ナタリー PowerPush - ザ50回転ズ

串カツトークに花が咲く これがロックンロール新世界旅行!?

「もっとダサく!」が俺らのやる意味

──で、今回の「ロックンロール世界旅行」も強烈なコンセプトを持った作品で。ザ50回転ズは単純な愛だの恋だのや、癒しの歌なんかは歌わないという。

ダニー そんなん聴きとうもないし! でも平成生まれの子らにロック情操教育を施さなアカンなという気持ちはありますね。俺たちの“セイギ”を、あっ、性の技と書く“性技”を教えこまんとね!

インタビュー風景

──このアルバムでは世界のいろいろな音楽をモチーフにしてるやないですか。聴いた若い子らが「実際の世界の音楽、どんなんやろ?」って遡りだしたらおもろいですよね。

ダニー 実際聴き比べたら本物とは全然ちゃいますけど(笑)。ただ、情報が多く入りすぎても違うと思って、曲を作っていくにあたって、新しい資料としてレコードを買うのは止めようと決めたんですよ。なんとなくアマゾンっぽいとか、なんとなくタンゴっぽいとかで作っていこうと。だから、図書館に資料となる写真を見に行くのはOKやけど、インターネットで調べるのは禁止みたいなね(笑)。

ドリー カリブミュージックを俺らが本気でやっても仕方ないですから。

ボギー ダニーに「それは本物っぽすぎる!」と怒られた曲もあったもんな(笑)。

ダニー 「もっとダサく!」ってね。矜持というか、俺らのやる意味というか……、「世界の音楽をやったらおもろいんちゃう! でも俺らのロックンロールの中で!」っていう感じですよ。

──ザ50回転ズ独自の色が入ってなかったら意味ないですもんね。

ダニー そうですね。歌詞には意味ないですけど!(笑) バカバカしいことやってる奴がいるなと思ってもらえたらそれでいいんです。真剣にやってますから。

ドリー 俺ら的には、挑戦的な尖ったアルバムかなと。

ボギー それでいてロックンロール。

東京と同じことをやってもおもろない

──今まで食わず嫌いだった人も、まず聴いてほしいですね。

インタビュー風景

ダニー いや、食わず嫌いの人は、より手に取らないと思いますよ(笑)。でも好きなことやれたから悔いはなし! まあ、ハイセンスすぎるアルバムなんで(笑)。

──確かに特に関西のバンドはハイセンスすぎてわかりにくい、みたいなとこはあるかもですね。

ダニー 結局、関西のバンドって東京へのアンチがあるんですよ。やっぱ東京とちゃうことをやりたいんすよ。同じことをやってもおもろないと思ってるから。ほんで、自分らのセンスでいろいろやってたら「こうなっちゃった!」みたいな(笑)。

──ええように言うたらハイセンスやけど、要は臭みが強い独自の音楽ができてしまうっていうわけですね(笑)。でも、やっぱりほかにはないもんやから、絶対におもろいと思うんです。ザ50回転ズも、今から次の作品がどんなんなるか気になりますし。

ダニー 四次元ツアーをしようというコンセプトの前作「ロックンロール・マジック」があって、今回は三次元で世界旅行をしたからね。次は、二次元で架空のアニメソングとか作ってもおもろいかなと思ってます!

──次元がどんどん低くなっている(笑)。

ダニー 全部思い付きでしゃべってますけどね(笑)。でも、要は入口をいかに開けていくかやと思いますよ!

インタビュー風景

ニューアルバム「ロックンロール世界旅行」 / 2011年7月13日発売 / 1890円(税込) / Sony Music Associated Records / AICL-2260

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CD収録曲
  1. 首狩り族の逆襲
  2. ハワイはいいわ
  3. ベラルーシより愛をこめて
  4. 荒野のタンゴ
  5. KILLER
  6. ロッキン・カンフー
  7. カリブ野郎に気をつけろ!
  8. Trip! Trip!
  9. 船乗りたちのメロディ
ザ50回転ズ(ごじゅっかいてんず)

アーティスト写真

ダニー(G, Vo)、ドリー(B, Vo)、ボギー(Dr, Vo)の3名により2004年に大阪で結成。「なにわのラモーンズ」と呼ばれるパンキッシュなガレージサウンドが特徴。2006年1月にアルバム「50回転ズのギャー!!」でメジャーデビューを果たし、「FUJI ROCK FESTIVAL '06」や「SUMMER SONIC」などの大規模フェスに多数出演。世界最大の音楽見本市「SXSW」やドイツ「ASIA PACIFIC WEEKS」へ招聘されるなど海外での活動も積極的に行う。2010年、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズに移籍し、約2年ぶりとなるミニアルバム「ロックンロール・マジック」をリリース。2011年7月に「ロックンロール世界旅行」を発表した。