恋愛デスマッチ「国宝級彼氏オーディション」レビュー

左から佐藤江梨子演じる審査委員長、八木勇征演じる園宮蓮。

俳優たちは、自身の実力で“国宝級彼氏”を目指す

“国宝級彼氏”とは、一体どのような人なのだろう？ ロマンチックな言葉をかけてくれる人？ とにかく優しくて尽くしてくれる人？ そんな疑問を解き明かすべく立ち上がった番組が、この恋愛デスマッチ「国宝級彼氏オーディション」だ。参加者が「国宝級彼氏たるもの、一生忘れられない人生イチの告白をせよ」「国宝級彼氏たるもの、彼氏にしたいと思わせる、最高の出会いをせよ」といったお題に応え、“国宝級彼氏”の称号を目指す。候補は「完璧男子」と称されるタレントの園宮蓮、人気バンドのボーカル・芝田かえで、歌舞伎町ホストの天王寺綾兎、お笑い芸人・未読蒸しパンの田中俊吾という、職種も見た目もキャラクターも異なる4人。それぞれが自身の特性を生かして、審査員をキュンキュンさせる。

さらには、そのオーディションのVTRを見て、彼らの動向を見守ったり、時にツッコんだりするスタジオパートも。スタジオメンバーは森田哲矢（さらば青春の光）、M!LKの塩﨑太智と曽野舜太、中田花奈、むくえなのむくとえなぴ。彼らはオーディションの予想を話し合うのはもちろん、自身の恋愛観や過去の恋愛エピソードも赤裸々に明かす。

……と、ここまではいわゆる恋愛リアリティショー。しかし、この「国宝級彼氏オーディション」、実は日本テレビ系で放送されているZドラマ「沼る。港区女子高生」の番組内で登場する配信番組。「国宝級彼氏オーディション」もドラマなのだ。

しかしドラマでありながら、劇中の芝居は実際ほぼ即興で作られているそう。俳優たちは、役を演じながら、お題のエチュードに挑んでいる。そんな難題に挑む4人の“国宝級彼氏”候補の1人、園宮蓮に扮するのは八木勇征。FANTASTICS from EXILE TRIBEのボーカリストとして音楽活動を行う一方、ドラマ「美しい彼」での演技が話題を集め、その後も出演作が続く。昨年夏放送のZドラマ「ばかやろうのキス」「やり直したいファーストキス」で演じた園宮蓮が大きな反響を呼び、今回再び同役で参加することとなった。自身のポテンシャルも生かし、美しいルックスを持ちながらも気弱な蓮を熱演している。なお蓮は「沼る。港区女子高生」にもキーマンとして登場するので、“園宮蓮推し”はあわせてチェックを。芝田かえでを演じるのは、八木と共にボーカリストとしてFANTASTICS from EXILE TRIBEを支える中島颯太。テレビ朝日系「あざとくて何が悪いの？」の連続ドラマ企画「あざと連ドラ『君があざとくて何が悪いの？～僕らの恋日記～』」では好青年を演じ、視聴者からの評判を得たことも記憶に新しい。八木に比べると演技経験の少ない中島だが、持ち前の愛くるしさも生かし、爽やかで優しいかえでを好演している。

天王寺綾兎役は、ミュージカル「刀剣乱舞」や映画「HiGH&LOW THE WORST」などに出演する、4人の中でもっとも演技キャリアのある佐藤流司。企画・プロデュースを手掛けた鈴木努いわく「いつか絶対にホスト役をやってもらいたかった」という理由から配役が決まったそうだが、佐藤の突飛な発想力から生み出される天王寺は、その期待を易々と超える。田中俊吾役は、東京ホテイソンのたける。たけるの持つ瞬発力と親しみやすさは、そのまま田中俊吾として出力され、スタジオメンバーや視聴者を虜にしている。俳優4人が、演じるキャラクターを意識しながらも、自身の実力で“国宝級彼氏”を目指す姿は、この番組の一番の見どころだろう。

さらに、スタジオパートに関しては完全に台本がないそう。VTRを見ながら実際に彼らが思っていることを言い合っているだけだというから、実在のモキュメンタリー番組として十分に楽しむことができる。「国宝級彼氏オーディション」は「沼る。港区女子高生」とクロスオーバーしているが、どちらかだけでも楽しめるのも新感覚。モキュメンタリー番組として楽しむも良し、俳優陣の演技を楽しむも良し、「沼る。港区女子高生」のスピンオフドラマとして園宮蓮の活躍を楽しむも良しと、幾通りもの楽しみ方ができるのが面白い。

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