コミックナタリー PowerPush - 横槍メンゴ「クズの本懐」
横槍メンゴ×GARNiDELiA 3人の友達が繰り広げる「クズの本懐」放談
「しんどい恋愛をしてたから」生まれた物語
メイリア 「クズの本懐」みたいなお話ってどういうときに思いつくの?
横槍 この話を思いついたのは実際にしんどい恋愛をしてたとき。
メイリア あはははは(笑)。
横槍 もともと新連載に向けてハーレムもののネームを2話分くらい描いてたんだけど、なんか全然しっくりきてなくて。もうちょっとシリアスで、女の子も読めるような作品を描きたいなあ、なんて考えてたら、実際そのとき自分が叶わない悲恋状態だったので、それを活かそうかな、と……(笑)。
toku この話、リアルだったんだ(笑)。
──そして花火よろしく、ライバルの女から好きな男の子を奪う隙を窺いつつ、取り立てて好きでもない、けど割といい感じの別の男の子と付き合うことに?
横槍 そこまでクズではなかったんですけど(笑)、やっぱり自分が経験したことをもとに物語を作るほうがしっくりきたんですよね。それでハーレムものはボツにして編集さん……っていっても20歳くらいからの知り合いで、当時からお互い「私はマンガ家になりたい」「私は編集者に」って言い合ってた仲の友達なんですけど……。
メイリア すごい! 2人とも夢を叶えた上に一緒に仕事してるんだ!
横槍 そういう間柄だからワガママを言わせてもらって(笑)。もう連載開始まで1カ月もないって感じの時期だったんだけど、その彼女に「最近こういうことがあって、こういうマンガを描きたいんだけど」って電話したら「ぜひそのネームを見てみたい」って言ってくれて。それで急いで1話のネームを描いたら編集部内でも「ハーレムものよりこっちのほうがいいんじゃない?」って話になって「クズの本懐」が始まったって感じなんです。
「描きたい作品」ではなく「読みたい作品」
メイリア やっぱりどの作品にも自分の体験みたいなものって反映されるものなの?
横槍 うーん、そうかもしれない。特に私はまったく心当たりのないことを描こうとするとそのウソっぽさを読者の方に見透かされちゃうタイプ。客観的ではなくて主観的な物語を作るタイプではあるんだけど、ただ全部が全部、実体験ベースではないかな。特に「レトルトパウチ!」は、読者を一番に意識した作品だし。みんなが楽しんでくれたらいいなと思って描いているから「クズの本懐」とは作り方が全然違ったりして……。
──確かに少子化対策のために不純異性交遊を推奨しているエリート校で処女、童貞を貫き通そうとする女の子と男の子が主人公のすごくアッパーなコメディの「レトルトパウチ!」が実体験に基づいた作品だったら……。
メイリア ビックリしちゃいますね(笑)。
横槍 だから「処女だ、童貞だ」って繰り返すマンガを描きつつ、「クズの本懐」みたいなウェットな作品を描くのってホントに大変だったりするんだけど(笑)、でも「レトルトパウチ!」を連載する上で常々考えてる「みんなに楽しんでもらいたい」っていう気持ち自体は元々私の中にあったものだし、逆に「クズの本懐」が完全に独りよがりの作品かというと……。
メイリア 全然違うよね。私はもちろん、男性も女性も共感できる作品になってる。
横槍 うん。「クズの本懐」は自分の物の見方や考え方が特に反映された作品ではあるんだけど、マンガである以上、みんなが楽しめるエンタテインメントでもなきゃいけないとも思ってるから。「クズの本懐」に限らず、すべての作品に言えることでもあるんだけど「ただ単に私が描きたい作品」を描くんじゃなくて「私が読みたい作品」を描くように心がけてはいますね。
ウソのつけないメイリアと、ウソをつくtoku
──例えばコミックスの第1巻の序盤に、花火が茜先生のことを「男はああいう女子アナみたいな女がいーのよね」って評するシーンがありますけど……。
メイリア 私、あそこ超共感した! 「どうせ男はみんなそういう女が好きなんでしょ」って(笑)。
toku すみません……。
横槍 あはははは(笑)。あの部分は、本音をスカッと言い切る人を見たかったから描いた感じですね。確かに私自身の本音でもあるんだけど、普段作品を作るときはそれでいて「みんなが見たいだろうな」「聞きたいだろうな」っていうシーンやセリフを考えるようにしてます。でもそれって私はGARNiDELiAの作品にも通じるものだと思っていて。メイリアちゃんの詞も確かにメイリアちゃんの本音が出ていると思うんだけど、だからって私が共感できないかっていったら、そんなことは全然なくて。歌詞の中に描かれる想いや感情にはすごく共感できるんです。
メイリア ありがとう(笑)。確かに「伝えたいことは私のこと!」っていうエゴ全開で詞を書いている面は大いにあるんだけど、もう片っぽでヨリちゃんがそう言ってくれたように、みんなに楽しんでほしい、共感してほしいっていうエゴもあって……。
toku アーティストエゴ50の、職業作家的なエゴ50っていうバランスで書いてる感じだよね。
メイリア 確かに。もちろん100%ノンフィクションではない。みんなに楽しんでもらえるように想像や空想も巡らせるんだけど、まるっきりウソをついているわけでもないって感じですね。
横槍 tokuさんは詞を書くとき、ウソついてます?
toku もちろん詞の内容には自分の思っていること、考えていることをモロに反映させてるけど、GARNiDELiAの場合、歌うのはメイリアなので。その思いを女性になりきって言葉にしているので、まあウソはつきまくってますね(笑)。
横槍 そのtokuさんのウソって繊細ですよね。メイリアちゃんの書く詞は本人のイメージ通り。アッパー系の太陽ってイメージなんだけど、tokuさんの書く女性像は月っぽいというか……。
toku 確かに詞を書くときはしおらしい感じの女性像をイメージしていることが多いかもしれない。
──それはtokuさんの理想の女性像だから?
toku いや、どの曲についても、一般的な男が考えるだろう、「こういう子がいたらいいな」っていう女性像を妄想しながら書いてる感じですね。
横槍 やっぱりメイリアちゃんや私とは全然違う(笑)。ものすごく客観的ですよね。女の子になりきるのよりももう1段階上の視点。男の人が好きな女の子像をイメージしながら、女の人の言葉を書いているわけだから。
メイリア しかも女である私よりも、もっと女の子らしい女の子の詞を書くからね(笑)。
toku そういう女の子像を正反対のキャラクターであるメイリアに歌わせたら面白いかなっていう思惑もあるんですよ(笑)。
次のページ » GARNiDELiAを肴に呑み明かす
純愛は穢されていく。もう止められないくらいに。
茜の歪んだ本音を知った花火は、あるひとつの決意をする。愛しい人の代わりに、足りないモノの代わりに、求めてしまうぬくもりがある。それぞれの恋心と欲が渦巻く拗れた関係と、縺れる赤い糸の行方は……。純粋で歪んだ純愛ストーリー、第4巻。
20XX年、深刻を極めた少子化問題。その対策として政府はとんでもない学園を設立した。学園の目的は「男女が正常に付き合うことを教育し、近い将来に家柄の良いもの同士で結婚させること」。エリートが集結し、「恋愛」を至上主義とする狂った学園で処女と童貞が究極のラブバトルを繰り広げる!!!
- GARNiDELiAニューシングル「BLAZING」2014年10月29日発売 / DefSTAR Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / DFCL-2086~7
- 通常盤 [CD] 1296円 / DFCL-2088
- 期間生産限定盤 [CD+DVD] 1620円 / DFCL-2089~90
CD収録曲
- BLAZING
- 人魚姫
- further
- BLAZING instrumental
- BLAZING TV Size ver.(※期間生産限定盤のみ)
初回限定盤 DVD収録内容
- BLAZING
- BLAZING bonus footage
期間生産限定盤 DVD収録内容
- BLAZING
横槍メンゴ(ヨコヤリメンゴ)
1988年2月、三重県生まれ。2009年、マガジン・ウォー(サン出版)にて成人向けマンガでデビュー。2010年にCOMICすもも(双葉社)にて、エロマンガ家と双子美少女の三角関係を描いたコメディ「はるわか」の連載を開始する。2012年に週刊ヤングジャンプ(集英社)にて掲載された、岡本倫原作「君は淫らな僕の女王」は、ヒロインが自制心を失うという設定と、かわいらしい絵柄とエロのギャップが人気を呼んだ。現在、月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)にて、高校生の純粋かつ歪んだ恋愛を描く「クズの本懐」、ミラクルジャンプ(集英社)にて処女と童貞による上流階級学園エロコメ「レトルトパウチ!」を連載中。インターネット上ではヨリのハンドルネームで活動し、ニコニコ動画などボーカロイドを使用した楽曲のイラストも手がける。イラストレーターとしても活躍中。
GARNiDELiA(ガルニデリア)
アニソンシンガーなどとして活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年に別名でオリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、同年アニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージック、ピアノ1本で聴かせるバラードまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。さらに翌年には東京・JCBホール(現・東京ドームシティホール)での「ニコニコ大会議Final」や、中国・上海での「舞動漫櫻楽祭~ANIME ROCK CONVENTION~」など国内外でのイベントに招聘される。そして2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビュー。同年7月には「魔法科高校の劣等生」後期オープニングテーマ「grilletto」を、10月には「ガンダム Gのレコンギスタ」のオープニングテーマ「BLAZING」を発表した。