海外ドラマ「24 -TWENTY FOUR-」のシーズン1をベースに、女性総理誕生が期待される選挙当日の24時間をリアルタイムで描く「24 JAPAN」。唐沢寿明がオリジナル版のジャック・バウアーにあたる、CTU(テロ対策ユニット)第1支部A班の班長・獅堂現馬(しどうげんば)を演じている。TELASAでは、オリジナルサイドストーリーを含めた配信スペシャル版が1話から最新話まで見逃し配信中だ。
映画ナタリーでは、現在放送中の本作の魅力を探るべく、獅堂の娘・美有役の桜田ひより、美有を誘拐したテロ実行グループの1人・長谷部研矢役の上杉柊平にインタビューを実施。オリジナリティを出すための工夫や、“24時間”を演じることの難しさを語ってもらった。ともに同じ演技レッスンを受けた2人ならではの掛け合いも楽しんでほしい。
取材・文 / 金子恭未子
根強いファンがたくさんいる作品(桜田)
──本作はアメリカのドラマ「24 -TWENTY FOUR-」をリメイクしたものです。オファーを受けた際の心境を教えてください。
桜田ひより ジャック・バウアーの存在は岸(学)さんのモノマネで知っていたのですが、ドラマは観たことがありませんでした。今回出演するにあたって観たら、先が気になって一気観してしまいました。根強いファンがたくさんいる作品ですし、責任を持って演じなければいけないなと思いました。
上杉柊平 僕が小学生のときに「24 -TWENTY FOUR-」が流行っていたんです。日本とアメリカでは文化も違うので、まずはどうやってリメイクするんだろう?って。不安と楽しみが入り混じった感情でしたね。
──日本とアメリカでは文化や社会的背景も違うので、リメイクするにあたってローカライズする必要はありますよね。
桜田 撮影初日に唐沢寿明さんと、木村多江さんとオリジナリティをどう出すか?という話になったんです。台本は原作に忠実に書かれているんですが、アメリカ版をまねするのではなく、「24 JAPAN」の世界を確立させて、この世界でみんなで生きていこうと話し合いました。
上杉 シーンごとに試行錯誤していますね。
桜田 例えば「Mama I love you」を「ママ愛してるよ」とそのまま言うと日本では違和感がありますよね。でも「大好き」だったら照れ臭くても言えるかもしれないのでニュアンスを変えました。リハーサルをしながら、毎回自然な言葉を探しています。
上杉 日本人の奥ゆかしさや、言葉にしないから伝わる感情は大切にしたいと思っていて、シーンごとに話し合っていますね。
美有は男を尻に敷くタイプ(上杉)
──数カ月撮影されていて役への愛着も増していると思うのですが、桜田さんから見た獅堂美有はどういう人物ですか?
桜田 責任感が強くて、自分の意思をしっかり持って行動に移せる女の子ですね。それはお父さんから受け継いでいるものなので、やっぱり娘だなって感じてもらえるように意識して演じています。
上杉 美有は男を尻に敷くタイプですよね(笑)。
桜田 あはははは。
上杉 撮影現場で桜田さんとよく話しているんですけど、美有の行動ってイラッとするものも多かったりするんです。ここは黙ってろよっていうところでもしゃべっちゃうし、なんでここで動くんだよ!って思うこともある。でもそういうものを超える魅力が彼女にはあると思うんです。だから研矢は美有に惹かれているんだろうなって。僕も自分の意思に従って行動する女性は素敵だと思いますね。
──美有を守るために奮闘する研矢の姿が印象的です。
上杉 最初の1時間で彼は恋に落ちるんです。一目惚れのようなものですね。実体験なんですが、人を好きになるときって、ビビっとくるものだと思うんです。24話通して研矢は美有を守り切ろうとする男なので、恋に落ちる瞬間はしっかり作ろうねと監督と話し合いました。
──上杉さんは研矢をどのような人物だと捉えていますか?
上杉 自分のやりたいことが見つからずに流されてきた男だと思っています。だからこの24時間を通して、芯を持った人間になる。彼にとってきっかけの1日だと思っています。
──美有も研矢に惹かれていますよね。
桜田 「どうしてそんなにかっこよくて頭がいいのにこういうことしてるの?」という美有のセリフがあるんですけど、彼女には研矢のことを変えたいという思いがあるんですよね。それが恋愛感情につながっていく。研矢の態度は美有からすればもどかしく感じるけれど、それを自分でいい方向に変えてあげたいという気持ちがあるんだと思います。
上杉 男女ってそういうほうがうまくいくと思うんだよね。本当にそう思う(笑)。
──ご自身が演じた役以外で演じてみたい役はありますか?
上杉 水石チーフ(栗山千明)ですね!
桜田 わかります! あとマイロ(時任勇気)もいいですよね。
上杉 南条も好きです。演じてる池内(博之)さんの眼力やばい! でも自分で演じたいというよりは、栗山さんが演じてる水石チーフが好きだし、池内さんが演じている南条が好きですね。
桜田 私も時任さんが演じるマイロがいいです。あのゆるい感じが。
──視聴者と同じようにそれぞれのキャラクターを楽しんでいるということですよね。
上杉 そうですね。みんな個性が強すぎますもんね。神林(高橋和也)とか。
一同 (笑)
──美有と研矢は神林に追い詰められ続けますね。
上杉 美有と研矢が置かれているシチュエーションはずっとハードですよね、死体を埋めるシーンはきつかった(笑)。あの日ずっと埋めてましたもん。
──こんなボロボロのお二人はおそらくこの作品でしか見られないと思います。
上杉 1話で研矢と美有が屋上でしゃべっているシーンがあるんですけど、唯一きれいな2人を見られる場面かもしれないですよね。
桜田 さわやかな風が吹いてますよね。そのほかはずっとハードなので。
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必要最低限の壁しかない(桜田)