足立佳奈|信じてもらえるから新しい一歩を踏み出せる 挑戦に満ちた2019年を振り返る

足立佳奈の新曲「話がある」が12月16日に配信リリースされた。

3カ月連続リリースの第1弾作品となる「話がある」は、AbemaTVのリアリティ番組「今日、好きになりました。」のエンディングテーマに使用されている切ないラブバラード。Sori Sawadaが作曲とアレンジを手がけ、作詞は足立とSawadaによる共作となっている。

デビュー3年目に突入した足立の新たな表情が堪能できる新曲のリリースを記念し、音楽ナタリーではインタビューを実施。楽曲の制作エピソードはもちろん、充実の2019年を3大ニュースとともにじっくり振り返ってもらった。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 笹原清明

“かわいい”だけで終わらせたくない

──2019年の足立さんは20歳を迎えるという大きな節目を経験しましたね。

足立佳奈

今振り返ると、デビュー2周年ライブ(8月30日)から20歳の誕生日(10月14日)を迎えるまでの1カ月半くらいが自分にとってものすごく重要な時期だったと思うんです。そのタイミングで周りの大人の方々に、「自分の意志を強く持って、イエス、ノーがはっきり言えるようになったほうがいい。何よりも今が大事だからね」というアドバイスをいただいて。それによって20歳になることに対しての怖さよりも、喜びのほうが大きくなった気がするんです。自分が抱える責任はもちろん大きくはなるけど、今まで以上にいろいろなこと、やりたいことが思い切りできるようになるんじゃないかなって心が大きく動いたというか。

──覚悟を持って20歳の誕生日を迎えられたということなんでしょうね。

そうですね。誕生日の当日に初めてのファンクラブイベントをやらせていただいたんですけど、そこでは今までの歩みもしっかり噛み締めることができたんです。ここ最近は楽曲の方向性が変化してきていたりもするけど、それは過去の楽曲たちがあるからなんだなって改めて思えたところもあって。だからこそ未来に向けた覚悟、変わり始めている自分に対しての覚悟もちゃんと芽生えたんだと思うんですよね。

──「イエス、ノーがはっきり言えるようになったほうがいい」というアドバイスに対してはどうなんでしょう? 足立さんはデビュー当初から楽曲に対して自分の意志をしっかり注いできていたと思うし、そんなに曖昧なほうではない印象があるのですが。

確かに自分の意見をいろいろ言うタイプではあるんですけど、今まではそれ以上に周りの方の意見に委ねるところが多かったと思うんです。私よりも音楽に関わっている時間が長いスタッフの方々が「いい」と言ってくれるならば、それは間違いないんだろうなと思ってしまうというか。プロの方々が考える“正解”を知りたかったというのもあったと思います。ただ、その裏にはみんなが右を向いているのに、私だけ左を向きたいと言うことに対しての怖さもあったんですよね。自分に対して自信がなかったから。

──なるほど。でも今はそうではない。

はい。今は曲ができあがるまでの流れみたいなこともしっかりわかったし、自分に対して自信を持てるようになってきたところがあって。私なりの意見をちゃんと言うことで周りの方が動きやすくなる部分もあるんだということにも気付けました。

足立佳奈

──この2年で手に入れた表現に関しての自信はどうですか?

感情がしっかり伝わる息の使い方であったり、私らしい恋愛バラードの歌い方はちょっとずつ見えてきたような気はしますね。ここ最近のラブソングではサビ前にちょっと落とすブレイクを意図的に盛り込むようにしているんですけど、そういう部分に関しても自分なりの表現の仕方が作れているような気はします。自信があるって言えるかどうかはまだわからないですけどね。もっともっとがんばらなきゃいけないとは思うので。

──でもデビュー当初の歌と比べると、その表現の豊かさは確実に違いますよね。

ああ、うれしいです。今の私としては“かわいい”だけで終わらせたくない気持ちが強いんです。自分の声をしっかりコントロールして、いろんな曲を歌えるようになりたいんです。そのためにはちょっと冷静になる部分も必要なんじゃないかなとは思っていて。今までの私はラブソングにしても応援ソングにしても、感極まりすぎて泣きながら歌ってしまうことがよくあって。でも、それだと曲のメッセージがうまく伝わらないこともあるんじゃないかなって思うんです。

──確かに歌い手の感情が強すぎると、聴き手側が冷静になってしまうこともありますからね。

そうそう。だったらちゃんと感情は込めつつもちょっと冷静になって歌ったほうが、聴く人ごとに色を付けて聴いてもらうことができるんじゃないかなって。音源での歌の表現に関しては、そこを一番考えるようにはなっていますね。

足立佳奈

──今の足立さんは、自らの変化を恐れずに受け入れている感じなんですね。

そうですね。過去の音源を聴いてライブに来てくださった方に、「あれ、ちょっと違うな」とがっかりされることもあるかもしれない。でも私は今の自分、等身大の自分として歌ったらこうなるんだよっていうことをそのときどきで届けていきたいと思っているので、無理はしなくてもいいのかなって。ずっと応援してくれているファンの方には、「どんな佳奈ちゃんも好きだよ」と言っていただけていることも自信にはなっていますね。

──ファンも足立さんの変化をちゃんと受け入れてくれていると。

「楽曲が変化しても、佳奈ちゃんの根本は変わってないからね」ってみんな言ってくれているんです。そうやって信じてもらえているから私は新しいことにもどんどん踏み出せるんですよね。「これをしたら嫌われちゃうかも」と恐れる必要はまったくないんです。本当にありがたいことだなって思いますね。