とにかく優しい人と、愛を知りたい教師。
同時期に対極な役をできてよかった(山田)
──山田さんは同時期に「ホームルーム」でも主演されましたが、そちらでは教師役の山田さんが高校生たちに囲まれていました。居心地や、共演者との接し方に違いはありましたか?
山田 共演者の世代についてはそんなに意識していませんでした。でも役柄が大きく変わるので、自然とその役のように行動している部分はありますね。悟だったら誰に対してもいい人。とにかく優しくてみんなとの絆を大事にする。だから現場でもそう振る舞っていたのかも。「ホームルーム」では幸子という1人の生徒のことが好きすぎて、なんならほかの生徒は見ていない。いつも幸子役の(秋田)汐梨ちゃんとごはん食べていたなとか、思い返すとそんな感じでした。
──なるほど。「SEDAI WARS」の現場でムードメーカー的存在だったのも、主演だからということではなく、悟の性格としてのものだったと。
山田 はい。あと、この作品に教わったのは「仲間って世代とか年齢とか関係なくない?」ということ。上下関係なく人と人がつながることは大事だと、悟を通して伝えたかった。僕も改めてメッセージを実感できたし、だからこの役が僕に来たのかなとも思いました。「ホームルーム」では“人と人”がどうあるべきかわからない、でも愛を知りたい教師で。近い時期に対極な役を演じられたのは役者としてよかったです。
坂本 振り幅広いなあと思いながら「ホームルーム」も観ていたよ。
山田 本当ですか? ありがとうございます!
僕は絶対ゆとってない!(山田)
──坂本監督はアメリカ生活を長く送られていますが、世代に対する捉え方で日本と違うなと感じることはありましたか?
坂本 アメリカは、日本ほど世代ごとの流行が明確にないんですよ。カリフォルニアではみんな1年中Tシャツにジーパンで。多少の流行り廃りはあっても、急激には移り変わらない印象です。長いアメリカ生活を経て、2009年に日本へ帰国したときにギャップを感じて、日本の流行の移り変わりを新鮮な気持ちで体験できたんです。それがこのドラマに生かせたんじゃないかな。
──山田さんは「欲がない」とされるさとり世代、またはゆとり世代とも言われる1990年生まれですよね。かと言って山田さんに“ゆとり”のような意識があるとは思えませんが……。
山田 僕、家がすごく厳しくて。ゆとらせてもらえなかったんです。18歳から一人暮らしを始めて、俳優になるために芝居の学校に行って、親に頼らずバイトもして。これってゆとり世代ですか?って話ですよ。僕は絶対ゆとってない!と思います。僕の中では、ゆとり世代って土曜日の授業がなくなった、ただそれだけのイメージ。でも勉強ができないことも恥ずかしいと思わないし、勉強より大事なものがこの世の中にはいっぱいあるんです。上下関係とかもあまり好きではないし……僕のスタンス、今の社会にまったく合ってないですね。
坂本 ははは!
山田 でも、目上の人と話すことへの緊張はありました。ずっと野球をやっていたので。だから上下関係が嫌になったんですけど。坂本監督は最初に会ったときから、そういう部分がまったくないんです。僕みたいな歳下にも対等に接してくれました。
坂本 僕も同じだよ。体育会系の中で上下関係のつらさを感じていたけど、アメリカに行ったらみんな対等な関係で楽しく作業できたから。
とにかく一気に観てもらいたい(坂本)
──デビュー作で最初に坂本監督に出会えたことは、山田さんにとって大きかったんですね。
山田 はい。しかも坂本監督の作品は、やっぱりアクションをするのが楽しい。下手くそでもかっこよく撮ってくださるので。いまだに「ゴーカイジャー」観返しますもん。特に11話と12話は!
──山田さんが演じたジョー・ギブケン / ゴーカイブルーのメイン回ですね。近年の山田さんのアクションと言えば「あゝ、荒野」や「HiGH&LOW」シリーズなど拳で戦うイメージが強いです。今回はCGありきのアクションということで、また違った難しさがありそうですが。
坂本 強い役じゃなくて、やられ役をどう見せるか。避ける、逃げる、転ぶ、実はそっちのほうが演技が難しいんです。でも山田くんには信頼があったし、実際とても柔軟にこなしてくれました。ぎこちなさや、強すぎるように見えちゃうこともなかった。それって本当に難しいんですよ。僕が見本でやろうとしてもジャッキー・チェンみたいになっちゃうし(笑)。
山田 いや、本当にすごかったですよ。人ってそんなに飛べる!?ってくらいジャンプしてましたもん。(立ち上がり腕を伸ばして)こんなに飛ぶんですよ!
坂本 そこまでは飛べないよ!(笑)
──(笑)。今後もお二人には定期的に組んでほしいとファンは願っていると思いますが、5回目のタッグがあるとしたらどんな作品をやってみたいですか?
山田 僕は「ワンパンマン」を一緒にやりたいと言っているんです、ずっと。でも海外で実写化するらしくて。
坂本 時代劇はどう?
山田 あ、いいですね。忍者やりたいです!
坂本 和装が似合いそうだよね。忍者でも侍でも浪人でも、なんでも似合うと思う。去年「BLACKFOX: Age of the Ninja」という時代劇を撮ったんだけど本当に楽しかったし、さらに可能性を広げられると思った。だから刀を使ったアクション、正統派な時代劇を山田くんとやってみたい。
山田 ワンカット100人斬りとかしてみたいです!
──お二人の時代劇、実現することを祈ってます。最後に「SEDAI WARS」がソフト化するにあたって、改めて注目してほしいシーンを教えていただけますか?
坂本 どのシーンがというより、一気に観てもらいたい。それに尽きます。1話ずつより、全7話通して観たほうが勢いもあって楽しめる作品なので。
山田 毎週1話ずつしか観られない放送だと、「なんだこれ」って途中でやめちゃう危険性もありましたもんね(笑)。そこから本領発揮するドラマですよ!
坂本 ははは! だから一気に観てもらわないとね。全部通してもちょっと長めの映画ぐらいなので。
山田 何より皆さんのお手元に置いてもらえることがうれしいです。あえて「改めて注目して」と言うなら、全話通して一気に観て、世代を超えた絆やメッセージを“改めて”受け取ってほしいです。