宮野真守さん、すっげー!
──最初にもともと抱いていたイメージを伺いましたが、そこからのズレなどはありましたか?
いえ、抱いてたイメージとそれほど変わりませんでした。でも制作者の気合いが入っているのか、見せ方やテンポがよくてドタバタ感は予想以上でした。ただそれは、声優陣の遊び心ある演技の影響も大きいかな。
──「うる星やつら」の声優陣はすごいですよね。サブキャラクターも含めて本当に主役級の方ばかりを起用していて。
僕はアニメのキャラクターはキャラクターとして見てしまうので、それほど声優さんに詳しくないんです。でもそんな僕でも名前を見たことがあって、しかもよく声を聴く方たちばかりですごいです。
──特に印象的なのは?
第3話から本格的に登場してきた面堂終太郎役の宮野真守さんですね。「宮野さん、すっげー!」と、思わずキャラクターの向こうの声優さんのことを考えちゃいました。
──諸星あたる役の神谷浩史さんもそうですが、あの世代の男性声優さんはコメディに全振りするとここまでやるんだなと感心させられます。
遊んでますよね。今後、どんどん自由さを貫いてほしいです。それこそ「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」のアドリブ演技みたいに。
──例えが絶妙過ぎます。オープニングやエンディングはどう観られていますか?
どちらもいいですよね。エンディングテーマの「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ feat. 花譜, ツミキ」は中毒になりそうだし、オープニングテーマの「アイウエ feat. 美波, SAKURAmoti」は滅茶苦茶カッコいい。特にラムちゃんが踊ってるところの作画もすごい!
──「ラムのラブソング」という日本国民の多くが知ってるようなレベルの曲をカバーするとかではなく、完全に新曲で勝負するというのも気合いが入っていると感じました。
そうですね。でも「ラムのラブソング」のカバーとか、どこかで挿入歌として使ってきそうじゃないですか? 僕、そういうの弱いんですよ。
「ほら、すごいでしょ?」というのが鼻につかないすごさ
──ここからはキャラクターについて伺います。まず諸星あたるという主人公について、共感できる部分、逆に共感できない部分を教えてください。
共感できる部分か……ないですね(笑)。あたるはとにかくすごく女の子が好きで、欲望が足を付けて歩いているみたいな存在で。僕はさすがに毎回違う女の子になびくほどではないかな。
──現時点での最新話(第6話)ですき焼きが好きということが明かされましたが……。
あ、僕もすき焼きが好きです。共感できるのはそれくらい(笑)。これはあたるに限らないですが、「うる星やつら」はみんな性格に少しキツい側面があってふとした瞬間にそれを感じることがあります。コメディ作品だからそのキツさは中和されていますけど。
──わかる気がします。三宅しのぶなんて、当初はあたるの恋人みたいだったのに、面堂が現れたらすぐにそっちに惹かれていって。
(笑)。彼女は主人公の幼なじみだけど、これまで見てきたヒロインとは全然違っていて、なんとも言えない立ち位置が面白いです。ラムが来なかったら、たぶんあたると幸せに付き合っていたんでしょうけど。
──メインヒロインのラムの印象はいかがですか?
基本的には観る前に抱いていたイメージ通りでしたが、どうしてあたるを追いかけ始めるか知らなかったので、1話を観て「結婚しよう」と言われたことだけがきっかけだと知って驚きました。でもあそこまで強烈に惹かれているということはあたるにすごく魅力を感じているんでしょうから、そこは今後描かれるのが楽しみです。
──第6話くらいまでの時点だと、確かにあたるはいいところ見せてませんしね。
「あたるは酷いな」って感じることもけっこうあるんですよ。だって「ラムちゃんにベタベタされて悪いことある?」って気がしません? 当初は急に現れた相手からいきなり好かれるから、あたるが避ける理由もわからなくはないですよ。ほかの女の子にいきたいのに邪魔だというのもあるし。でも「あれだけ一途に思ってくれるラムちゃんでいいじゃん」と思ってしまいます。だって、あたるなんてほかに好きになってくれる人いないですよ。
──そうなんですが、それだと夕陽を浴びながらあたるとラムの絆が少し深まる第5話Bパートの「君待てども…」とかでくっついて話が終わっちゃうので。
おっしゃる通りなんですけど(笑)。あのシーンはよかったですね。夕陽の中のラムちゃんの作画がすごくきれいで、あたると同じように僕もキュンとしちゃいました。
──ちなみにほかに気になるヒロインはいますか?
ラムの幼なじみの弁天かな。この作品は勝ち気なヒロインばかりですけど、そのなかでは一番王道な勝ち気で今後好きになりそうです。
──ありがとうございます。では最後の質問です。「うる星やつら」は1970年代に連載が始まった40年以上前のマンガを原作としたアニメですが、塩野さんが同世代や下の世代に薦めるとしたらどうお薦めしますか?
まず「食事しながら観られるアニメだよ」ということを伝えます。変な言い方かもしれませんが、「観たいアニメをチェックし終えて、何も観るものがなくなったな」みたいなときにずっと流しておけるというか、そういう流し見できる気軽さがあります。ただそんな雰囲気なのに、しっかりと観たらすごいクオリティで作ってることはアニメ好きには一目瞭然です。「ほら、すごいでしょ?」というのが鼻につかない、さりげなくすごいことをやっていることに僕は一番驚きました。
──そんな「うる星やつら」に塩野さんが今後期待する展開は?
僕も俳優としてやるからわかるんですけど、コメディ作品ってそれまでの面白おかしいやり取りのなかで人間関係が積み重なって、それがあるからこそ感動シーンがよりグッとくるんですよ。ちょっとしたジャブが効いて、大打撃になる感覚というか。だからそういう感動シーンが今後来たら素敵だなと思います。
──それこそ第5話のBパートみたいな?
そうそう。あのクオリティで感動シーンをやられたらやばいですよ。この制作陣が本気でやったら、たぶん涙がすごいことになっちゃうんだろうなと今から想像しちゃいます。
プロフィール
塩野瑛久(シオノアキヒサ)
1995年1月3日生まれ、東京都出身。劇団EXILEのメンバー。2011年に第24回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで審査員特別賞とAOKI賞をダブル受賞し、2013年から放送の「獣電戦隊キョウリュウジャー」にレギュラー出演。映画「HiGH&LOW THE WORST X」では鳳仙学園四天王・小田島有剣役で注目を集めた。そのほかの出演作に、ドラマ「来世ではちゃんとします」シリーズやドラマ「探偵が早すぎる~春のトリック返し祭り~」などがある。2023年1月に開催予定の朗読劇「BOOK ACT 2023 NEW YEAR SPECIAL」に出演。また1月24日より毎週火曜日24時58分から放送されるドラマストリーム「ブラザー・トラップ」への出演も決まっている。
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