全シーンに苦戦!(福士)
──お二人の共演シーンでここは苦戦したなというのは?
福士 全シーンに苦戦したよね! 一発でOKが出ることはほとんどなくて、すべてのシーンを何テイクも重ねながら時間をかけて撮影していって。キャラクター的にはヤマモトが物語を引っ張っていく役割でしたが、役者としてはどちらかがリードするというのはなくて2人で助け合っていました。
──青山とヤマモトの屋上のシーンは本作の見どころの1つだと思いますが、あの場面も事前にかなり準備をしてから臨んだのでしょうか。
福士 あのシーンは、本番でセリフが変わったし、直前に監督から「どうやるの?」と聞かれて。僕たちは何度もリハーサルをやってきたから、その通りじゃ駄目なのかな? 違うことやれってことなのかな……と思ったりもしました(笑)。
吉田鋼太郎さんの声は骨の髄まで響く(工藤)
──共演者の方々とのエピソードも教えてください。青山の上司・山上役の吉田鋼太郎さん、先輩・五十嵐役の黒木華さんと個性豊かなキャストがそろっていますね。
工藤 会社の場面はほかのシーンと明らかに空気が違いましたし、独特の雰囲気がありました。監督やスタッフの皆さんがそういう環境を作ってくれていたので、僕らは撮影に集中することができたような気がします。吉田さんや黒木さんに引っ張っていただき、僕は自然に青山としてそこにいることができました。吉田さんの声が僕の骨の髄まで響くので、声を聞くたびに背筋が伸びました。
福士 (本編を観たときは、工藤が)かわいそうでかわいそうで……。吉田さんが迫力のあるお芝居をされる方だということは知っていましたが、今回それを存分に出されている気がしました。黒木さんの役は、原作では男性だったんですが、黒木さんが演じたことで、悩んでいる姿にも共感できる魅力的なキャラクターになっているなと思いました。
バヌアツで心が洗われました(福士)
──続いて海外ロケの話もお伺いしたいです。バヌアツ共和国では監督から演出をほとんど受けなかったそうですが、日本で撮影したときと心境は変わりましたか?
福士 どうだったかな……。 (工藤に)どうでした?
工藤 僕は1日しか撮影がなかったので、出番がない日はほとんど福士くんの現場を見に行っていました。バヌアツに行ってからは成島監督から何か演出を受けるという感じではなかったですね。「日本でやることはやってきたからベースはできているし、あとはバヌアツに行くだけだよ」と出発前に言われていました。
──そうなんですね。ちなみに撮影以外はどのように過ごしていたんですか?
工藤 バヌアツならではのマリンスポーツをしたりトレーニングしたり。バヌアツを満喫しました。
福士 バヌアツは海がきれいだし、無垢という言葉が似合うきれいな心を持っている人たちがいっぱいいる土地だったよね。彼らと一緒にいると、自分の心が洗われました。一番思い出に残っているのは、毎晩スタッフ・キャスト全員で食事に行って、みんなでお酒を飲んで酔っ払ったことかな(笑)。皆さんとゆっくり話せる時間があったので楽しく過ごせました。
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もし仕事をやめたら、日本のよさを守る活動をしたい(工藤)
- 「ちょっと今から仕事やめてくる」
- 2017年5月27日(土)全国公開
- ストーリー
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ブラック企業で働く青山隆は、疲労のあまり駅のホームで意識を失い電車にはねられそうになったところを謎の青年・ヤマモトに助けられる。青山はこの出会いをきっかけにヤマモトと親しくなり、彼からアドバイスをもらうことで仕事の成績が徐々に上がっていく。そんな折、青山は深刻な顔をして墓地へ向かうバスに乗るヤマモトの姿を見かけ……。
- スタッフ / キャスト
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監督:成島出
出演:福士蒼汰、工藤阿須加、黒木華、小池栄子、吉田鋼太郎ほか
原作:北川恵海「ちょっと今から仕事やめてくる」
主題歌:コブクロ「心」
© 2017 映画「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会
- 福士蒼汰(フクシソウタ)
- 1993年5月30日生まれ。東京都出身。2011年に「仮面ライダーフォーゼ」で初主演を務めて注目を集める。その後はNHK連続テレビ小説「あまちゃん」や「図書館戦争」シリーズ、「ストロボ・エッジ」「無限の住人」など話題作に立て続けに出演した。公開待機作には「曇天に笑う」「BLEACH」「旅猫リポート」「ラプラスの魔女」がある。
- 工藤阿須加(クドウアスカ)
- 1991年8月1日生まれ。埼玉県出身。2012年にドラマ「理想の息子」で俳優デビュー。2014年には「百瀬、こっちを向いて。」「1/11 じゅういちぶんのいち」での演技が評価され、第24回日本映画批評家大賞の新人男優賞を受賞した。映画出演作は「アゲイン 28年目の甲子園」「夏美のホタル」「恋妻家宮本」。
2017年6月5日更新