足立佳奈|成長する20歳、もっと自由に自分らしく

歌に対しての視野を広げるために

──もう1曲の「面影」は「今日好き。」のエンディングテーマとして書き下ろされたものですね。

番組サイドからのリクエストもあり、こちらの曲は切ないラブソングにしました。前回リリースした「ひとりよがり」は夏にぴったりな切ない曲でしたけど、今回は冬にマッチするものを作りたい気持ちがあったんですよね。結果、すごく壮大な雰囲気を持つ曲に仕上がりました。だってね、「君と出会えたこと 77億分1の奇跡だったと知りました」ですから。ここは世界の人口を調べて書いたんですけど(笑)。

──この曲は“出会い”と“奇跡”がテーマですよね。

はい。好きだった相手と別れて、後悔している男の子目線で書きました。恋が終わったことで、その出会いが奇跡だったことと相手の大切さにようやく気付けたという。

──あ、これは男の子が主人公なんですね。歌詞に一人称が出てきてませんけど。

私の中では男の子を主人公として書いてはいるんですけど、それを特定できないようにあえて“僕”という言葉は入れなかったんです。「ひとりよがり」のときは明確に男の子を主人公にしたんですけど、そうすることで曲の世界に入りにくいと感じた女の子もいたんじゃないかなと思って。この曲は男女関係なく、皆さんに聴いてもらって、大切な人と出会えることの奇跡について感じてもらえたらうれしいです。切ない曲ですけど、最後にはしっかり前を向いている内容にもなっているので。

──作曲とアレンジは、ここ最近タッグを組むことが多いCarlos K.さんですね。

おなじみのCarlosさんです。今回もご自宅のスタジオで一緒に制作させていただいて。Carlosさんがパソコンに向かって作業しているときに、私はそれを後ろからジーッと見つめて、要所要所で「あ、それすごくいいですね!」「でもそこはもうちょっと違う感じのほうがうれしいです」とか生意気にもいろいろと私なりのこだわりをお伝えさせていただきました。「真後ろからそんなに凝視されることってないから緊張するな」っておっしゃってましたけど(笑)。Carlosさんとの作業はすごく楽しくてやりやすいですね。

足立佳奈

──壮大な曲になったとおっしゃいましたけど、その雰囲気は歌で増幅されているところもありますよね。

あー、うれしいです。確かにこの曲は壮大な広い気持ちで歌うことを意識したところがあって。レコーディングのとき、いつもは歌詞カードを見たり正面を見つめて歌うことが多いんですけど、今回は歌に対しての視野を広げるために上を向いてみたり、目をつぶって何かを感じてみたりしながら歌いましたね。「Call me」とは対照的に、この曲では高いキーをファルセットを使いながら歌ってみる挑戦もしたんです。ラスサビの「こんなにも一途に愛していられた」のところは今までで一番高いんじゃないかってくらいのキーなんですけど、そこをしっかり歌えたことでこの曲の切なさがより色濃く出たんじゃないかなと思います。

焦って大人になろうとしなくてもいい

足立佳奈

──今回の2曲を聴いて、最近の足立さんは曲が求めている声の表情を自在にコントロールできるようになっていると感じたのですが、ご自分ではいかがですか?

「こう歌ったらこういう声になるな」とか、「誰かを思い浮かべると、こんなニュアンスが出そうだな」とか、そういう想像はできるようになったと思います。今回の2曲に関しては、それぞれに「こう歌いたい」というイメージが明確にあったし、仕上がったものを聴いてもちゃんとそう歌えた手応えもあって。少しずつではありますけど、コントロールできるようになっているんだと思います。

──「Call me」と「面影」の配信がスタートした10月14日は、足立さんの20歳の誕生日でもありました。いよいよ成人を迎えて、今のお気持ちはどうですか?

この前、デビューした当時の自分の歌を改めて聴いてみたんですけどやっぱりいろいろな変化があるなって思えてすごくうれしかったんです。同時に自分はまだまだ成長できるはずだとも思えたので、ここからもっともっとがんばっていきたいです。20歳になることできっとまた新しい出会いもあるはずなので、自分の価値観だけにとらわれずいろいろなインプットをしていきたいですね。曲に関しても、ヒゲダンさんのように楽しさにあふれたものや、もうちょっと大人なラブソングを書けたらいいなと思いますし。とは言え、「笑顔の作り方~キムチ~」を今歌うと、一気に昔の自分に戻って、無邪気になれる感じもあるんですよ(笑)。そんなに焦って大人になろうとしなくてもいいかなって思えたりとか。

──そうやって初心に引き戻してくれる曲があるのは素晴らしいことですよね。

そうですね。すごく大事な曲です。40、50歳になっても歌っていたいけど……“キムチおばさん”って呼ばれるのはちょっとヤダなあ(笑)。

──20歳を迎えて、何かやってみたいことってあります?

1人旅ですかね。ギターを持って小さな島を回り、民宿に泊まって、そこのおばあちゃんたちに感謝の歌を届けてみたりしたい(笑)。旅先だったら、東京で作るのとはまた違った曲が生まれそうですしね。ただ具体的に行きたい場所はまだ全然なくって。島と言っても江の島くらいしかわからないので(笑)、これから調べて知識を増やしていこうと思います。次はしっかり旅の話ができるようにしておきますので、今日のところはすみません(笑)。

ライブ情報

足立佳奈 LIVE TOUR 2020(仮)
  • 2020年3月6日(金)東京都 Veats Shibuya
  • 2020年3月12日(木)大阪府 BIGCAT
  • 2020年3月14日(土)石川県 Kanazawa AZ
  • 2020年3月27日(金)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2020年3月28日(土)兵庫県 神戸VARIT.
  • 2020年4月3日(金)広島県 広島セカンド・クラッチ
  • 2020年4月4日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2020年4月17日(金)宮城県 space Zero
  • 2020年4月19日(日)北海道 cube garden
  • 2020年5月30日(土)東京都 EX THEATER ROPPONGI
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