット」をリリースし、発売初日に100万枚を売り上げたことでも話題を集めた。以後、10月に東日本大震災復興応援ソング「風は吹いている」などでミリオンセールスを連発。2011年オリコン年間シングルチャートで1位から5位をAKB48が独占する結果となり、“国民的アイドル”と呼ばれる地位を確立した。また2009年から年に1回、シングル曲のメンバーをファン投票によって決める「AKB48 選抜総選挙」を行っており、2013年の「恋するフォーチュンクッキー」では指原莉乃が、2014年の「心のプラカード」では渡辺麻友が総選挙1位としてセンターを務めた。2017年8月に49thシングル「#好きなんだ」をリリースし、11月に渡辺麻友の卒業シングル「11月のアンクレット」を発表。12月に約2年9カ月年ぶりの組閣が発表され、姉妹グループのメンバーによる兼任解除が決定した。2018年1月に9thアルバム「僕たちは、あの日の夜明けを知っている」をリリース。組閣による異動は今春を予定している。