AKASHIC GROOVE特集|ライバーとして活躍するボーカリストYUNが表現したいものとは

AKASHIC GROOVEが2ndシングル「未来」を7月29日に配信リリースした。

AKASHIC GROOVEはライブ配信プラットフォームBIGO LIVEで公式ライバーとして活動中のゆんが、YUN名義でボーカリストを務める1人ユニット。2022年6月に、コンポーザーとしてSPANOVAを迎えた1stシングル「UNIVERSE」をリリースした。続く「未来」は前向きな歌詞が印象的な応援ソングで、ラテン系のハウスサウンドに乗せてYUNが力強く歌唱している。

音楽ナタリーでは「未来」のリリースに際して、YUNとAKASHIC GROOVEのプロデュースを手がけるUDにインタビュー。AKASHIC GROOVEの活動開始までの経緯や音楽性、「UNIVERSE」「未来」の制作エピソードについて聞いた。

取材・文 / ナカニシキュウ

カバー曲を歌うだけでは伝えられないこと

──ライバーとして活躍するYUNさんが「別名義でアーティスト活動を始めよう」と思ったきっかけはどういうものだったんでしょうか。

YUN ゆんとしてライブ配信をほぼ毎日やっているんですけど、そこでは既存のアニメソングやJ-POPなどのカバーを歌っているんですね。ただ、それだけでは自分自身の気持ちや言いたいことがリスナーさんに伝わりきらないなと感じるようになってきて、どうしてもオリジナル曲を作りたくなったんです。それが最初のきっかけですね。

──なるほど。

YUN ただ、楽曲を作るということがスキル的にまだできないので、そこは誰かに助けてもらわないといけなくて。でも、大阪からなんのツテもなく上京してきたばかりだったから、身近にミュージシャンの知り合いもほとんどおらず……という中で、ふとUDさんのことを思い出したんです。だいぶ昔、私が大阪のソウル系クラブとかで歌っていた頃に一度活動を手伝っていただいたことがあって。

YUN(AKASHIC GROOVE)

YUN(AKASHIC GROOVE)

UD 私も昔、大阪で音楽活動をしていたんですよ。その後サラリーマンになって音楽活動からは離れてしまうんですけども。だから、今回彼女から声がかかるまで……15、6年くらいですかね、まったく音楽には関わっていなかった。

YUN なので、最初はUDさんに「曲を作れる方を紹介してもらえないですか?」とお願いしたんです。それがまさか、ここまで深く制作に関わってもらうようになるとは。

UD 私としても当初は進行管理や広報の部分だけをお手伝いするつもりで引き受けたんですけども、現実的に予算感を考慮していくと、どうしてもいろいろ自前でやっていかなければならないことになり……結果、音も作っているという(笑)。

──お2人の出会いは大阪だったということですけども、UDさんが今東京にいらっしゃるのはたまたまですか?

UD そうですね、転勤で東京に来たので。今は会社からは離れてフリーで働いているんですけども、そのままこちらに住んでいる状態です。

YUN たまたま東京にいてくれて、ちょうどよかったです(笑)。

音楽一家で生まれ育ったYUN

──YUNさんが歌を始めたそもそものきっかけは、どういうものだったんですか?

YUN それが、あまり意識したことがないんですよ。生まれた家庭がけっこう音楽一家というか、母親と姉がピアノ、父親がバイオリンを弾いていたりして。あと通っていた保育園も音楽に力を入れていて、合唱や合奏のコンクールに園としてバンバン出ていくようなところでした。そういう環境で育ったので、歌を歌うというのは私にとってはすごく自然なことだったんです。

──人前で歌うことに関しても、そんな感じですか?

YUN そうですね、特に「やるぞ」と決心した瞬間があったわけでもなく。子供の頃に姉妹でピアノを習っていて、ピアノの発表会でなぜか私だけ歌を歌ったんですよ。なんでそうなったのかは覚えていないのですが、そういう流れになりました。ほかのみんなは真面目にピアノ演奏を発表しているのに、最後になぜか私が歌い始めるという。姉にピアノで伴奏してもらって。

──ほとんどコントの世界ですね。「いや、歌うんかい!」みたいな。

YUN 確かに(笑)。でも、自分としてはいたって真面目にやってるんですよ。そんな感じで、小学生くらいのときから人前でも普通に歌っていましたね。

──音楽性的には、どんなものを歌っていきたいんですか?

YUN うーん……「自分の世界観を表現したい」という思いは強くあるんですけど、それがどんなジャンルなのかと言われると、ちょっとひと言では言えないですね。

──AKASHIC GROOVEの1stシングル「UNIVERSE」を聴かせていただいた感覚で言うと、「ソウル系をずっと歌ってきた人なんだろうな」とは感じるんですけど、必ずしも「ソウルシンガーでありたい」とは思っていないわけですか?

YUN そうですね、そういうつもりはないです。大阪で活動していた頃はR&Bとかの洋楽も歌っていたんですけど、ライブ配信では主にアニメソングを歌っていて。ただ、アニソンといっても有名な人気曲だけじゃなく、すごくマニアックで「誰が知ってんねん」みたいなところをけっこう攻めていて。

UD 70年代、80年代あたりの選曲が多いんですよ。その時代のアニメソングって、フュージョン寄りのソウルみたいなものが多かったりして、演奏をよく聴くとものすごくテクニカルなことをやっていたりするんですよね。

YUN そう、すごくカッコいいんですよ! 「ダンバイン とぶ」(アニメ「聖戦士ダンバイン」オープニングテーマ)とか、「夢操作P.M.P.1」(アニメ「プラレス3四郎」オープニングテーマ)とか……。

──なるほど。「まず歌がいいんだけど、よく聴くとバックの演奏が異様にヤバい」という意味では、AKASHIC GROOVEの音楽と通ずるものがあるわけですね。

YUN そうなんです! そこはけっこうリンクしているというか。

──となると、シンガーとしてはどちらかというと「どんな曲を歌っても自分の歌になる」を理想としている感じになるんですかね?

YUN ああ、そうかもしれないです。それが一番近いような気がします。