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週刊少年チャンピオン50周年 対談連載第2回 武川新吾(週刊少年チャンピオン編集長)×栗田宏俊(週刊少年マガジン編集長)|「作品がヒットするかどうか、半分以上は運」「だけど運だけでヒットすることは絶対にない」

「ルールを破る熱意には期待してしまう」(武川)

武川 これも聞きたかったんですけど、マンガの連載可否って独断で決められてますか?

栗田 そうですね。1人で読んで1人で決めてますね。これは独善的とか自分に自信があるってことともちょっと違って、僕は作品の切り替えを早くしたいんです。毎月1本(連載を)始めたいくらい。会議制にすると「ここを直して」って言ったあとに、いろんな人のチェックが入ったりして、直したのが戻ってくるのに2週間とか1カ月とかかかっちゃうんです。それを全部自分でGOサイン出せば、圧倒的にスピード感が出るので。

武川 なるほど、班制度の話とかも伺ってたから、なんとなく合議制なのかなと思ってたんですけど、違うんですね。チャンピオンは4人で決めるんです。決定権は僕が持ってるんですけど、3人の意見は聞くようにしてますし、1人は少し若い編集者を入れてます。というのも僕が一番怖いのが、センスが劣化していくことだから。劣化によって、自分がわからないものを取り逃したくないんですよね。それに若い編集者が推してるのはなんなのかっていうのは知りたいですし。

栗田宏俊

栗田 なるほど。僕も週マガは1人で決めてますけど、別冊少年マガジンと、マガジンポケットの連載決定会議は、僕とそれぞれのチーフ、サブチーフを入れた3人でやってますね。それは武川さんがおっしゃったのと同じで、僕が「違う」と思ったものを取り逃さないためですかね。だから僕が「載せない」と言ったものでも、彼らが「絶対載せてください!」ってアピールしてきたものは載せるって伝えてますし(笑)。

武川 (笑)。その熱意があればよし!って思うこともありますよね。多人数の会議で決めたことって、ぶっちゃけろくでもないことになる可能性もあるじゃないですか。

栗田 非常にありますね(笑)。

武川 だけどほかの全員がダメだって言ってることを、1人が「どうしても載せてください!」って言うような、ルールが破られたときこそ逆に「このマンガは新しい世界に行くかもな」っていう期待を持ってしまうときってありますよね。

「編集部全員で渡辺航先生みたいなジャージを着るのはどうですか?」(栗田)

──あとは50周年事業の話も少し伺えれば。マガジンさんはサンデーさんと一緒に50周年事業をやってましたけど、「こういうことやっておけばよかったな」ということはないですか。

栗田 いやー、めちゃくちゃありますね。本当は「名探偵コナン」と「金田一少年の事件簿」のコラボもね、もっとやりたかった。

──「名探偵コナン&金田一少年の事件簿 めぐりあう2人の名探偵」というニンテンドーDS用のゲームや、2作の傑作選的な増刊号は出されてましたね。

栗田 本当は樹林さんに原作書いてもらって、こっちの塔で金田一、こっちの塔でコナンくんが別々の謎を解いて、最後に合流して1個の謎を解くみたいなマンガができたらなーとか考えてたんですけど、実行に移そうとすると準備期間も労力も相当必要で、ちょっと無理でした。だからね、思いついたことは全部やったほうがいいですよ。今は汗かかないとダメな時代ですし、編集長が「俺が一番がんばるぞ!」って言わないと(笑)。

武川 そうですね。ぶっ倒れないようにがんばります。体は強いほうじゃないので(笑)。

栗田 イベントがあるんですよね。イベントももっとたくさんやったほうがいいと思います。

武川 7月15日に秋葉原で「大感謝祭」っていうのはあるんですけど、それだけじゃなくて大小問わずってことですよね。

栗田 マンガを人の体験にすることってなかなか難しいですけど、やっぱり体験型って圧倒的に心に残るんですよ。ジャンプさんが毎年イベントをやっているのはえらいなって思ってますよ。

武川 「ジャンプフェスタ」ですよね。あの人の集まり方はすごい。

東武動物公園で行われた「BEASTARS」コラボイベントより。左は1日園長を務めた板垣巴留。

栗田 ああいうの、もっとうちでもできたらいいのにって思ってますから。チャンピオンさんだったら東武動物公園でもっといろいろやったらいいんですよ。今、東武動物公園と言えばチャンピオンですから。僕はまだ息子が小さいので東武動物公園もよく行くんですけど、園内で「BEASTARS」の看板見ましたよ(参照:板垣巴留が東武動物公園の1日園長、ペンギンにくちばしを噛まれ虎には腰を抜かす)。そこで「チッ」って思っちゃうんですよね(笑)。

武川 (笑)。「BEASTARS」に続いて、この夏は「弱虫ペダル」でお世話になります(参照:弱ペダと東武動物公園が夏の約2カ月間コラボ、坂道や巻島の描き下ろし登場)。

栗田 「ライバルじゃない」って言いつつ、めちゃくちゃうらやましいですよ(笑)。

武川 誌面以外でどんどん認知を広げていきたいですよね。変わったことができればなおさらいいんだろうなって思いますけど。

栗田 変わったこと……。「弱虫ペダル」の渡辺航先生が着てる自転車のジャージを、1年間編集部員が着るっていうのはどうですか? それで誰が見ても「あ、チャンピオンの編集部員だ」ってわかるみたいな(笑)。あれは強烈ですよ。

──渡辺先生、総北ジャージで野球の始球式に出てましたね(参照:渡辺航が始球式!ロードバイク&総北ジャージでマウンドに立つ)。

武川 そうですね、作品の舞台が千葉なので、千葉ロッテマリーンズさんの始球式に参加させていただいて、自転車に乗って登場されるという、なかなか新しいことをやってました。そもそも自転車マンガなのに野球の始球式に出るっていうのが面白いですからね。

栗田 いいですね(笑)。そういうのをもっとやったほうがいいですよ。

武川 何かをやるときに、労力とか常識とかコストとかいろいろ問題はあるんですよ。でも結局そこを度外視して飛び込んでいかないと面白いものって生まれづらいんですよね。

栗田 そうですよね、チャンピオンらしい変な企画に期待してますよ。「BEASTARS」の着ぐるみの全身バージョンを作って、東武動物公園を歩くとかね(笑)。

──最後にお互いにメッセージをお願いできますでしょうか。

栗田 いやー、最初に「ライバルじゃない」と言っておきながら、直接お会いしてお話すると闘志が湧いてきましたね。

武川 お! ちょっとおっかないですね(笑)。でも本当に、何度も申し上げてます通り、週刊少年誌4誌が伴走していることの価値は非常に感じております。4誌が存在していて、それぞれのオリジナルな要素がずーっと続いている、その安心感とか良さって絶対あるなと。これからも週刊少年マンガを盛り上げていきましょう。

栗田 そうですね、お互い「負けないぞ」っていう、いい緊張関係で。

──今日は初対面ということでしたけど、今後はお酒を飲みに行ったりする機会もあるといいですね。

栗田 今日も会議室じゃなくて、どこかで飲みながらやればよかったですね。僕はお酒が入るとこれの15倍ぐらい滑らかになりますので(笑)。

──今日もまあまあしゃべられてましたけど(笑)。

武川 昔は週刊少年誌4誌の編集長って年1回ぐらいは会う機会があったらしいんですよ。今回せっかくこういう連載で各編集長の皆さんとお会いする機会をいただいたので、今後そういうのも復活するといいんじゃないかと思ってます。

栗田 そういうところで、今日はできなかったオフレコ話をしましょうよ(笑)。

左から武川新吾、栗田宏俊。