ナタリー PowerPush - 99RadioService
2年間の成長からたどり着いた “じっくり聴ける”全曲日本語詞アルバムの魅力
99RadioServiceが2年ぶりとなるニューアルバム「3」をリリースした。前作「2」発表後、シングル「YOUTHFUL」「STAR」がテレビアニメ「ちはやふる」および「ちはやふる2」のオープニングテーマに採用されるなど、着実にステップアップを重ねてきた彼ら。今回のアルバムはこの2年間の成長が端的に表れた、聴きごたえのある1枚に仕上がっている。
全編日本語詞、Ko-ta(G, Vo)がリードボーカルを務める楽曲、さらにリズム隊のソロパートをフィーチャーした新曲「イチエタビ」など、新たな挑戦も豊富な今作はどのようにして完成したのか。メンバー5人に、バンドのプライベートスタジオ「STUDIO YAMATO」でじっくり話を聞いた。
取材・文 / 西廣智一 インタビュー撮影 / 佐藤類
「STAR」の流れから「3」の制作に入れたのはよかった
──今回のアルバム「3」を制作する上で、皆さんどういう方向の作品にしようと考えてましたか?
Ko-hey(Vo, G) 前作「2」(2011年9月発売)を録音してるときにシングル「YOUTHFUL」(2011年11月発売)の制作が始まっていたんで、「3」の準備はその頃からスタートしてたようなものですね。とはいっても「YOUTHFUL」のときはアルバムを視野に入れて作ってたわけではないですが。
Ko-ta(G, Vo) ただ、「2」から2年後にアルバムをもう1枚出そうっていうのは僕の中で決めていて。でもあえてみんなには言ってなかったんです。じゃあその2年の間に何ができるか、どんな曲を作ろうかっていうのは、なんとなく考えながらやってきました。その中で一番うれしかったのは、「STAR」(2013年3月発売のシングル)が出せたことで。自分たちの新しい方向性を打ち出すことができたし、その流れから本格的に「3」の制作に入れたのはすごくよかったと思ってます。
──新しい方向性といえば、実は先日の「3」先行試聴会(参照:99RadioService「3」先行試聴会で新曲含むミニライブ披露)で参加者から募ったアンケートで、「一番気に入った曲」に「イチエタビ」を挙げる人が多かったんですね。この曲は今までになかったタイプの曲ですが、かなり好意的に受け入れられたように感じました。
Ko-ta そこは今までと本当に大きく違うところで。今回はリズム隊が前に出たり、ギターソロが前作よりも入ってなかったり、逆にGOIちゃんのキーボードが前面に出てたり。メンバー5人のいいところがよく出たアルバムになりましたね。
GOIちゃんの一言一言に後押しされた部分が多い
──GOIさんのキーボードが前に出てきたのは、自然な流れだったんですか? それとも「もっと前に出てかなくちゃ」と思ったからですか?
GOI(Key) メンバーチェンジでバンド内がごたついてた時期があって、これはもう俺がちょっとやらないとなと思って。
Ko-ta どういう位置だったんだよ、お前は(笑)。
GOI みんなふわふわしちゃってたというか。で、この2人(Ko-hey、Ko-ta)がバンドの顔なんですけど、そんなふわふわした状態じゃ不安なんじゃないかと思って、ここは俺の出番だなと。
Ko-ta 実はメンバー5人全員が納得できるサウンドにしようというコンセプトを、GOIちゃんが作り上げまして。「これカッコよくないじゃん」「それカッコいいね」とジャッジしてくれて、GOIちゃんの一言一言に後押しされた部分が多い気がしますね。
GOI それ以前は2人に任せっきりで、自分のパートぐらいしか意見を出さなかったんです。お兄ちゃん(Ko-ta)が怖すぎて(笑)。でも今回はちょっと開き直ったというか、もっと言ってやろうと……まあこれ、今初めて言う話なんですけど。2人にも。
──そうなんですね(笑)。
Ko-ta GOIちゃんはふわっとした口調で説明するんですけど、内容は芯のあることを言ってるので、その意見を反映していくといい曲が生まれていくんですよね。最初は僕が目指してたところとは違ってたんですけど、最終的には狙ったところにたどり着いたというか。だから結果オーライっていうところです。
メンバーチェンジ後もバンド内の雰囲気は変わってない
──Negiさんは今回のレコーディングで、どういうところに注意しましたか?
Negi(Dr) リズム隊として一番大きいのはベーシストが替わったこと。相棒が替わったので、新しい相棒にとりあえず慣れるところから始めなきゃみたいな感じがありまして。で、まあ慣れつつアルバムの制作に入ったんですけど、それだけで1枚目、2枚目とは全然変わったなっていう気はするんですよね。
──やっぱり2ndアルバムから3rdアルバムまでの間にシングルを何枚か出すことで、今の5人の結束というか、新しいバンド感みたいなものを築き上げていったっていう感じもあるんでしょうか?
Ko-ta そうですね。とはいいつつ、もともと僕とJigen以外はみんな学生時代の同級生なんで、バンド内の雰囲気はあんまり変わってないんですよ。逆にJigenはみんなに合わせてる感じがあったけど、最近やっと慣れてきた感じかな。
Jigen(B) いやいや、まだ慣れてないですね(笑)。
──そうなんですか?(笑) ではそのJigenさんはどうですか?
Jigen 僕はシングル「YOUTHFUL」からレコーディングやライブに参加したんですけど、最初はみんなが自分にどう弾いてほしいかっていうことを考えながら周りに合わせてたんです。でも今回のアルバムでは自分が弾きたいものとかカッコいいと思うものとか、そういうことを意識してます。「イチエタビ」なんてまさにそんな感じですね。
収録曲
- AS ASH
- BYE×BYE
- MONKEY
- Distance
- リオトキオ
- BLACK PEANUTS
- STAR
- ORDINARY LUNCH
- TIME
- イチエタビ
- YOUTHFUL -ALBUM ver.-
- El Dorado
- Requiem
New Album 3 Release記念・
ワンマンライブ "STAND UP SHIBUYA"
- 2013年10月5日(土)東京都 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
99RadioService インストアライブ情報
- 2013年7月12日(金)宮城県 タワーレコード仙台パルコ店
- 2013年7月14日(日)神奈川県 タワーレコード横浜モアーズ店
99RadioService ライブ情報
- 2013年7月19日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
- 2013年9月12日(木)大阪府 心斎橋JANUS
- 2013年9月19日(木)愛知県 名古屋APOLLO THEATER
- 2013年9月27日(金)宮城県 仙台パークスクエア
99RadioService(ないんないんれでぃおさーびす)
Ko-hey(Vo, G)、Ko-ta(G, Vo)、Jigen(B)、GOI(Key)、Negi(Dr)からなるロックバンド。2007年に東京で結成され、下北沢を中心にライブ活動を展開する。起伏に富んだキャッチーなメロディと独特の存在感を持つボーカル、緻密に計算されたバンドアンサンブルが好評を博す。2011年9月にアルバム「2」でメジャーデビュー。同年11月に発売されたシングル「YOUTHFUL」はテレビアニメ「ちはやふる」のオープニングテーマに採用され、大きな反響を呼んだ。その後も「BYE×BYE」「STAR」といったシングルを発表し続け、中でも「STAR」は2013年1月からスタートのテレビアニメ「ちはやふる2」のオープイニングテーマとして話題を集めた。同年6月に2年ぶりとなるアルバム「3」をリリース。10月には東京・Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでワンマンライブを行う。