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あたらよ「ツキノフネ」ジャケ写

あたらよ ツキノフネ

“邦ロックバンド”としてのポテンシャル示す、あたらよ史上最もアグレッシブなナンバー

文 / 柴那典

あたらよのサウンドの力点は実はベースにあると思っている。

歌の後ろでしっかりとリズムと低音を支えながら、要所要所でハイフレットに駆け上がる。隙あらばグイグイと主張の強いフレーズを挟んでくる。いわばL'Arc-en-CielのtetsuyaやUNISON SQUARE GARDENの田淵智也の系譜に連なるタイプのベースライン。これまでも「『僕は...』」や「少年、風薫る」などでその片鱗を見せていたが、「ツキノフネ」はイントロからたけお(B)の力強いベースが印象的。あたらよのこれまでのキャリアで最もアグレッシブなナンバーだ。

新曲はテレビアニメ「暗殺教室」再放送 新エンディングテーマとして書き下ろされた1曲。疾走感あふれるリズムに爽快なギターサウンドとピアノが絡み合う、王道のバンドサウンドとなっている。サビの前でストップ&ゴーのダイナミズムを作るアレンジには、まーしー(G)がルーツに挙げているELLEGARDENの影響も感じる。

「10月無口な君を忘れる」を契機に、ひとみ(Vo, G)の情感あふれる歌声と切なさに満ちた楽曲の世界観が共感を集めてきたあたらよ。「ツキノフネ」でこれまでの路線を踏襲することなくエネルギッシュな方向性を選んだことには、アニメタイアップをきっかけに自分たちを知るリスナーも増えるだろうこのタイミングで“邦ロックバンドとしてのあたらよ”のポテンシャルを示す意気が込められているのだろう。昨年には台北、広州、上海、杭州を回る初のアジアツアーも実現するなど国内外に人気を広げている3人にとって、この曲は新たなチャンスをつかむきっかけになるはずだ。

あたらよ - ツキノフネ(Music Video)

あたらよ「ツキノフネ」
2025年4月9日(水)配信開始 / A.S.A.B
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作詞・作曲:ひとみ
編曲:まーしー、Soma Genda、Yusuke Koshiro

あたらよ

あたらよ

ひとみ(Vo, G)、まーしー(G)、たけお(B)からなるバンド。“悲しみをたべて育つバンド”をキャッチコピーに掲げる。グループ名は“明けるのが惜しいほど美しい夜“という意味の可惜夜に由来。2020年11月、YouTubeに楽曲を投稿し活動をスタートさせた。初のオリジナル曲「10月無口な君を忘れる」はリスナーの共感を呼び、YouTubeでの再生回数が6000万回を突破した。2024年3月に初のアジアツアー「Atarayo First Asia Tour 2024」を行い、全6公演のチケットがソールドアウト。アジア圏でも活躍の幅を広げている。