「風起花抄(ふうきかしょう)~宮廷に咲く琉璃色の恋~」特集 | グーリー・ナーザー×ティミー・シュー共演で贈る宮廷ラブ史劇の魅力を大解剖

「陳情令」の監督チャン・カーラムらが手がけた宮廷ラブ史劇「風起花抄(ふうきかしょう)~宮廷に咲く琉璃色の恋~」のDVD-SET1&レンタルVol. 1~5が8月3日にリリース。武則天の生きた唐の時代を舞台とした本作では、服作りの才能を持つ女性が宮廷の陰謀に立ち向かいながら運命の男性と恋に落ちていく様子が描かれる。グーリー・ナーザーが亡き母親の汚名をそそぐべく奮闘するヒロインの琉璃(るり)、ティミー・シューが彼女を守り支える裴行倹(はいこうけん)を演じ、CSM全国視聴率や酷雲リアルタイム視聴率で20日間1位を獲得したほか、数々のランキングでトップに輝いた。

映画ナタリーではDVDのリリースを記念し、本作が視聴者の心をつかむ3つのポイントを紹介。さらに中国四川出身のYouTuberヤンチャン(楊小溪)とライター・沢井メグの対談をセッティングし、作品の魅力を語り合ってもらった。そのほか日中時代劇の違いは? 吹替と本人の声はどっちがいい?といった疑問もぶつけている。

文(コラム) / 沢井メグ取材・文 / 金子恭未子

「風起花抄(ふうきかしょう)~宮廷に咲く琉璃色の恋~」ストーリー

かつて刺繍と服作りの匠として宮廷で活躍した安四娘(あんしじょう)は、昔の弟子に謀られ自ら命を絶つ。その娘・琉璃(るり)は、不禄院の孫徳成(そんとくせい)に託され豆子(とうし)と名を変え、女であることも隠して宮中で育ち、疫病防止の消毒をする医官となる。服作りの天賦の才を受け継ぎ成長した彼女だったが、その才能が災いを呼び宮廷を去ることに。その道中、裴行倹(はいこうけん)という男性に助けられた琉璃は、母の死の真相を明らかにすることを決める。

「陳情令」の監督チャン・カーラムが贈る宮廷ドラマティックラブ史劇
視聴者の心をつかむ3つのポイント

生き生きと描き出される武則天の生きた豪華絢爛な唐の時代

「風起花抄(ふうきかしょう)~宮廷に咲く琉璃色の恋~」の舞台は唐の名君・李世民の治世。シルクロード交易を背景に国際的で豪華絢爛な文化が花開いた時代である。

そんな唐文化を「風起花抄」では実に見事に描き切った。衣装、メイクから礼儀作法、街ゆく人々の風貌に至るまでを丁寧に研究し、かつエンタメとして効果的に打ち出すことで、私たちが思い描く「唐の姿」を生き生きと描き出している。

特にメインテーマである刺繍の美しさは別格。チャン・カーラム監督は細部まで妥協しないことで知られるが、「風起花抄」でもその持ち味が遺憾なく発揮された。中国メディアも本作が伝える唐代のファッションを「テレビドラマ史上最高の出来」と絶賛している。

左からグーリー・ナーザー演じる琉璃、ティミー・シュー演じる裴行倹。

左からグーリー・ナーザー演じる琉璃、ティミー・シュー演じる裴行倹。

初々しいカップルが贈る明るく華やかなラブ史劇

そんなきらびやかな画面で活躍する主役カップルも見逃せない。グーリー・ナーザー演じるヒロインの琉璃とティミー・シュー扮する裴行倹は、2人とも強い信念と高い志を持つが、それゆえ恋には疎い。本作では“カップル”と呼べないほどの初々しい時期から、結ばれるまでの過程が描かれた。イノセントな2人の恋は見ているだけで癒やしと華やかな胸の高鳴りを与えてくれるだろう。

またサブキャストも魅力的だ。裴行倹と志を共にする皇太子・李治(りち)、そして機智に富み何度も琉璃を救う武媚娘(ぶびじょう)である。のちの武則天となる武媚娘はファン・ビンビン主演の「武則天-The Empress-」などで何度もその生涯がドラマ化されているが、本作では1人の女性としての思いと后妃としてあるべき姿との間での葛藤が秘めやかに描かれた。それぞれの思いはやがて交錯し……主役カップルを含めた4人の恋模様にも注目したい。

左からティミー・シュー演じる裴行倹、グーリー・ナーザー演じる琉璃。

左からティミー・シュー演じる裴行倹、グーリー・ナーザー演じる琉璃。

女神級美女&最旬イケメンが豪華共演!

ヒロインの琉璃を演じたグーリー・ナーザーは、デビュー前から「美しすぎる受験生」と中国でニュースになったほどの美貌の持ち主だ。常人離れの透明感は女神と呼ぶにふさわしいが、一方でその笑顔はとても人懐っこい。まさに強さと純粋さを持つ琉璃のイメージにぴったりだ。また、幼い頃からダンスで鍛えたしなやかな所作も注目。劇中ではシルクロードの西域を思わせるエキゾチックなダンスを披露し視聴者の旅情をかき立てた。

そして時代劇初挑戦で新たな魅力を開花させたのが、もう1人の主役・裴行倹を演じるティミー・シューである。ティミーは実在の人物を演じるプレッシャーを見事に跳ね除け、1人の人物の中で文武両道、若くして人格者という隙なしパーフェクトマンと、愛する女性の前でのみ見せる色気ある姿を演じ分けた。中国でもそのギャップが視聴者の心をつかんでいる。本作では現代劇では見たことがないティミーの姿を堪能できるはずだ。

グーリー・ナーザー演じる琉璃。

グーリー・ナーザー演じる琉璃。

ティミー・シュー演じる裴行倹。

ティミー・シュー演じる裴行倹。

YouTuber・ヤンチャン×ライター・沢井メグが
「風起花抄」の魅力を大解剖

左からYouTubeチャンネル・ヤンチャンCHなどで知られるヤンチャン(楊小溪)、ライターの沢井メグ。

左からYouTubeチャンネル・ヤンチャンCHなどで知られるヤンチャン(楊小溪)、ライターの沢井メグ。

とにかく目の保養になるドラマ(ヤンチャン)

──今、中国時代劇の人気がじわじわと上がってきていますが、ヤンチャンさんは日本に住んでいてそれを実感することはありますか?

ヤンチャン もちろん実感していますね。留学のため、2011年に来日したときには周りに中国ドラマを観ている人は誰もいなかったんです。でも、2020年あたりから急にYouTubeのコメント欄に「『瓔珞』が面白い!」「『陳情令』が大好き!」というようなコメントがたくさん来るようになって。皆さん、私より中国ドラマに詳しいなって思うぐらいで(笑)。

一同 (笑)

ヤンチャン あとは去年、佐賀県の自動車学校に免許を取りに行ったんですけど、女性の教員さんが、私が中国人だと知ったら「『陳情令』が大好きなんです! シャオ・ジャンがもうかっこよくて……」と熱く語りかけてきて。まさかこんなところで中国ドラマ好きに出会うなんて!って(笑)。

──中国の方は世界的に中国ドラマの人気が高まっているというのはご存知なんですか?

ヤンチャン 中国国内に住んでいる人にはあまり知られてないかもしれないですね。中国の友達に「中国ドラマが人気だよ」と言うと、「え!? そうなのー!」ってびっくりされます。

──今回は、今お話にも出た「陳情令」の監督チャン・カーラムらが手がけた注目の宮廷ラブ史劇「風起花抄~宮廷に咲く琉璃色の恋~」をお二人に観ていただきました。「擇天記(たくてんき)~宿命の美少年~」のグーリー・ナーザーと「ハイロイン~上瘾~」のティミー・シューが、実在の人物をモデルとした庫狄琉璃(こてきるり)と裴行倹(はいこうけん)を演じています。

ヤンチャン とにかく目の保養になるドラマでしたね(笑)。

沢井メグ まさにそうですよね(笑)。

グーリー・ナーザー演じる琉璃。

グーリー・ナーザー演じる琉璃。

ヤンチャン 出ている俳優さんは美男美女ばかりで、服装やセットもクオリティが高い。めちゃくちゃ早いテンポでないというのもよかったです。展開が目まぐるしいと、ずっとそっちに集中しなきゃいけないけど、中国語がわかる方ならちょっとした家事をしながら楽しんだりもできるタイプの作品。そういうドラマも大事だなって思います。

沢井 ゆったりしすぎず、速すぎず、でも観ると止まらない。いいテンポの作品ですよね。陰謀渦巻く宮廷が舞台ですが、琉璃と彼女を見守る裴行倹との恋愛が明るく描かれるので、ドロドロ暗くなりすぎない、いいバランスの作品。琉璃や仲間が罠にはめられたり、それをはめ返したり、裏から手を回して、絶体絶命のピンチを巧みにかわしていく様子は観ていて「半沢直樹」のようなスカッと感も味わえます。そしてとにかく唐の時代の描かれ方が素晴らしい!

ヤンチャン そうそう!

沢井 舞台となっている李世民の時代は、アイメイクはほとんどせず、眉毛に力を入れて、リップは真ん中にちょこんと描くメイクが流行っていたようなんです。さすがに琉璃や敵役の卓錦娘(たくきんじょう)といったメインキャラクターはアイメイクばっちりなんですが(笑)、ちょっと登場する女性たちのメイクは当時の流行をばっちり再現していて、唐の時代の雰囲気をしっかり出している。

それから特に感動したのがエキストラの人たち! 唐はシルクロード交易を背景に栄えた時代ですが、「風起花抄」の街のシーンを観てみると東洋系の顔立ちの人だけじゃなくて、中央アジア系、アフリカ系の顔立ちの方がけっこうたくさん歩いているんです。国際色豊かな唐の時代ってきっとこうだったはずという街の姿が見事に再現されている。

ヤンチャン もう、言いたいことは、全部沢井さんが言ってくれました!(笑)

一同 あはははは。

ヤンチャン 髪型もしっかり唐の時代を再現していますよね。古代の絵に描かれていたその通り。物語序盤で幼少の琉璃がお母さんの書いた手紙を読むシーンがありますが、あれも唐の時代ならではの描写なんです。中国では古代の女性が教育を受けているというのはすごく珍しいことなんですが、唐の時代だけは教育を受ける女性が多かったんです。

沢井 文化の厚みを映像で感じられるのがこの作品の魅力の1つですよね。そりゃ日本も遣唐使を派遣するわ!と。琉璃が服作りの天才ということもあって、劇中に登場する衣装や刺繍もとっても美しくて、妥協がないです。