必要最低限の壁しかない(桜田)
──お二人のオフショットを拝見しましたが、仲の良さが伝わってきました。
桜田 ビジネスなんで!(笑)
上杉 あはははは。ビジネスです。プロなんで!
──(笑)
上杉 同じ事務所なので、一緒に演技レッスンを受けてきた仲間なんです。信頼できる部分がたくさんある。不安なく一緒にお芝居できるので、現場でいろいろ話し合う余裕もありますね。
桜田 知り合いや、友達とはまた違った家族みたいな感覚がありますね。私が中学2年生の頃から一緒に演技レッスンを受けてきたので、必要最低限の壁しかない。例えば怒鳴り合ったりするシーンでは初対面の人と一緒にやるのと、気心が知れた仲で演技をするのとでは画面を通して伝わるものも違うと思うんです。だから研矢が柊平くんでよかったなって思いますし、柊平くんじゃなかったらここまで信頼関係を築いたうえで、作品を作り上げることはできなかったと思います。
上杉 僕も同じ気持ちですね。今まで怒鳴り合う芝居や、2人で号泣するっていう芝居もやってきてる。レッスンの合間にはくだらない話をしたり。中2から高3までの桜田さんを見てきてるし、僕が事務所に入ってから5年間の成長や変化も見てくれてる。壁がないからやれることっていっぱいあるなと現場でも思いますね。
桜田 ほどよい緊張感はありつつも、自由気ままにレッスンをしていたときのようにリラックスしながら、撮影に臨めています。
──気心が知れた仲ということですが、今回共演されてみて新たに気付かれたことはありますか?
上杉 改めて演技がうまいなと思いましたね。18歳ですよ。末恐ろしいです。人生何回目?ってよく聞いてますね(笑)。
桜田 私は柊平くんが事務所に入ってきたばかりの頃から見てるんです。
上杉 そうそう。桜田さんは事務所の先輩なんです。
一同 あははははは。
桜田 歳は私のほうが下ですけど、「俺、手ぶらでレッスン来ました!」みたいなときから知っているので、親目線も入ってしまって。本当に大きくなられましたねって(笑)。
上杉 俳優さんになったのねって(笑)。
桜田 一緒に演技をしていると、毎回すごくいい刺激をもらっています。
──物語の中盤からは、唐沢寿明さん、木村多江さんとの共演シーンも増えていきます。お二人の印象もお聞きしたいです。
桜田 お二人ともすごく優しいんです。私たちがやりやすい空気感を作ってくださるんです。
上杉 好きにやっていいわよっていう空気を自然に作ってくれるよね。
桜田 そうそう。
上杉 僕はこの仕事を始めて1年ぐらいのときにお二人と「とと姉ちゃん」で共演させていただいたんです。そのときは、緊張もしていたし、考えなくていいことをたくさん考えてしまい、あっという間に撮影が終わって悔しい思いをして。でも、今回は当時よりも冷静に撮影に挑めているので、お二人の空気の作り方や、唐沢さんの座長としての佇まいをちゃんと見ることができてますね。
──なるほど。
上杉 唐沢さんはジャック・バウアーを日本で演じるというときに、自分の中にある引き出しをいくつか試してみて、1個、これというものを使っているとおっしゃっていたんです。その1個がなんなのかは内緒だと言って、教えてくれないんですが(笑)。「お前もなんか1個、武器を見つけろ」って言っていただきました。
──武器は見つかりましたか?
上杉 見つかりましたけど内緒です(笑)。
観てない人はチャンスです!(上杉)
──現在18話まで放送されていますが、周囲の反響はいかがですか?
桜田 「美有が本当に嫌っ!」って声は届いていますね(笑)。
上杉 それはやったね! 最高だね。
桜田 そうなんです。私からしたらそれは褒め言葉なんです。観ている方々が「美有嫌い! 動かないで」って思ってくれたら勝ちだと思っているので。そういう反響を目にするとうれしく思います。
上杉 母の友人は放送のたびに母に感想を送ってくるらしいです。「今日、柊ちゃん撃たれた!」とか「逃げて!」とか(笑)。僕の母親世代の方たちはハラハラドキドキ観てくれているようです。
──撮影は数カ月掛けていると思いますが、ドラマでは1日の出来事として描かれます。本作に出演するうえでの、苦労はありますか?
上杉 まずビジュアルは絶対変えられないですね。髪型もそうですし、ウェイトコントロールも必要です。でも1話の僕の毛量はすごいことになっています……(笑)。
桜田 3カ月前に撮ったシーンの続きを撮ることになったときは「3カ月前ってどんな感じだったっけ?」って一瞬混乱することはあります。以前の自分に合わせなければいけないんですが、物語が進む中で美有にも成長や変化があるのでそこが混ざってしまうこともあって、難しいと感じます。
──全話見逃し配信もありますし、まだまだドラマに追い付けると思います。終盤に向けてこのドラマにまだ出会っていない人へどのように作品をアピールしますか?
桜田 入り方はなんでもいいと思っています。好きな俳優さんを観るためでもいいし、どんな入り口から入っても、作品の世界に浸れると思います。原作ドラマには根強いファンもいらっしゃるので、抵抗がある方もいると思うんですが、本当に1話だけでも観てほしい!
上杉 絶対、次観たくなるもんね。
桜田 そうなんですよ。よし観るぞ!じゃなくて、もっと気楽に入ってもらっていいと思うんです。今ちょっと暇だから観てみるかでもいい。観始めてしまえば先が気になってどんどん引き込まれると思いますし、引き込む自信はありますね。
上杉 この作品は20年前の作品のリメイクですが、現代に合わせて内容を少し変更しつつも、当たり前のように成立させている。それは社会情勢とか、政治問題など我々が考えるべきことが当時と変わっていないということでもあると思うんです。そういう意味でもぜひ観てほしいですね。物語の展開がスピーディで次が気になるドラマなので、観てない人はまとめて観られる今がチャンスです!