ナタリー PowerPush - 80_pan

ナタリー×MySpace共同企画 ついに明かされる事実!吉田豪が80_panの素顔に迫る!

でもキャッチーっちゃキャッチーかなって

——初期の音楽性はどんな感じでした?

朋美 私はそのときライブとかすごい観に行ってて。アイドルっていうよりもロックな感じだったんですよ、自分のイメージでは。なので、最初からラップ(真子)とボーカル(朋美)でいこう、みたいに決めてて。

——あ、ラップ好きだったんですか?

真子 ……はい。

——微妙な間が開きましたよ、いま(笑)。

真子 あの……好きっていうか聴いてて。

——プロフィールだと好きなアーティストはセーラームーンってことでしたよね。

朋美 いや、セーラームーンも思いようによってはヒップホップなので(笑)。

——……説明してもらいましょうか。

真子 ハハハハハ! いや、よくネットカフェとか行って漫画読むみたいな話をしてたら、「なんの漫画が好きなん?」みたいな話になって、そのときちょうど読んでたから、「『セーラームーン』とか」って言ったら、プロデューサーが「じゃあセーラームーンでいいじゃん」みたいな。

——あ、そんな流れだったんですか!

朋美 「好きなんでしょ?あれも一種のアーティストだよ」みたいなね(笑)。

——すっかり押し切られて(笑)。それは輝門さんなりのギャグだったんですかね。

真子 ギャグ混じりの(笑)。だから取材だと、ここは絶対に突かれてましたもん。

朋美 で、それを聞いたプロデューサーが「ほら! おいしいよ!」って(笑)。

——「我ながらいい掴みを考えたもんだ」って(笑)。当時はアイドルっぽさを出したほうがいいかなと考えてたんですか?

朋美 その頃はまだアイドルでいこうってほどでもなく、見計らってる感じのとこで、まだ髪の毛も茶髪とかだったんで、特にそんなにはなかったんですけどね。

——じゃあ、その後になると、たとえば『ねこにゃんダンス』(4thシングル「Doki Doki! My Sister Soul(Type☆H)」収録曲)はちょっとなあ……みたいな部分は多少はあったんですか?

朋美 ちょっとなあ……はもちろんあって(笑)。初めは「え、21歳でこれやるの?」みたいな感じだったんですけど、でも、『ねこにゃん~』の時期までいくと、もう自分たちがこのキャラだっていうのはわかってるので、開き直ったら楽しくなれるんですよ、そのキャラを演じるのが。なので、やりきろうっていう感じで。

真子 そうなんですよね。逆に恥ずかしがったらカッコ悪く見える、みたいな。

朋美 だから、それよりもっと違うわだかまり的なものはあったと思うんですよ。

——どんなわだかまりですか?

朋美 いや、たぶん3人のリーダーっていう存在で、「お姉さん的存在で頑張っていきます」ってずっと言うてたんですけど、結局、サヤティ(大空さや)は4つ下だし、真子はそういうバカっ子みたいなキャラで、私が「よしよし」みたいにしてあげる関係がずっと続くと、たぶん疲れた時期があって、1回プッツンと。

——「もう耐えられない!」って?

朋美 そうなって、本番前にめっちゃ泣いたことがあるんですよ。ほかのスタッフさんとかみんな出てもらって、泣き叫んで、もう「みんな出てってください!」みたいな感じになって。でももう本番5分前とかだったんで、なんとかそこは押さえてステージは大丈夫でしたけど。

真子 朋美自身、あんまり弱いところを見せないタイプの子やったから、1人で頑張ろうってしてたせいなんかなって。

朋美 親にもあんまり負の部分を見せないタイプですからね。で、そうなったら頼る場所っていうと、もちろんアイドルですから彼氏もいないじゃないですか。

——ここは流したほうがいいんですか?

朋美 いや、ホントに(笑)。だから頼る部分とかもないし。プライベートの真子には頼れるんですけど、そのときはそんなにプライベートってことがなくて。

真子 ゆっくり一緒に話して悩みを聞いたりするときとかもあったんですけど。

朋美 その頃はスケジュールも詰まっててゆっくりする時間もない上に、大きいライブを成功させたいってモチベーションを自分の中でめっちゃ上げてて、よけい自分で自分にプレッシャーかけたりしたみたいで。あと「こうしたい」って言ったら「それは小笠原はしちゃダメだよ」っていうのがあったり。その積み重ねで。

——やりたいことは多々あったんですね。

朋美 いまはできてる感じなんですけど。ね。話すこととかも決められてて。関西弁は汚くなっちゃうんで、標準語の練習とかしてて。難しかったですけど(笑)。

80_pan写真

——当時、朋美さんの一人称が「僕」だったのも、最初に決まってたんですか?

真子 可愛らしさや、萌えみたいなところを追求したときに、私っていうよりも名前で言ったほうが可愛いのかなって。

朋美 それで、僕っ子でいこうと思って。

真子 私の場合、いまはこういう低い声なんですけど、そのときはすごい高い声を作ってて、それが地声みたいな感じでやってたんですよ。ラップですごいギャップを作り出してたんですけど。それがどんどん普通のMCとかになると地声が出ちゃうっていうんで、またそれはちょっと違うみたいなことで怒られて……。

朋美 それで喉が潰れてね(笑)。

真子 咽喉科に行ったら「無理して声を出してるやろ!」みたいに言われて。

——ポリープできますよ、それ!

真子 「声帯いわして(壊す-京都地方の方言-)しまうから、もうやめなさい」みたいな感じやったんですけど、ついつい素が出るようになって。

朋美 その頃からロック路線になってね。

——ハレンチ☆パンチって名前を付けられて、引っ掛かりはなかったんですか?

朋美 えーって思いましたけど、でもキャッチーっちゃキャッチーかなって(笑)。

真子 「え、オレンジレンジ?」みたいな……。

——ダハハハハ! その名前が出たから聞きますけど、最初はオレンジレンジと曲も似てるとか言われたりしましたよね。

朋美 ありましたねえ……(しみじみと)。

真子 『ポップジャム』で歌ったら客席からネギとか飛んできましたからね(笑)。

朋美 あと、玉子ね。それでちょっと新聞にも書いてもらって。関西心があるから、すぐおいしいって捉えちゃうんですよ。だからなんか言われるのもおいしいと思っちゃうんですね。ウチのプロデューサーもそういう感じで。だから、もっと飛ばしてほしかった。そのときも、ネギと玉子があるから、「もっと飛んできたらお好み焼きになる」とか言って(笑)。

80_pan写真

——そういう発想だと80_pan改名後、ロンドン・コーリングってイベントのために渡英したら、ライブも出来ずに強制送還されちゃったのもおいしいですよね?

真子 いや、あれは悔しいんですよ!

——あ、そうなんですか。ボクはあれ聞いた瞬間に爆笑して、これ一生もんのネタになるな、羨ましいと思いましたもん。

真子 なりますよ、絶対! 私、このことは何十人にも言いましたもん、同じネタ。

——そうすると、だんだん、よりおもしろく話せるようになるじゃないですか。

真子 そうです、どんどん付け加えるようになって。あることないこと(笑)。

朋美 「ふつうにライブして帰って来たんじゃないというのが80_panらしいよね」とは、めっちゃ言われました(笑)。

1st Single『ドラミエレクトリック』2008年12月17日発売 / 1260円(税込) / Victor Entertainment / VICL-36481

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CD収録曲
  1. ドラミエレクトリック
    - Produced by DJ DORAMIgrooove
  2. Remix コンプレックス
    - Produced by JAZZIDA GRANDE
  3. スペースコントロール
    - Produced by FQTQ
  4. ドラミエレクトリック
    - J&B.K ver. - Produced by J&Beat Kill Knee
プロフィール

80_pan(はれぱん)

TomomiとMacoの2人によるガールズ・ユニット。2005年に3人組アイドルグループ「ハレンチ☆パンチ」として、シングル「白線~スタートライン」でデビュー。キュートなルックスと親しみやすいキャラター、パワフルな歌声で人気を獲得する。2007年にグループ名を「80★PAN!」に改名し、音楽性もロック路線へと変更。ヘヴィメタル誌に登場するなど、大々的なイメージチェンジを図った。2008年に「80_pan」へと再びユニット名を変え、ニューレイヴの要素を取り入れたエレクトロポップサウンドを展開することを発表しファンを驚かせる。移り変わりの激しい音楽シーンにおいて、つねに新しい音楽性を取り入れるなど独自のスタンスを保ちながら活躍中。