コミックナタリー PowerPush - ヤングコミックチェリー
セクシー系からピュア恋に方向転換 精神科医ゆうきゆうがモテ術を伝授
1万円分の魅力に値するには、同等の魅力を持て
──そもそもモテと非モテの違いとはなんでしょうか。何が「モテない」ことに繋がると思いますか?
1万円の商品を手に入れるのに1万円を渡すのは当然で、100円では絶対に手に入らないですよね。人間関係にも「社会的交換理論」という考え方があって、例えば、ある綺麗な人と付き合う喜びが1万円だとしたら、相手も同じように1万円分の何かが欲しいわけです。相手がくれたものに見合うだけ何かがなければ。
──相手と同等の魅力をこちらも提示しないといけない。
はい。相手と同じように1万円分のビジュアルを提示出来る人はわかりやすい。もしくは1万円分のステータスを持っているなら、それだけでもOK。もしビジュアルが5000円分しかなければ、5000円分のステータスと合わせ技で1万円にするとか、どうにか相当する価値を提示すればいい。人によって1万円分をどう用意するかはそれぞれですから、一概にビジュアルやステータスだけが「モテ」に繋がるとは限らないわけです。
──なるほど。確かにビジュアルじゃない所でモテてる人っていますよね。
一緒にいて楽しい、心地よい、満足感があるなど相手の好感度を上げるのが上手い人がそうです。トークのスキルを上げるとか、相手の良いところを褒めてあげるとか、笑顔を絶やさないといった心がけができている人。ルックスや資産ばかりじゃなくて、努力でフォローできることもあるわけです。
──逆に言えばモテない人というのは、相手に見合った対価を持たず、かつ努力をしていない、ということでしょうか。
そうです。喜ばせるためのスキルを磨くとか、単純にステータスを上げる努力をするなど、何らかの形で相手に与えられる要素を持つことを意識的にしていかないとダメなんじゃないかな。
──好かれるための努力をせよ、と。
非モテの人は「自分をわかってくれない」「自分を好いてくれない」というような、異性に対して拗ねた態度をとりがちです。いきなり相手に求めるのではなく、まずは自分が相手に何を与えられるか、あまり持っていない人なら与えるための努力が出来るか、頑張れるか、です。
──「モテない」と思っている人は、理由を外見のみに求めがちかもしれません。「ただしイケメンに限る」みたいな。
厳しい言い方をすると、努力しないで済む言い訳を作りたいのではないでしょうか。外見を原因にすれば努力の余地がなくなりますからね。顔の造形は簡単には変えられませんけど、小奇麗にするとか清潔感ある服装にするというのは、やっておいて損はないでしょう。それすらもせず、「モテない」理由を顔構造のせいにして、避けていてはしょうがない。
非モテの負のスパイラル
──非モテの人って、そもそも好きになる前に諦めているところがあるのではないかと思います。
最初から諦めている人は、もっと自分の気持ちに素直になることが大事ですね。モテたいとか異性と接したいっていう気持ちは誰の中にもある欲求です。それを無いかのように振舞ってると、どんどん卑屈によじれて、ストレスが溜まってきます。モテたいという気持ちを受け入れた上で、動いたほうが健康的です。
──非モテの心理状態ってどういう感じなんでしょう。
人と接しないと、人間ってどんどん接する事自体が恐怖になってしまいますからね。セリグマンという心理学者が行った有名な実験で、動物を檻に入れて、出るたびに電気ショックを与えるというものがあるんですが、それを繰り返していると動物は檻を出ることを諦めるんです。で、ある時、電気ショックをなくして檻を開けっ放しにしても、もう出ようとしない。これは心理学用語で「学習性無気力感」と言うんですけども、無気力感を学習してしまうわけです。それと同じような心理状態なのではないかなと予測できます。
──「モテない」癖がついちゃうみたいな。
「予言の自己実現」と言うのですが、自分で予言していることの通りに自分が振舞って、実際に起こしてしまうことがあります。結局、「モテない」と予言したとおりにモテなくしているのは自分自身である、いうことです。
──フラれるようなことがあっても、めげずに勇気を持って行動しろと。
フるフラれる以前に、その人に近づいていくってことですね。結果を考えず、とにかくまずは近づこう、話そうとした方がいい。また少しでもモテてくると、自信も出てきて内面的な明るさもアップしてモテにつながる。雪だるま式に好転していくのではないかと。
オタクは「モテない」……?
──非モテといえば、いわゆる「オタク」がその象徴になりがちなのは、なぜなんでしょうか。
ただ単に趣味を持っているだけで非モテに繋がるわけではなくて、興味の方向が内側に向き過ぎると遠のくというだけの話じゃないでしょうか。趣味のことしか頭にない人というのは、つまり自分のことを最優先にする人でしょうから、他人のことを真っ先に思うのは難しい。
──例えば3次元より2次元を愛好するマンガやアニメなどへのこだわりが強い人が、よりモテないという傾向はないでしょうか。
それは音楽や映画、小説が好きな人と比べて、マンガ好きがモテないということ? うーん、どうでしょう。非モテ率はそんなに変わらないんじゃないかな。人数的に多いので、非モテが多い印象になってるだけかと思うんですけど。
──ではジャンルによる「モテ」「非モテ」はあまりないと。
ただし2次元に興奮してばかりいることで、実際の性行為において、ED傾向になってしまう方は存在します。2次元の刷り込みが強すぎるのかもしれません。ただその一方で、セックスレスの治療法としてフィクションを取り入れる手法もあるんです。その際、いろいろなメディアで性行為を見ることが推奨されているので、2次元でイメージを膨らませることにも、意味はあると言えます。大切なのはバランスですね。
──なるほど。一概に2次元の愛好者が、モテと縁遠いわけではなさそうですね。
そうですね。よくある2次元は最高で3次元はダメだビッチだ、という極端な考え方は「酸っぱいブドウ」の心理ではないでしょうか。手に入れられないからこそ、そのブドウは酸っぱくて、価値が低いと判断したくなる。
──でもまあ、よく考えてみれば、2次元の異性のほうが手に入りませんけど。
そりゃそうだ(笑)。実際に手にできる3次元の異性からモテるためにも、新連載をぜひご愛読ください。
- 「ヤングコミックチェリー」2013年6月号 / 2013年5月10日発売 / 350円 / 少年画報社
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雑誌紹介
純情100%コミック誌が新装刊。小林拓己の超豪華カラーポスター&甘詰留太のW移籍連載も見逃せない。目印は新連載ゆうきゆう×ソウの衝撃的表紙。リニューアル記念、全執筆作家陣18名による描き下ろし色紙プレゼントも実施!
小林拓己ピンナップポスター
ゆうきゆう×ソウ「モテるマンガ」
喜国雅彦「FET」
甘詰留太「パピィラバーズ」
甘詰留太「ハッピーネガティブマリッジ」
ポン貴花田「たわまん」
琴葉とこ「バージンコンプレックス」
綾杉つばき「いもうと症候群」
たかみち「百万畳ラビリンス」
東陽片岡「童貞おスナック『三千代』」
ジェームスほたて「俺とロボ美の7日間」
蓮古田二郎「ちむちむチェリー」
オジロマコト「せいきまつしんどろーむ」
環望「ハード・ナード・ダディ - 働け! オタク!! -」
ハナムラ「ハナムラさんじゅっさい+」
山野りんりん「かなり下の方の佐藤ヒロシ(弟)」
久遠ミチヨシ「あまあま*パフュメ」
吉富昭仁「ユーコとコースケ」
ソウ
原作者ゆうきゆうとタッグを組み執筆したマンガが、WEB上で好評を博す。月刊ヤングキングで「おとなの1ページ心理学」、ヤングキング(ともに少年画報社)で「マンガで分かる心療内科」を連載中。
ゆうきゆう
ゆうメンタルクリニック総院長。精神科医、心理研究家として「相手の心を絶対に離さない心理術」ほか多数の著書を持つ。会員数世界最大の心理学サイト「心理学ステーション」を運営。マンガ原作者としても活躍中。