コミックナタリー PowerPush - ツール・ド・本屋さん

全国の書店に自転車でお邪魔 今日は地元・調布でPOP描き あだち充も迷惑

地球一書店を回ったマンガ家としてギネスに申請する日も近い

──さすがの百戦錬磨、4軒訪問して4軒とも承諾をいただくという、素晴らしい結果に終わりました。

いやー、まさかのパーフェクト、大成功です! それぞれの書店員さんの温かい応対が、本当にありがたかったですね。

書店回りでハイになることも。今回の取材では4軒を回ったが、まだまだ余裕の表情だった。

──半日だけですけど同行してみて、知らない人に話しかけてお願いごとを聞いてもらって、の連続する毎日というのは、なかなかハードだったろうなと、ひしひしと感じました。こんな体験、マンガ界でも誰も経験したことがないと思うんですが、これらの旅で何か得たものってありますか?

う~ん……特にないですね(笑)。

──(笑)。

ただ、こんなに書店さんを回ったマンガ家はいないと思うんで、地球一書店を回ったマンガ家としてギネスに申請しよう! みたいな話も冗談半分ですけど出ていて。最初は手探りの企画でしたけど、それくらいの結果が出せてきたことで少しずつ自信が持てるようになったので、ほんといい企画だったんだな、と。

──そういえば「ツール・ド・本屋さん」は、ゲッサンの読者コーナー「ゲッサンしてみる。」の1企画なんでした。単行本には別の企画「仕事場見たいし!」も収録されていますね。

そうなんです。これも編集部から「ゲッサンで連載しているマンガ家の先生たちと交流して、それをマンガにしろ!」と無茶振りされて描いているので、流れとしては「ツール・ド・本屋さん」と同じなんですよ。

奥様が「横山さんの描くあだち充が、いちばん本物っぽい!」と

──1巻ではあだち充先生を筆頭に錚々たるマンガ家さんたちが登場しますが、これまた遠慮のない描写で。

「仕事場見たいし!」は、あだち充の登場回を中心にセレクトされている。

あだち先生には、最初は「覚えてもらえてるのかな?」って感じだったんですけど、ちょくちょくお会いする機会をいただいて、いろんなお話をさせてもらえるようになりました。この前あだち先生が「お前の描くあだち充は性格悪いなー!」っておっしゃられてたんですけど、「いやいや、ぜんぶ先生が言ってたことですよ」って(笑)。

──あだち先生の奥様も認められた、という噂を伺ったんですが。

そうなんです、先生の奥様が「横山さんの描くあだち充が、いちばん本物のあだち充っぽい!」と、わざわざ編集部宛に手紙を下さいまして。

──そんなお墨付きの「仕事場見たいし!」も読める単行本が発売されるにあたって、読者へのメッセージなど。

「仕事場見たいし!」も単なるオマケという位置付けではなく、「ツール・ド・本屋さん」と同じ流れで「ゲッサンしてみる。」から生まれたものなんです。それと3つの自転車旅がひとつのパッケージになったというのは、ほんとにうれしいし、ありがたいです。

横山裕二

全国の書店さんを自転車で巡り、宣伝用POP描きの旅に挑戦する横山裕二(35)。ゲッサンが誇る“看板”描き作家は、編集部から課される無理難題ミッションをこなしながら今日もどこか書店さんの店頭に!!
さらにどこにでも闖入する横山裕二は、書店さんだけでは飽き足らず……あだち充先生をはじめとする大物マンガ家さんにも突撃……!!!
記念すべき第1巻は「四国編」「東海道編」「沖縄編」を収録!

横山裕二(よこやまゆうじ)

1977年2月8日生まれ。山口県出身。2006年にビッグコミックスピリッツ増刊カジュアル(小学館)にてデビュー。ゲッサン創刊号(小学館)より、読者ページ「ゲッサンしてみる。」内企画としてマンガ家の仕事場を訪問レポートする「仕事場見たいし!」を連載。2011年8月より、自転車で全国書店を回る「ツール・ド・本屋さん」を開始した。