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BEGIN 渋谷百年総踊り
盆踊りソングで描く、第二の故郷・渋谷の過去と未来
文 / 酒匂里奈
BEGINと言えば、代表曲「島人ぬ宝」をはじめとした、三線の音が響く“島唄”のイメージがある人が多いのではないだろうか。だが、近年のBEGINは新たな、そして独自の音楽ジャンルを掲げて音を鳴らしている。それが“盆マルシャ”だ。“盆マルシャ”とはブラジルの音楽でサンバの元となったと言われている“マルシャ”と盆踊りをかけ合わせた造語。以前から「お祭りで老若男女に楽しんでいただけるようなバンドでありたい」と公言してきたBEGINの最新曲「渋谷百年総踊り」は、まさに年代問わず盛り上がれる1曲だ。
100年に一度の再開発で大きく変わり続けている東京・渋谷。この街のシンボルとなっている忠犬ハチ公は2023年に生誕100周年を迎えた。「渋谷百年総踊り」はこれにちなんで“100年”をテーマに制作された、渋谷の過去と未来を描いている楽曲。こちらも意外に思えるかもしれないが、BEGINは東京・渋谷を“第二の故郷”としている。それは2000年以降、彼らが渋谷百軒店の老舗ロック喫茶・B.Y.Gをホームの1つとして数多くのライブを行ってきたから。「渋谷百年総踊り」が今年8月に配信リリースされた際、比嘉栄昇(Vo)はこの曲について「B.Y.Gでライブをやらせていただくようになってから、渋谷に『ただいま』って帰って来る感覚に変わりました。だから、今回はふるさとの歌を作っている感覚なんです」とコメントした。
そうして完成した「渋谷百年総踊り」は、盆踊り特有の明るいサウンドながらも、かつての渋谷やハチ公へのサウダージを感じさせるようなひとさじの切なさも内包している。一聴しただけでやぐらや赤く灯る提灯、浴衣姿の人々が目に浮かぶようなイントロから、比嘉のこぶしの効いた、包み込むような歌声が響く歌唱パートへと続く。「渋谷百年総踊り」を収録したニューアルバム「ビギンの盆マルシャ」は10月2日にリリース。アルバムにはこの曲以外にも“盆マルシャ”アレンジの楽曲が収められるので、新たなBEGINのサウンドをじっくり味わってみてはいかがだろうか。
なおアルバム発売と同日の21:00にYouTubeにて、「渋谷百年総踊り」も披露された、東京・渋谷金王八幡宮での“奉納ライブ”映像がプレミア公開される。BEGINが“盆マルシャ”を鳴らし、“第二の故郷”を祭りムードに導く模様を観てみては。
BEGIN「百年総踊り」MV
BEGIN(ビギン)
比嘉栄昇(Vo)、島袋優(G)、上地等(Piano)という沖縄県石垣市出身の幼なじみ3人からなるバンド。1990年3月にシングル「恋しくて」でプロデビュー。代表曲は「声のおまもりください」「涙そうそう」「島人ぬ宝」「オジー自慢のオリオンビール」など。2024年9月28日には神奈川・茅ヶ崎市民文化会館で単独公演「BEGIN Specialコンサートin茅ヶ崎」を行う。同年10月2日にはニューアルバム「ビギンの盆マルシャ」をリリース。デビュー 35 周年を迎える2025年3月には、東京・日本武道館、大阪・大阪城ホール公演が控えている。