アニメ「少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR YOU-完全版」特集 広瀬ゆうき(A応P)インタビュー|アイドルが好きな人、嫌いな人、疑問を持っている人、みんな注目! 「よくわからない」から始まり、「出会えてよかった」と思える永遠のアイドル

失わないと気付けなかった、センターに立ちたいという強い思い

「少年ハリウッド」では、センター交代の話も外せないですよね。

──第20話「僕たちの延命」ですね。

第20話「僕たちの延命」

アイドルとしての生活に、それなりにではあるが慣れてきた少年ハリウッドのメンバー。そんな彼らに、シャチョウから「新曲をきっかけにセンターを見直す」という通告がなされる。喜ぶメンバーや戸惑うメンバーがいる中、それまでセンターを務めていたマッキーは、平気な素振りを見せつつも、「センター外されたらカッコわりいじゃん」と、ミミズクのキャットにひとりごちる。

これまでずっとセンターに立ち続けていたマッキーだが、シャチョウから今後センターが見直されることが発表される。 ハリウッド東京の守り神であるミミズクのキャット。

そのエピソードの冒頭で、「友達でもなかった見ず知らずのやつらと、ある日突然、歌って踊るようになった時、毎日覚えていた違和感は、もう、どこへ行ってしまったんだろう」というカケルくんのモノローグにもある通り、みんなアイドルでいること、マッキーがセンターにいることに慣れてしまった頃なんですよね。本当だったらそれでいいかもしれないのに、シャチョウは彼らの輝きが失われてしまわないように、少年ハリウッドの延命のために、センター交代を決める。結果的に、センターにはマッキーではなくカケルくんが選ばれるんですけど、そんなマッキーにシャチョウが問い詰めるシーンがあって。

──胸が痛くなるシーンですよね。

シャチョウから何度も本当の気持ちを問い詰められたマッキーが、やっと「悔しい」と言葉にして、涙をこぼして。そこでマッキーは初めてセンターであることの大切さに、そこが自分の居場所だったことに気付くんです。それまではただなんとなくそこに立っていただけで、本物のセンターではなかった。そんなマッキーに、シャチョウは「悔しいという気持ちを手にした瞬間、センターはあなたのものではなくなることが決まった。皮肉なものですね。でも、今週の公演までは、あなたがセンターですからしっかりやってください」と言って。そこからの短い期間でだけ、マッキーは本当のセンターになることができたんです。

カケルに「がんばれよ」と明るく声を掛けるマッキーに対し、シャチョウは「この結果に納得なんですね?」「私は、あなたの本当の気持ちが知りたい」としつこく問いただす。 センターは「俺の居場所だった」と、正直な気持ちを吐露するマッキー。「なんにもわかんないまま、リーダーになって、センターになって、歌だってそんなうまくないし、ダンスもヘタなのに、手探りで、ほんとに手探りで……立ってきた場所だから。たとえメンバーの誰がそこに立つことになっても悔しい」と、涙をこぼす。

──センターに立ちたいという強い思いが、マッキーの輝きを増すことになった。

でもそれを失わないと気付けなかった。マッキーがアイドルとして成長するには、センター交代が必要不可欠だったんです。この話を観て、本当にシャチョウはすごいなと思いました。結局、握手をするにしてもセンターに立つにしても、歌って踊ることにしたってファンサービスにしたって、「私はアイドルです」と言ってしまえば誰でもアイドルにはなれるけど、本物のアイドルになるためにはそれだけじゃダメなんだなと。そのために必要な誠意や心意気があるわけなんですよね。最初の頃はあんなに普通の男の子だった彼らが、シャチョウやテッシー、初代少年ハリウッドのメンバー、ファンや家族の言葉を受けて、どんどん本物のアイドルに近づいていく。周りの人の言葉や経験があってこそ、本物になれるんだなっていうのを「少年ハリウッド」を観て感じました。

「どうしても欲しいものがある、どうしても手にしたい場所があるという人間は、絶対に輝きます。あなたは、センターと引き換えに輝きを手に入れたんです。それは、このメンバーの中で、あなた以外に持っている者はいない。あなただけの輝きです」(シャチョウ)

ステージに立つ少年ハリウッド。 センターが交代になる前の最後のライブで、少年ハリウッドの真ん中に立つマッキー。

少年ハリウッドの本当のファンになれる最終話

あとはやっぱり、最終話ですね。

──今回完全版が制作された、最終話となる第26話「HOLLY STAGE FOR YOU」ですね。

第26話「HOLLY STAGE FOR YOU」

試練を乗り越えたメンバーがクリスマスイブに贈る、少年ハリウッドのライブ。1話まるまるライブ映像が展開される同エピソードは、MCはもちろん、ダンスシーンに至っても、全編にわたり手描きで制作されている。

第26話「HOLLY STAGE FOR YOU」より。 第26話「HOLLY STAGE FOR YOU」より、「赤い箱のクラッカー~Let's party~」をパフォーマンスするトミー、キラ、シュン。

25話かけて少ハリのみんなの成長を見てきて、彼らのことをアイドルとしてすごく好きになるんですよね。だけど私はアニメを観ているイチ視聴者にしか過ぎなくて、彼らのライブに行くことはできない。そんな私を、なんと第26話ではライブに連れて行ってもらえるんです! 最後まで観てくれたあなたを、少年ハリウッドの本当のファンにしてあげるっていうメッセージなのかなって勝手に感じていました。それまでは、キラくんが「このキラキラが見えますか?」と自己紹介をするときに、キラキラとしたエフェクトが出てきますけど、あれってアニメ的表現なわけで、実際のお客さんには見えてないものですよね。だけど最終話ではそのエフェクトが消えていて。

ライブの冒頭、自己紹介するキラ。

──でも、「見えた!」って思いますよね。

そう、「見えた!」って! ライブを観ているファンの感覚を味わわせてもらえてるって思いました。

──それこそ毎話あったカケルくんのモノローグもありませんし、アイドルの少年ハリウッドとして以外のセリフがないんですよね。

そうなんですよ、一切ない。それがすごいですよね。舞台裏ではこんなことがあったけど、それを経た彼らのライブはこれです、というのを最終話で見せてくれるという。最後だからと、彼らの思いを言葉にして詰め込むわけじゃなく、ライブだけを見せることを選んだ「少ハリ」、最後まであっぱれ!と思いました(笑)。「皆さん、メリークリスマス! 僕たちが少年ハリウッドです!」というセリフも印象的でした。「少年ハリウッドではいられなくなってしまうかもしれない」という危機を乗り越えたうえで、最終話で「僕たちが少年ハリウッドです!」と自己紹介した瞬間に「あ、彼らは今この瞬間、本物の少年ハリウッドになったんだな」と。私も「A応Pです」って口で言うのは簡単だけど、「私はA応Pなんだ」と自覚を持つことによって初めてA応Pになれるんだなというのも、「少年ハリウッド」に教えてもらいました。

少年ハリウッド 少年ハリウッド

──実は、私が初めて「少年ハリウッド」を観たのが最終話の「HOLLY STAGE FOR YOU」だったんです。彼らのことは何も知らなかったけど、たまたまテレビを付けたときにライブをやっていた彼らが、どんな活動を経てここに辿り着いたんだろうというのが気になって、1話から見始めるようになったんです。

ああ、なるほど!

──だから今回、「HOLLY STAGE FOR YOU」の完全版が劇場上映されますが、少ハリのことをよく知らなくても、まずはこのライブから彼らに触れるっていうのは、経験者から言ってもアリだと思うんです。

シュン。「HOLLY STAGE FOR YOU」の完全版にて初公開されるシュンのソロ曲のパフォーマンスは、このライブの見どころの1つ。

確かにそうですよね。まだ少年ハリウッドを観たことない人も、詳しくない人も、アイドルのライブを観に行く感覚で、気軽に映画館に足を運んでほしいです。そして、そのあとに第1話の自己紹介を観てほしい。恥ずかしがってやっていた、カッコ悪い、やらされている状態だったあの自己紹介を。それが最終話ではあんなにアイドルとしてカッコよく見えるんだよっていうのを。同じ挨拶なのに、見え方が全然違いますから。それを見てもらえるだけでも、「少ハリ」に興味を持ってもらえそうですよね。

アイドルというものがなんなのか、「少ハリ」を観て理解できた

──ここまで「少年ハリウッド」の印象的なエピソードやセリフについて、ご自身の経験を交えて語っていただきましたが、今回の完全版の上映を機に「少年ハリウッド」に興味を持った人の背中を押してあげるとしたら、どんな言葉をかけてあげたいですか?

少年ハリウッドのエンブレムペンライトを手にする広瀬ゆうき。

私はアニメが好きで、いろいろな作品を観てきましたけど、「一番好きなアニメはなんですか?」っていう質問には答えられないんです。「一番好きなSFアニメは?」「一番好きな日常系アニメは?」っていう質問にも。だって、全部面白いから、一番なんて選べないんです。だけど、「一番好きなアイドルアニメはなんですか?」という質問には、唯一「『少年ハリウッド』です」って答えられる。もちろんほかにもめちゃくちゃ面白い作品はたくさんあるんですけど、私は一番「少ハリ」が好き!って思えるんです。それくらい自信を持ってオススメできますし、彼らに出会えてよかったなと思っています。

──最初こそ“よくわからない”存在だったけれど。

あとは、全アイドル好きはもちろん、アイドルに疑問を持っている人にも観てほしいです。アイドルを推していて悩んでいる人や、ずっとアイドルを応援し続けている人、推しのアイドルが卒業してしまった人もそうですけど、「アイドルって結局なんなの?」とか「アイドルってくだらないよね」と思っている人、アイドルをバカにしている人にも。とにかく、アイドルという存在に何かしらの思考を持っている人は、全員観たほうがいいと思います。

──確かに、「アイドル」という言葉に引っかかるところがある人は、何か気付けることがあるかもしれないですね。

「握手会ってなんのためにやってるの?」とか、考えてる人はきっと多いと思うんです。なんでアイドルファンの人がCDを買って、握手会に参加しているのか、なんでその人たちが同じアイドルと何回も握手をして、アイドルもずっと握手をしているのか、アイドルを推していない人は、その大事さをきっと知らないと思うんです。でも「少年ハリウッド」を観たら、その理由が、アイドルの秘密が知れると思います。私も橋口いくよ先生の描くストーリーに魅せられて、やっとアイドルっていうものがなんなのかを理解しました。本当に無駄な時間は過ごさせないので、ぜひ全部観てほしいです。まずはそのきっかけとして、「少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR YOU-完全版」を観ていただけたら、きっと少年ハリウッドに興味を持っていただけるんじゃないかなと思います!

少年ハリウッドのフラッグにメッセージを寄せる広瀬ゆうき。 ファンからのメッセージが寄せられた少年ハリウッドのフラッグ。去る9月21日から23日にかけて、アメリカ・ロサンゼルスにて「少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR YOU-完全版」が上映されたことに合わせ、ファンからメッセージが寄せられた。

「ロサンゼルスアニメ映画祭2018」に少年ハリウッドが登場!

左から橋口いくよ、舞山春。

去る9月21日から23日にかけて、アメリカ・ロサンゼルスにて日本のアニメ映画を上映するイベント「ロサンゼルスアニメ映画祭2018」が開催(参照:「中二病でも恋がしたい!」「少ハリ」や高畑勲監督作品を上映、LAアニメ映画祭)。「少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR YOU-完全版」も上映され、会場には現地の少ハリファンが集まった。レッドカーペットには、ファンからのメッセージが寄せられたフラッグを手にする原作者の橋口いくよに加え、メンバーを代表してSHUN MAIYAMAが登場した。

「新千歳空港国際アニメーション映画祭2018」にノミネート!

2018年11月2日から5日まで北海道・新千歳空港ターミナルビルにて開催される「新千歳空港国際アニメーション映画祭2018」の長編コンペティション部門に「少年ハリウッド-HOLLY STAGE FOR YOU-完全版」がノミネート! 11月4日と5日の2日間上映が行われ、11月4日はライブ用の音響機材を設置したシアターで爆音上映される。詳細は映画祭の公式サイトにて確認しよう。