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「サンデーの未来にどんなことが起きても、すべて僕の責任です」週刊少年サンデー新編集長が語る、“作家を育てる雑誌”への回帰

新人作家にどんどんチャンスを与えたい

──それでは作家との打ち合わせの段階から、市原さんも関わっているんでしょうか。

ええ、僕はどんなところでも介入します。1人できちんとした打ち合わせをして、きちんと企画したマンガを僕のところに届けられる編集者はうちの編集部にはまだ少ないので、もっと鍛えなきゃいけないと思っていて。なので、打ち合わせだろうが飲み会だろうが、作家さんとのコミュニケーションは自ら取ると決めています。

──作家の数も膨大だと思います。

市原武法

300人ぐらいですかね。新人さんも含めて、今のサンデーに向けてバリバリやっていただいてる作家さんの数は。その方々のネームや原稿はすべて読ませていただいたので、自分の中にはその300人の戦略図は完全にできあがっています。僕が才能を信じている人たちは無理やりにでも抜擢する、そういうシステムにしようかなと思っていますね。

──大勢の作家と打ち合わせをするというのは、時間も体力も相当消費するのではないのでしょうか。

マンガ家さんと打ち合わせをする時間っていうのは僕にとって快楽なので、それに関してはなんのストレスもないです。サンデーの編集長になってやるべきことというのも明確に持っていましたし。方針については編集部に異動してみて現場を見てから考えようと思っていた部分もありましたが、実際何ひとつ僕の考えていたこととズレがなかったので、あとは実行に移すだけだった。なので就任から1週間くらいで結構な本数の打ち切りを決めました。今は毎日打ち切りを宣告しているような状態です。

──打ち切りを宣告するというのは、それこそ葛藤を生むのではないかと思いますが……。

打ち切りの判断をするというのは当然勇気が必要になると思いますが、僕にとって編集長としての一番の仕事というのは、連載の打ち切りの判断だと思っているので迷いや葛藤はまったくないです。作家さんに打ち切りを宣告するという作業はとても大切なことなので。

──やるべきことがハッキリとしているから意思がブレることはないと。それでは今後連載作家陣の顔ぶれも変わっていくのでしょうか。

少年サンデーS9月号

2年以内にはかなり変わってくると思いますね。実際に秋口くらいからは完結する連載が多くなってくると思います。サンデー本誌に限らず、(増刊の)サンデーSも今後は新人育成の場にしようと考えています。なので今後は読み切りが大量に増えるでしょうし、短期集中連載も増える。新人作家さんたちの作品が掲載されるページがさらに多くなります。

──新人作家はチャンスが増えますね。

受賞したてのような新人さんであろうと、少しでも僕が気になった人は編集部に来てもらって、直接お話をして育成方針を決めます。そういう形でどんどん新人さんにチャンスをあげたいなと。その方針が変わることはありません。なので新人さんたちには安心して持ち込みにきてほしいですね。

週刊少年サンデー38号 / 2015年8月19日発売 / 270円 / 小学館
週刊少年サンデー38号
2015年38号ラインナップ

佐倉準「湯神くんには友達がいない」/草場道輝、原案協力:本田圭佑「ファンタジスタステラ」/原作:堀祐介、作画:山仲剛太「アンペア」/田中光「レタス2個分のステキ」/ひらかわあや「天使とアクト!!」/田口ケンジ「姉ログ」/藤沢とおる「おいしい神しゃま」/浦山慎也「リオンさん、迷惑です。」/一色美穂「さえずり高校OK部!」/渡瀬悠宇「アラタカンガタリ~革神語~」/バコハジメ「ドリー・マー」/コトヤマ「だがしかし」/青山剛昌「名探偵コナン」/田中モトユキ「BE BLUES!~青になれ~」/空詠大智「競女!!!!!!!!」/原作:西森博之、漫画:飯沼ゆうき「何も無いけど空は青い」/片桐了「tutti!」/東毅「電波教師」/大高忍「マギ」/福地翼「サイケまたしても」/松江名俊「トキワ来たれり!!」/高橋留美子「境界のRINNE」/萬屋不死身之介「キャラクタイムズ ゴールデン」/原作:七月鏡一、作画:梁慶一「AREA D 異能領域」/満田拓也「MAJOR 2nd」/若木民喜「なのは洋菓子店のいい仕事」/二階堂ヒカル「ヘブンズランナーアキラ」/土星フジコ「戦争劇場」

市原武法(イチハラタケノリ)

1974年生まれ。1997年、小学館に入社。少年サンデー編集部に配属され、あだち充、田辺イエロウ、モリタイシらを担当。2010年よりゲッサンの編集長を務め、新人作家の育成に力を注いできた。2015年7月、週刊少年サンデーの編集長に就任。好きなテレビ番組は「水曜どうでしょう」。