「RIVER」は畑から引き抜いた状態で食わす作品
清水 前のアルバム「LOVE」は制作に1年くらいかかったんですけど、今作は3、4カ月で作ったんです。自分たちで短くすることにしたんですけど。
山田 そうだったんだ。
清水 だから「料理するんじゃなくて、畑から引き抜いた状態で食わす」みたいな感覚で作りました。それってほかのバンドからしたら当たり前のことなのかもしれないですけど、自分たちにとってはすごく新しい手段で。「自分たちが今やりたいことをどれだけ明確に、聴いてくれる人、ライブに来てくれた人に伝えられるか?」っていう根本に立ち返ったときに、その手法が最適なんじゃないかと思ったんです。自分たちの存在、イメージを確立したくて「Age Factoryってこういうバンドなんだぜ」って色濃く提示するにはどうするのがいいのかを考えた結果、素材のままぶち当てる感じがいいんじゃないかなと。「LOVE」のときみたいに1曲ずつ練っていく作業もすごく好きなんですけどね。
山田 ああ、「畑から引っこ抜いてきたものをそのまま出す」っていうのはすごく感じた。「すごくわかりやすく、Age Factoryの衝動的な部分を感じるアルバムだな」って思ったから。
清水 今はヒップホップが流行ってたりもしてる中で、自分たちはロックバンドをしてる。それが存在意義でもあるなって思ったし、自分たちでもそれをちゃんと考えられてなかった感じがして。だから「僕らはロックバンドです」ってことが、言わなくても明確に伝わるような作品にしたいなと、すごく考えました。あと、これは自分たちの癖でもあるんですけど、アルバムの曲順でもセットリストでも、衝動的な曲は前半に置いて、最後は“優しさ”で終わりたいという気持ちがあって。だから最後はバラードで終わるようにしてます。
山田 うんうん。俺はやっぱり優しい音楽が好きだからわかるよ。自分が音楽に救われてきたからだと思うけど、激しくても優しい音楽が好きだし、自分の音楽もそうありたいって思ってるから「最後は優しさで終わりたい」というのはすごく共感できるな。
「楽しませたい」という感覚がない
山田 今年、フェスとかには出る?
清水 「京都大作戦」の牛若ノ舞台に出させてもらいます。(7月8日に出演)
山田 マジでたくさんの人に観てほしいな、Age Factoryのライブ。
清水 そうですね、できる限り。フェスっていうものに対して、普通に憧れはあるし、多くの人に観に来てもらいたいなあとは思うんですけど、僕には「楽しませたい」みたいな感覚がマジでなくて。
山田 うん。俺はAge Factoryを観てて、それが気持ちいいんだよね(笑)。なんかさ、最近って盛り上げていくバンドとか曲が多いじゃない? それに対して、引かせるライブをできるバンドが少なくなってきたなと。俺らは昔「客をどれだけ引かせられるか」みたいな意識でライブをやってたことがあって。だから、なんで俺がAge Factoryを好きなのかって言ったら、自分らがなくしてしまった気持ちを再現してくれてる感覚があるからなんだと思う。ライブを観ててうれしくなるんだよ。
清水 そう言ってもらえると僕らもうれしいです。でも僕らはそれを狙ってるわけではなくて、自分たちのスタンスでやってるだけなんですよね。今って、おしゃれで体が横に揺れるような曲をやるバンドばっかりがフェスに出てるじゃないですか。でもああいうバンドって“楽しませたい”以外に何もない気がしていて。僕らみたいなバンドがロックフェスにもっと出るべきだと自覚してるんで、そこまで上がって行かなきゃダメやなと思ってます。そのためにも、周りのことを気にする前に、とりあえず無心で自分たちのことをやっていくべきだなと。で、そのままライブをする会場がデカくなっていくのがいいですよね。
山田 本当は各々のバンドの美学を、ただ見せればいいだけなんだよね。シーンとかを意識するんじゃなくて、自分たちのやりたいことをただやればいいだけ。
しなやかに固く
山田 THE BACK HORNは来年結成20周年を迎えるんだけど……よくよく考えたら20年続くってすごいなと思って。
清水 すごいですよ。だって20年前って僕が2歳のときですよ?
山田 ……そうか。そう考えると本当にすごいな(笑)。他人事みたいだけど。
清水 僕の生涯ぐらい長い間バンドをされてる先輩バンドってすごいなって本当に思います。音がどうとかじゃなく、1つのバンドを20年も続けること自体が。
山田 もちろん、何回もくたばりそうになったことはあったんだけど、それをつないだのってライブだったなと思うんだよね。俺は素直に曲から力をもらい、お客さんとも明日のエネルギーの交換をし合ってきたから。今いる場所から1歩、それが前なのかはわかんないけど、どこかの方向に踏み出す力をライブで作れたから、自分がここまで来れたんだなと。だからそういうライブはずっと今後、何年もずっとやっていきてえなって思ってる。エイスケは今後についてどう考えてる?
清水 俺はとりあえずいろんな人に認められたい。だから今はとりあえず、どれだけいいリリックを書いて、どれだけいいCDを作って、どれだけいいライブをするかっていうこと以外は考える必要もないなと思ってます。ピュアにバンドマンがやるべきことを誠実にやろうと。
山田 Age Factoryは本当にカッコいいからね。俺も、広めてくわ。
清水 ありがとうございます。もう十分広めていただいてる気がしますけど。
山田 もっと広めていくよ。こういうカッコいいバンドは本当に知ってもらわないとダメだ。Age Factoryには信念は固くあってほしいな。だけど柔らかな対応力のある固さと言うか……そこが柔らかければ柔らかいほど、信念の固さは奥まで刺さってくと思うから。しなやかに固くいてほしい。
清水 わかりました! がんばります。
山田 俺らもがんばります。今度、ライブも一緒にやりたいね。次はバンド同士で。
清水 ぜひ! よろしくお願いします。
- Age Factory「RIVER」
- 2017年7月26日発売 / SPACE SHOWER MUSIC
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[CD]
1620円 / PECF-3180
- 収録曲
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- OVERDRIVE
- RIVER
- siren
- CLEAN UP
- left in march
- SUNDAY
- THE BACK HORN「孤独を繋いで」
- 2017年7月5日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
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初回限定盤 [CD+DVD]
2160円 / VIZL-1165 -
通常盤 [CD]
1296円 / VICL-37285
- CD収録曲
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- 孤独を繋いで
- 導火線
- 夏の残像
- 初回限定盤DVD収録内容
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「KYO-MEIホールツアー」~月影のシンフォニー~ Live at 中野サンプラザ
- オープニング -夜明けの息吹-(Live SE「KYO-MEIホールツアー」~月影のシンフォニー~)
- トロイメライ
- 閉ざされた世界
- カラス
- 悪人
- シンフォニア
- With You
- コバルトブルー
- 刃
- Age Factory「RIVER」RELEACE GIG 東京編
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2017年8月3日(木)東京都 WWW X
<出演者>Age Factory / LOSTAGE / My Hair is Bad - Age Factory「RIVER」RELEACE GIG 大阪編
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2017年8月19日(土)大阪府 Shangri-La
<出演者>Age Factory / ciname staff / NOT WONK
- THE BACK HORN「日比谷野外大音楽堂ワンマンライブ」
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2017年10月21日(土)東京都 日比谷野外大音楽堂
- THE BACK HORN「マニアックヘブンツアーVol.11」
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- [名古屋公演] 2017年11月3日(金・祝)
- [仙台公演] 2017年11月5日(日)
- [福岡公演] 2017年11月10日(金)
- [札幌公演] 2017年11月15日(水)
- [大阪公演] 2017年11月26日(日)
- [高松公演] 2017年12月1日(金)
- [広島公演] 2017年12月2日(土)
- [金沢公演] 2017年12月22日(金)
- [東京公演] 2017年12月24日(日)
詳細後日発表
- Age Factory(エイジファクトリー)
- 清水エイスケ(Vo, G)、西口直人(B)、増子央人(Dr, Cho)からなるスリーピースバンド。2010年4月の結成以来、地元の奈良を中心に全国で年間100本近くのライブを重ねてきた。2014年12月にデビューミニアルバム「手を振る」、2015年9月に「NOHARA」を発売。2016年10月に、LOSTAGEの五味岳久をプロデューサーに迎え1stフルアルバム「LOVE」を発表した。2017年1月には初のワンマンツアー「MY WAR」、4月には自主企画ライブ「EGUMI」を開催。7月に新作ミニアルバム「RIVER」をリリースする。
- THE BACK HORN(バックホーン)
- 1998年に結成された4人組バンド。2001年にメジャー1stシングル「サニー」をリリース。国内外でライブを精力的に行い、日本以外でも10数カ国で作品を発表している。またオリジナリティあふれる楽曲の世界観が評価され、映画「アカルイミライ」の主題歌「未来」をはじめ、映画「CASSHERN」の挿入歌「レクイエム」、MBS・TBS 系「機動戦士ガンダム 00」の主題歌「罠」、映画「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」の主題歌「閉ざされた世界」を手がけるなど映像作品とのコラボレーションも多数展開している。そして2017年、第1弾シングルとして宇多田ヒカルとの共同プロデュース楽曲「あなたが待ってる」、第2弾シングルとして「孤独を繋いで」をリリース。秋には6年ぶり3度目となる東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブと、恒例のスぺシャルイベント「マニアックヘブンツアー Vol.11」の開催が決定し、2018年のバンド結成20周年へ向けて活動を加速させている。