本心を表に出さないのが獠の色っぽさ(鈴木)
──鈴木さん、森田さんは、お互いの印象的なシーンはありますか?
鈴木 獠が初めて香を見るシーンですかね。そのときの香の表情は印象に残っています。原作にはないシーンですが、一瞬獠が香に見とれるという表情を入れているんです。槇村の妹じゃなかったら、槇村が死ななかったら、獠は香を普通に口説いていたかもしれない、最初から女性として見ているという関係をどうしても入れたかったので。観ている方がどう解釈してもいいんですが、そこは僕のわがままで入れさせてもらいました。そういう気持ちで見ていたので、あの香の表情は自分の記憶に残っていますね。
森田 私は、全部と言えば全部なんですが、やっぱりクライマックスで黒幕に対して怒りをあらわにする獠さんのセリフが印象に残っています。香からすると、それまでは獠さんって何を考えているのかわからない、本当に信じていいのか、いい人なのかどうかもわからない。でも、この場面で初めて本心が見える、魂を感じることができる。すごくかっこいいなと思ったシーンです。
──獠は基本的に感情の揺れを表に出さないですよね。
鈴木 それが色っぽいんです。だけど、ちゃんと考えているし、いろんなことにも気付いている。それが伝わるようにとは思っていました。例えば、槇村が死ぬときも感情的にならない。パッとけがの状態を見て「ダメだ」とわかったら、「だったらしっかりとこいつを送り出してやろう」というふうにスッと切り替える。でも心の底では怒りに震えている。“どコメディ”なのにそういうハードボイルドな部分が「CH」の魅力だと思います。
太陽のような香のいろんな一面を見られる作品(森田)
──皆さん獠、香を演じていますが、演じるうえで意識することはありますか?
神谷 獠ちゃんはシリアスとギャグの振れ幅が本当に大きいですからね。同じ人物だと思えないくらいですが、シリアスなところでは思いきりシリアスに、ギャグのときはギャップを楽しむくらいの気持ちで「もっこりー!」と言っています。もちろん心の裏側に流れているものは意識しますが、あとは観ている人にお任せしようと思って演じていますね。
鈴木 心の裏側は大事ですよね。僕も今回の作品では、槇村の死への怒りと香への責任感というのは常に意識していました。それはほとんど表には出さないし、出さないほうがいい。だけど、笑ってしゃべっている場面でも「もし槇村をやったのがお前ならこの場で殺すからな」という思いは常に持って演じていました。そうすれば獠の持つ緊張感が伝わるかなって。
伊倉 香は逆で、とにかくまっすぐでバタバタしちゃうキャラクターなので。まず体が動いちゃうというのを意識しています。歳を取ってくると若い頃のような跳ねる気分が自然には出てこなかったりする。だから、この間の劇場版(2023年公開作「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」)のときも、「若くて正義感があって猪突猛進!」という部分は忘れないようにしました。
森田 香ちゃんはすごくパワフルで周りの人を明るくする太陽のような人だと思っています。そのうえで、本当にアツアツの灼熱の太陽のようなときもあれば、雨が降ってどんよりしているときもある。そういういろんな側面があるという部分は大切にしました。
ぜひ亮平くんの芸術的な肉体を楽しんで(神谷)、全部が見どころの作品(伊倉)
──最後に、ぜひここを観てほしい、注目してほしいという場面を教えてください。
鈴木 今回、ガラス越しのシーンがあるんです。原作の名シーンのオマージュなんですが、今回は原作のエピソードとは真逆で、香が怒り狂っているんですね。その場面の香ちゃんが本当に素晴らしいのでぜひ見てほしいです。
森田 ありがとうございます、照れちゃう……(笑)。私はラストシーンがうれしかったです。今回原作やアニメに触れて大好きになって、あの世界に入ったという感動がありました。事件が解決したあと、「CH」のあの世界が始まっていくんだなというのを感じてもらえたらいいなと思っています。
神谷 僕はもうなんと言っても、もっこりダンスです! ここで来たか!って(笑)。
伊倉 そうそう、すごくシリアスな場面からいきなり来るから(笑)。
神谷 (2019年公開の)「劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>」でも同じようなシーンがあるんですよね。
鈴木 まさにあそこから着想しました。
神谷 獠ちゃんと言えばこれ!という感じで楽しかったです。何も考えずに楽しめる。「CH」はそういうところがあっていい作品なので。ぜひ亮平くんの芸術的な肉体を楽しんでほしいです。
伊倉 そう、きれいな体だから画として美しいんですよね。いやらしさが微塵もなくて、バカバカしくてかっこいい。
鈴木 もっこりショーは楽しんでほしいです。「本当に見えてないかな?」「一時停止したら見えるんじゃないか?」って(笑)。
伊倉 Netflixでよかったですよ。何度も観られるし、止めても観られる。ここだけじゃなくて、本当に全部が見どころという感じで繰り返し観たくなる、楽しいところがいっぱいある作品だと思います。
プロフィール
鈴木亮平(スズキリョウヘイ)
1983年3月29日生まれ、兵庫県出身。2006年に俳優デビューし、2007年公開の「椿三十郎」で映画初出演を果たす。2014年に連続テレビ小説「花子とアン」に出演して一躍脚光を浴び、2018年には大河ドラマ「西郷どん」で主演を務めた。そのほか出演映画に「HK 変態仮面」「俺物語!!」「孤狼の血 LEVEL2」「エゴイスト」、ドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」「下剋上球児」などがある。TBS系「世界遺産」では9代目のナレーターを務めている。
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衣裳協力
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<問い合わせ先>03-5276-8300
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森田望智(モリタミサト)
1996年9月13日生まれ、神奈川県出身。2019年に社会現象を巻き起こしたNetflixシリーズ「全裸監督」で黒木香を演じ、大きな注目を集めた。2020年には「あの子が生まれる…」でドラマ初主演を果たし、2021年には続投した「全裸監督」のシーズン2が全世界で配信。そのほか主な出演作は連続テレビ小説「おかえりモネ」、ドラマ「妻、小学生になる。」、映画「さがす」など。2024年度前期の連続テレビ小説「虎に翼」に出演中。
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ヘアメイク / 尾曲いずみ
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神谷明(カミヤアキラ)
1946年9月18日生まれ、神奈川県出身。テレビアニメ「バビル2世」のバビル2世、「キン肉マン」のキン肉マン、「北斗の拳」のケンシロウ、「シティーハンター」の冴羽獠などを演じてきた。そのほか「ゲッターロボ」の流竜馬、「宇宙戦艦ヤマト」の加藤三郎、「うる星やつら」の面堂終太郎、「めぞん一刻」の三鷹瞬、「名探偵コナン」の毛利小五郎(初代)などでも知られる。バラエティ番組のナレーションや、CMナレーション、イベントや講演会なども多数行っている。
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ヘアメイク / 奥野展子
スタイリング / 臼井 崇(THYMON Inc.)
伊倉一恵(イクラカズエ)
3月23日生まれ、長野県出身。「シティーハンター」「エンジェル・ハート」の槇村香役で知られ、アニメ「魔神英雄伝ワタル」で虎王 / 翔龍子、「クレヨンしんちゃん」ふかづめ竜子、「三つ目がとおる」で写楽保介、「ONE PIECE」で戦桃丸を演じた。テレビ番組のナレーションも数多く担当している。
伊倉一恵公式サイト【一音入魂音楽館】 (@onkonkan) | X
ヘアメイク / 奥野展子