アニメ「ULTRAMAN」特集|Netflixプロデューサーに直撃取材!世界中で大ヒットした6つの理由

2019年、Netflixのアニメでもっとも国内視聴数が多かった3DCGアニメーション「ULTRAMAN」。ついに同作が4月12日より地上波で放送される。

Netflixオリジナルアニメとして全世界190カ国以上へ配信され、国内のみならず海外でも大盛況。異例のスピードでシーズン2の製作も決定した。そんな「ULTRAMAN」はなぜ海外でもヒットしたのか? 元Production I.G所属で、現在はNetflixアニメチーフプロデューサーの櫻井大樹に、あらゆる角度から分析してもらった。

取材・文 / 金須晶子

2019年、世界中で「ULTRAMAN」フィーバー が巻き起こった!

Netflixの国内アニメランキング1位

2019年12月30日にNetflixが発表した「日本国内でもっとも観られたアニメトップ10」において「新世紀エヴァンゲリオン」「ワンパンマン」「ケンガンアシュラ」といった人気作を押さえて堂々の1位に。さらに「もっとも観られたシリーズトップ10」では3位、「もっとも観られた作品トップ10」でも6位と、Netflix全配信作品の中でも好成績を残した。

アジアだけじゃない、欧米でも熱狂!

“アニメ界のアカデミー賞”と称されるほど権威あるアニー賞では、共同監督を務めた神山健治と荒牧伸志がテレビ・メディア部門の監督賞にノミネートされた。またフランスで行われたアヌシー国際アニメーション映画祭には神山・荒牧両監督が参加。ここでシーズン2製作がサプライズ発表され、瞬く間に速報が全世界へ発信された。また台湾漫画博覧会では声優の木村良平と江口拓也がゲストとして登壇し、決めゼリフ披露などで会場を大いに沸かせた。

Netflixプロデューサーから見た「ULTRAMAN」のヒットとは?

「ULTRAMAN」はNetflixオリジナルアニメシリーズとして、2019年4月1日に全世界190カ国以上で独占配信された。Netflixアニメチーフプロデューサーとして本作を導いてきた櫻井大樹は、もともとは本名の「櫻井圭記」としてProduction I.Gに所属。「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズの脚本家や「ひるね姫 ~知らないワタシの物語~」プロデューサーなどを務め、神山健治と長く仕事をしてきた。制作サイドと配信サイド、どちらもよく知る彼は「ULTRAMAN」ヒットの要因をどう考える?

Netflixアニメチーフプロデューサーの櫻井大樹。

心理的ハードルの低さ

──SNSでも「ULTRAMAN」の感想を熱心に投稿する海外ファンを目にしましたが、視聴数が特に多い地域はどのあたりでしたか?

もちろん日本国内のメンバーからの視聴が一番多かったのですが、アジア全体でも強かったし、ヨーロッパ、北米、南米でも同様で。どの地域でも成功した作品と言えます。「ウルトラマン」の強いコンテンツ力とクリエイターの力が掛け算になり、作品として大きくなっていったケースだと思います。

「ULTRAMAN」

──アジアでは以前から「ウルトラマン」は人気でしたが、それ以外の地域ではどうだったのでしょう。

欧米は未知数でしたね。特撮の文化がそこまで根付いていないし、予想が付きませんでした。でも結果として非常に多くの人に観てもらえて。また世界中にいる、アニメに親しみのない層にも届いたという実感があります。なぜならNetflixは月額を支払えば、追加料金なしで全作品を視聴できるので「興味なかったけど観てみようかな」と思う人が多いんです。それをきっかけに、今回のように爆発的に視聴数が伸びるケースがあり、この作品からもそのような広がりがあったように感じます。

監督のファンサービス精神

──配信開始と同時に“イッキ観”できるところもNetflixの魅力ですよね。

そうですね。アニメに限った話じゃないですが、作り手は視聴者がすぐそっぽを向いてしまわないか敏感なんです。どれだけ各話で“つかみ”を作れるか相当意識しています。神山監督と荒牧監督もそういうタイプ。神山監督は僕がIGにいた頃から、全体のストーリーテリングだけじゃなく、1話の中にどれだけのフックをまぶせるか考え込んでいました。

「ULTRAMAN」

──だから「もう1話、もう1話」と視聴を止められなくなるんですね。

2人とも作家性が高いけど、視聴者目線でも考えられる。極端に言えば、どうすればお客さんにウケるかを考えるんです。お笑い芸人が「5秒に1回笑いが欲しい!」とネタを詰め込むみたいに(笑)。でもその中で「この“笑い”は俺の“笑い”」という独自の作家性もちゃんとある。「ULTRAMAN」では、その絶妙なバランスが功を奏したんだと思います。

──「特撮文化が根付いてない」といったハードルがあっても、エンタメ的な“つかみ”は万国共通という。

それに作り手って、最初に衝撃を受けたメディアやコンテンツに憧れて、憑依していく部分があると思うんです。神山監督は「スター・ウォーズ」が大好きで。きっと洋画の影響が反映されているんでしょうね。荒牧監督も洋画っぽい。そのあたりも海外で受けた理由かもしれません。

光の速さでシーズン2が決定!

取材を実施したNetflix日本オフィスの「ULTRAMAN」ルーム。
「ULTRAMAN」シーズン2ビジュアル

──シーズン2が決まるのも通常よりだいぶ速かったと聞きました。

通常だと、Netflixのオリジナル作品の次シーズンを検討する際には3カ月ほどかかりますが、「ULTRAMAN」は2週間で決めました。配信後1カ月でどれだけ作品が観られるかがシーズンを継続する大きな指標になるので、本当に速いです。

──1カ月を待たずとも手応えがあったということですか?

数字的な手応えと話題性などの感覚値を頼りに、ヒット作を次のシーズンにつなげることはよくあります。初速がいいとこんなに早く次が決まるんだなと。続編があることは成功のバロメーターになりますし、発表が早いとシーズン1がさらに勢いづくので視聴数もぐんと伸び続けます。早いうちに決められたのは、作品にとっても我々にとっても大変よかったです。

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ヒット最大の要因は!?