ナタリー PowerPush - 99RadioService
2年間の成長からたどり着いた “じっくり聴ける”全曲日本語詞アルバムの魅力
その曲の中で何に一番比重を置けばいいのか
──アルバム「3」を聴くと、楽曲のバラエティの豊かさが今まで以上に印象に残ります。先行試聴会でのアンケートにもそういった意見が多かったんですが、今回のアルバムはジャケットのアートワーク含めてカラフルさを前面に打ち出してますよね。
Ko-ta アレンジについては、「BYE×BYE」と「STAR」で一緒にやらせてもらったプロデューサーの竹内修さんの影響が強くて、そこから自分の中で視野が広がった気がしてます。あとはGOIちゃんのピアノもすごく進化していて、そのへんもバラエティ豊かさにつながってるのかな。
──もとになるメロディがしっかりしてるぶん、アレンジで遊べるというのも大きいんでしょうね。しかも今作の収録曲は全曲日本語詞ということもあり、今まで以上に聴き手に響きやすいんじゃないかという気もしています。演奏もプレイヤーのエゴを前面に出すことよりも、あくまで歌を聴かせるための演奏に徹しているし。
Ko-hey そこについては、実は揉めたポイントでもあって(笑)。バンドとしてはサビでガーンといきたいところなんだけど、コードで起伏を付けることで淡々と演奏したりとか。「ここでバーンといかなかったらカッコ悪いでしょ?」「でもこの曲のサビで何を聴かせたいの? 歌でしょ!」みたいなやり取りはかなりありましたね。その曲の中で何に一番比重を置けばいいのか、そのときリスナーはどう思うのか、そういったことは常に意識するようになりました。去年1年間、竹内さんからいろいろ注意されてきたので。
──先にリリースした3枚のシングルは過去の作品と比較すると、よりど真ん中で勝負した王道ポップナンバーという印象でしたが、その3曲がアルバムの中に入っても浮くことがなく、自然に溶け込んでいるあたりからも意識の変化を感じました。
Ko-ta でも最初はシングル曲をどうやって入れていこうかと不安だったんですよ。悩みながらアルバムを作ってたんですけど、最終的にはわりと普通に収まって。ああ、今の俺らなら大丈夫なんだなって実感できました。
Ko-hey 「3」ではシングル曲がアルバム収録曲を盛り上げるようなポジションになっていて、すごく面白いアルバムになったなと客観的に思ってます。
──それに、アルバム曲と並ぶことで以前から聴いていたシングル曲の印象も変わって聞こえるというか。
Ko-ta ああ、俺もすごく変わりましたね。「BYE×BYE」なんか特に、シングルで聴いたときから180度印象が変わったというか。いろんな意味ですごく音楽的だし、ただいい曲ってだけじゃないんだなって改めて気付かされたし。なんかいいアルバムになりましたね(笑)。
曲によっては意外と俺の声のほうがいいのかなと思えた
──今作の特徴としてもう1つ、Ko-taさんが歌う比率がどんどん高くなっていることが挙げられると思います。今回は「BLACK PEANUTS」「KARMA」の2曲でリードボーカル、「MONKEY」ではKo-heyさんとのツインボーカルを披露していますが、Ko-taさんは実際にここまで歌ってみてどうでしたか?
Ko-ta 英語詞中心でやってたときも歌おうとは思ってたんですけど、英語が得意じゃなかったんで。それで今回から全曲日本語詞になって……なんて言うんですかね、Ko-heyがきれいな歌声なので、ちょっとくらいは汚い声が入ってもいいのかなと(笑)。
GOI いやいや、そんなことないッスよ!
Ko-hey 「Ko-taさんの声、好きです」っていう人、いっぱいいるよ。ファンの人が俺に言ってくるし(笑)。
Ko-ta まあまあ(笑)。今までずっとコーラスはやってたんですけど俺、自分の声が大っ嫌いだったんです。でもディレクターさんとか周りのスタッフさんが「言うほど悪くないから」と言ってくれたのもあって、今回はちょっと歌ってみようかなと思って。やってみたら、曲によっては意外と俺の声のほうがいいのかなと思えたので、自分でもびっくりしてます。
Ko-hey Ko-taはそういうコンプレックスの部分を、実の兄だからか俺に見せないんですけど、本人が思ってる以上に俺はKo-taの声はいいと思っていて。今回も「KARMA」を作ってるときに土壇場で俺に歌えと言ってきたんですけど、絶対Ko-taに歌ってもらおうと最初から決めてたから「いや、Ko-taが歌ったほうがいいと思う。俺が歌ってもなんのよさも出ないから」ってずっと言い続けて。レコーディング中も「全然微妙じゃないし、もうちょっと練習してくればすげえいいと思うよ」と励まして、1回録り直したもんね。
Ko-ta そうだね。歌に対してはとてつもないコンプレックスがあったんですけど、エンジニアさんが俺の歌を生かした録り方してくれて。録ってる段階から「あれ? なんだ俺の声いいじゃん!」って錯覚しましたから(笑)。それがすごくデカくて、味をしめて2曲も歌っちゃったんです。
Ko-hey ミックスが終わるまでずっと「俺の歌、大丈夫ですか?」ってずっと言ってたけど、1回聴いてみたらすごくよくて。声にかかってるエフェクトについてエンジニアさんに質問したら、「ジョン・レノンと同じショートディレイだよ」って答えが返ってきて、その瞬間に「あ、最高ッスね。めっちゃカッコいいッス」とか言い出して(笑)。
一同 あははは(笑)。
Ko-ta 歴代のロックスターと同じ感じのディレイだし、そりゃカッコいいわと思って(笑)。
──でもこのアルバムの中で、Ko-taさんの歌がすごくいいアクセントになってると思いましたよ。
Ko-ta そうですね。自分で言うのもなんですけど、自分の歌が入ることで99RadioServiceの世界観がかなり変わりますからね。
収録曲
- AS ASH
- BYE×BYE
- MONKEY
- Distance
- リオトキオ
- BLACK PEANUTS
- STAR
- ORDINARY LUNCH
- TIME
- イチエタビ
- YOUTHFUL -ALBUM ver.-
- El Dorado
- Requiem
New Album 3 Release記念・
ワンマンライブ "STAND UP SHIBUYA"
- 2013年10月5日(土)東京都 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
99RadioService インストアライブ情報
- 2013年7月12日(金)宮城県 タワーレコード仙台パルコ店
- 2013年7月14日(日)神奈川県 タワーレコード横浜モアーズ店
99RadioService ライブ情報
- 2013年7月19日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 2013年9月12日(木)大阪府 心斎橋JANUS
- 2013年9月19日(木)愛知県 名古屋APOLLO THEATER
- 2013年9月27日(金)宮城県 仙台パークスクエア
99RadioService(ないんないんれでぃおさーびす)
Ko-hey(Vo, G)、Ko-ta(G, Vo)、Jigen(B)、GOI(Key)、Negi(Dr)からなるロックバンド。2007年に東京で結成され、下北沢を中心にライブ活動を展開する。起伏に富んだキャッチーなメロディと独特の存在感を持つボーカル、緻密に計算されたバンドアンサンブルが好評を博す。2011年9月にアルバム「2」でメジャーデビュー。同年11月に発売されたシングル「YOUTHFUL」はテレビアニメ「ちはやふる」のオープニングテーマに採用され、大きな反響を呼んだ。その後も「BYE×BYE」「STAR」といったシングルを発表し続け、中でも「STAR」は2013年1月からスタートのテレビアニメ「ちはやふる2」のオープイニングテーマとして話題を集めた。同年6月に2年ぶりとなるアルバム「3」をリリース。10月には東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでワンマンライブを行う。