コミックナタリー PowerPush - ヤングコミックチェリー
セクシー系からピュア恋に方向転換 精神科医ゆうきゆうがモテ術を伝授
ゆうきゆう インタビュー
「モテたい」「変わりたい」気持ちがある人対象
──「マンガで分かる心療内科」がブレイクしたあとの新作が「モテるマンガ」という、身も蓋もないタイトルだと思ったのですが、どういうお話か概要から教えていただければと。
今回は主人公が2人います。ひとりは、モテない男代表「忠野貢(ただの みつぐ)」。もうひとりはスーパープレイボーイ「女多幸(おんなだ こう)」。2人が出会ったときから物語が動き出します。
──表紙の絵で拘束されている人が、そのスーパープレイボーイですね。
はい(笑)。彼は、ありとあらゆる要素で女の人を惹きつけてしまうキャラで、その対照的な存在が「モテない」キャラになるという。忠野貢は、100人の女性に告白してフラれた男という設定です。
──でもいくらモテないにせよ、100人に告白してるのって、けっこう頑張ってるなって思えるんですが。
確かに、キングオブモテナイっていうと、まったく行動できない人ですね。ただそれだとモテるモテないの問題じゃないというか、もっと根本的なところから治療していかなきゃいけなくなるので(笑)。本作は多少でも前向きさを持っている人に向けた内容にしたいと思っています。「モテるマンガ」というタイトルの作品を読みたいと思うってことは、そういう意志があるってことですし。
──なるほど。モテたい気持ちがある人対象。
ヤングコミックチェリーの「恋愛初心者向け」というテーマにもマッチするかなと思います。
──基本的には男性読者を想定した内容になりそうですか?
まずは男性のお話になりますが、今後は「男性心理とは何か」みたいな話も展開していき、女性が読んでも楽しめるようにしていけたらなとは考えています。
──この作品を読んだらモテるようになるんでしょうか……。
さすがに読んだ瞬間にモテるようになるとは思いませんけども(笑)。そこはね、ピアノとか剣道とかと一緒で日々の積み重ねというか、努力の積み重ねではないでしょうか。でもまあ、読まないよりは読んだほうが、より「モテ」に近づくんじゃないかな。僕としてもこのマンガを読んだ人にモテるようになって、変わってほしいなと思っています。
心理学的解釈で「モテる方法」を考える
──今回なぜ「モテ」をテーマにしようと思ったのでしょうか。
仕事柄いろんな人の悩みを聞く機会が多いのですが、診療以外で受ける悩み相談の大半が「モテない」「出会いがない」といった恋愛絡みが多いんです。僕はこれまで、モテとか恋愛の悩みについて書いた書籍も出してきたので、もっと読みやすく分かりやすく、若い読者にも読んでもらえるマンガという形で、恋愛がうまくいく方法を心理学的に考えることができたら面白いんじゃないかと。
──この作品を着想するきっかけにもなった、先生の「モテたいなら、道を聞け。」というコラムを拝読したんですが、「1000人に道を聞け!」という、すごくシンプルな行動が提唱されていました。
まあ道を聞くだけで急にモテモテになるわけではないと思いますけども(笑)。人と接したり話をすることに慣れてない人は「モテ」から遠のくと思います。心理療法のひとつに段階的にいろんなことに慣れていくという方法があります。例えば高所恐怖症の人が高いところに行く前に、10センチ、50センチ、1メートルと少しずつ高くして慣らしていくという段階的な治療法です。「道を聞く」という方法は、その応用ですね。たくさんの人と話すことで、人との接し方に屈託がなくなっていく。それが身近な人間関係にも活かされる。
──なるほど。そうすると心理学の観点から「モテ」を考えるマンガ、とも言えそうですね。
心理学において好感度の高い低いは非常に重要視されています。ダイレクトに「モテ」を研究している学者はいないかもしれないですけど、社会心理学では好感度に関する研究は多々ありますね。
──好感度に関する研究というと、具体的にどんなものがあるんでしょうか。
有名なところだと、紳士的な格好をしている人がちょっとした失敗をすると好感度が上がる、という実験ですね。抜けた部分があると安心するという。ただし、みすぼらしい格好の人が失敗をするとより好感度が下がるという実験結果もあるので、一概には言えませんが。
──ギャップですね。
そうです。あと人間は物理的距離が近づくに連れて好感度も少しずつ上がると言われてます。相手と距離の近いところを位置取るっていうのは大切。デートなどでも対面よりは横並びの方が、より親密度が増します。人間って横に対してはガードが緩いので。
──心理学的解釈でモテる方法を考えるということは、外見的よりは内面的な要素のアドバイスが多くなりそうですね。
いや、外見的な要素も重要だと思います。単純な顔かたちの造形ということではなく、例えば表情とか身だしなみとか、外見の要素は大事で。話し相手の笑顔や瞳孔の大きさで、好感度が上がるという作用もありますし。そういった広い意味での外見は重要かなと思いますよ。
- 「ヤングコミックチェリー」2013年6月号 / 2013年5月10日発売 / 350円 / 少年画報社
-
雑誌紹介
純情100%コミック誌が新装刊。小林拓己の超豪華カラーポスター&甘詰留太のW移籍連載も見逃せない。目印は新連載ゆうきゆう×ソウの衝撃的表紙。リニューアル記念、全執筆作家陣18名による描き下ろし色紙プレゼントも実施!
小林拓己ピンナップポスター
ゆうきゆう×ソウ「モテるマンガ」
喜国雅彦「FET」
甘詰留太「パピィラバーズ」
甘詰留太「ハッピーネガティブマリッジ」
ポン貴花田「たわまん」
琴葉とこ「バージンコンプレックス」
綾杉つばき「いもうと症候群」
たかみち「百万畳ラビリンス」
東陽片岡「童貞おスナック『三千代』」
ジェームスほたて「俺とロボ美の7日間」
蓮古田二郎「ちむちむチェリー」
オジロマコト「せいきまつしんどろーむ」
環望「ハード・ナード・ダディ - 働け! オタク!! -」
ハナムラ「ハナムラさんじゅっさい+」
山野りんりん「かなり下の方の佐藤ヒロシ(弟)」
久遠ミチヨシ「あまあま*パフュメ」
吉富昭仁「ユーコとコースケ」
ソウ
原作者ゆうきゆうとタッグを組み執筆したマンガが、WEB上で好評を博す。月刊ヤングキングで「おとなの1ページ心理学」、ヤングキング(ともに少年画報社)で「マンガで分かる心療内科」を連載中。
ゆうきゆう
ゆうメンタルクリニック総院長。精神科医、心理研究家として「相手の心を絶対に離さない心理術」ほか多数の著書を持つ。会員数世界最大の心理学サイト「心理学ステーション」を運営。マンガ原作者としても活躍中。